2022年04月08日

新橋「竹泉」

 
この時の経験から、
最近本陣坊系のお蕎麦屋さんを巡り直している私。

前回この「竹泉」に来たのは何十年前なのか、
公には言えないくらい(オホホ)、
時が経ってしまいました。

時を超えて訪れると、店はそのままそこにあり、
それが不思議な感覚ですらある。 


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店舗は地下にあり、外にメニューが張り出されている。
その立て看板に写真付きで選ばれたメニュー3つがまず素晴らしい。

普通こういうオフィス街でですよ、
お蕎麦屋さんがランチ時に出す立て看板といえば
「セット物」とか「かき揚げ蕎麦」とか
種物とかのボリューム系になるじゃないですか。

それがここでは!

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「ハイボール」「二種もり」「升酒」

ですよ!! (≧∇≦)

ハイ全部いきます!!と即答したくなる三選!(笑)


いいねえ〜〜っ




あまりに久々で、こんなだったっけね・・・と思いつつ階段を降りると

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渋い。

実際はもっと暗いのでもっともっと渋い。

いいねえ〜〜〜っ



階段は静かだったが店に入るとなかなかの大盛況。
近隣のオフィスワーカーらしいお一人様や、グループランチを楽しんでいる人もいる。

店内もすっきりと渋い。
無駄な飾りは一切無く、目立たないところに小さな浮世絵などが飾ってある。

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(写真は退店時)

新しい店にはない風格と味わい。
BGMなどはなく、蕎麦を楽しむ人のざわめきだけが聞こえている。

いいねえ〜〜〜っ


今日は残念ながら昼酒している人は見当たりませんが、
さっすがいいお酒揃ってますよね〜〜

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おつまみもいぶし銀のいい〜メニューばかり。

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うーーーん、こういうの、スキ!!♡



肝心のお蕎麦のメニューはこちら。

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お目当てはもちろん「二色もり」。
「ゆず切り」を含む「三色もり」もありますが
お蕎麦の香り命の私は
「せいろもり」と「田舎もり」に全ての愛を注ぎます!!



注文するとすぐにトレイが運ばれてきて、
驚くほどすぐに一枚目の「せいろ」がやってきた。

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本陣坊系ですからこのスタイル。
小さめの美しい黒いせいろに入ってきます。


本来は「田舎もり」が来るまでこちらを食べて待っているべきですが
美しきお二人をどうしても並べて拝みたく
待っちゃいました (≧∇≦)

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おおーーー  
やっぱりこういう眺め、だーーい好き!
こういう、二つの個性がはっきりしていて対比が鮮やかな二種もりの眺めって
たまらないんだなあ〜♡


まずは「せいろ」から。

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直線的なラインを流麗、大胆に描く輪郭線。
つやつやと輝く肌。 
箸先から香りを寄せると、
野生的でシャープな、少しひねたような蕎麦の香りがフーッと香る。
口に含むと見た目の通りの
くっきり直線的な輪郭線が弾けるように口中をめぐり、
ツルッツルの肌とはっきりしたエッジが印象的。
食感もかなりしっかり目で、噛み締めた味わいはすっきりしている。

特筆すべき大変素晴らしいポイントは
私がひそかに「柚子切り病」と恐れている現象が
ここでは全くなかったこと!
「ゆず切り」がメニューにあるお店は、同じ釜で茹でるせいで
どうしても普通の「せいろ」とか「田舎」にも
柚子の香りが移ってしまいがちである。(T_T)

蕎麦の香りを嗅ぎたい一心の虫のような私にとっては
さあ!全細胞の奥まで、愛しいお蕎麦様の香りを吸い込もう!!という時に
柚子の香りがフワーーンとしてくると、
「お蕎麦とワタシの間に入ろうとするとはーーー!!」
と柚子さんに激しい敵意すら抱いてしまうんです、すみません(笑)

もちろんこれは蕎麦汁をつけて正しいお蕎麦の食べ方をすれば
全然わからなかったりすることで、
私のようにお蕎麦の香りに溺れたいからといって
お蕎麦だけで完食するというお行儀の悪い奴だからこその
悩みなのであります(^^;)


「田舎もり」
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かなり黒め、かなり太め!
こちらも見るからにエッジがくっきりしている。
香りを寄せると、うおおおおお、これはすごい。
たくましいという言葉では足りない、
ツンとするくらい強烈なたくましさが 
ムッワーーーー!!と香っている。
食感はこちらもかなりツルツルで、
太打ちだけにものすごい噛み応え。
モグンモグンと噛む蕎麦だ。
その割には味わいは「せいろもり」同様すっきり系なのだが、
こちらには微かに黒い香ばしい味わいがあるのがいい。

しかもこちらも柚子、全く香りません♡♡♡
はじめ少々たくましすぎに思えた香りは不思議とだんだんおさまり、
自然なたくましさ、田舎らしい黒い風味に転じた。



蕎麦汁はかなり酸味が強く、
甘みも出汁も強くてガツンとパンチのある味わい。
ここはお蕎麦の味がすっきりなので
ちょっとお蕎麦に対して汁が強すぎるようにも感じたが、
お蕎麦がツヤツヤつるつるなこともあり
ガツンとした感じも全て含めて、東京の蕎麦らしいような気もした。

そんなふうに感じるのは、
やはり長い間この地で愛されてきて
自然と生まれた風格のせいだろう。


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最後お店は空いてきて、私と、
知的な感じのサラリーマンのオジサマと二人になった。
私と同じ「二色もり」を食べている。
私はもう蕎麦湯タイムだったので
店内はオジサマが蕎麦を啜る音だけが小さく聞こえている。



オジサマが先に会計して、その会話が聞こえてきた。


「30年この店の前通ってたけど、今日初めて来たんだ。
 美味しかった! 30年だよ〜フフ・・また、来ます」


時の流れにしみじみとした気持ちでこの店に入ってきた私だが
さらにしみじみといい気持ちで、この店を出た。



posted by aya at 12:30 | Comment(0) | 東京の蕎麦>港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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