2021年12月14日
長野・南豊科「一葉」
めちゃくちゃおもしろいお蕎麦屋さんに行ったなあー!!
行く前に勝手に想像していた印象と違いすぎた (≧∇≦)!
事前に私が得ていた情報、ということで
まずはこちら「一葉」のお蕎麦メニューをご紹介。
こんなお蕎麦があるんです〜
信州に多い、「胴搗蕎麦(どうづきそば)」というお蕎麦ですね。
どうづきというのは、石臼を使った製粉をしない珍しい製法。
蕎麦の実を甘皮がついた状態で2日間冷水にさらし、
発芽しようとしているところを杵と臼でついて生地にするのだ。
(さらさらした所謂蕎麦粉にはならない)
そもそも私はただただ蕎麦の香りに恋焦がれている虫のようなもので、
詳しい製法や蘊蓄などはなるべく知りたくないタイプ。(誰も信じてくれない)
なのでどうづきという製法がどれだけ大変なものかはよくわかっていないのだが
とにかくこのどうづき蕎麦というのを出す蕎麦屋はどこも価格が高いので
きっとよほど手間がかかる製法なんだろう、という想像をしている。
せいろ一枚1700円とか当たり前!
常識で考えたら、ハァ!?という価格なのだが
どうづきをしているお店はどこも高めなので
そういうものなのか、と思うしかない。
当然、お蕎麦の価格が高いだけではバランスが取れないので
どうづき蕎麦を出す店は自然と店舗も高級オシャレ系、
蕎麦以外のメニューも高級店モードであるところが多い。
私は普通の石臼挽きのお蕎麦が大好きだし
お蕎麦の値段はできれば安い方がいいと思っているが、
お蕎麦に対して強い愛情を持って一生懸命な人に滅法弱いと言う性質がある。
普通に製粉すればもっと簡単なものを
わざわざその手間がかかって割高になる胴搗という製法をする根性、
そのお店が貫いているものに敬意を払いたくなるのだ。
前置きが長くなりましたが、以上の通り、
私は今回の「一葉」さんに対して
「高級オシャレ系」「お蕎麦に対してものすごい情熱ありまくり系」
というイメージを持ってお店に行ったわけであります。
たどり着いてみると、長閑に旗めく「そば処」の幟。
なんかもうこの辺から拍子抜け?
手打ち!とか本格ナントカ!みたいな気合いバリバリの幟ではなく、「そば処」。
この謙虚なフツウっぷり!!
いいなあ〜〜〜早くも大好きになりそう (≧∇≦)♡
お店の外観はこんな感じ。
美しい瓦屋根に見事な松の木。
この外観を見た時は、想像通りの高級系雰囲気に見えたんです。
店内に一歩入って、迎えてくれた人にギョッ( °o°)
今流行りのアノ方ですね?
びっくりした〜
店内は意外にも、ごくごくスタンダードで居心地の良い雰囲気。
そして気になるお値段です!
えっ普通・・・
っていうか激安!?
ちなみに最初のメニュー写真でご紹介した
どうづきの「粗挽きそば」「細挽きそば」は
「もりそば」か「ざるそば」を選択してからどちらかを指定、
なのでどちらも750円なんです!
お蕎麦だけでなく一品料理なども驚きの安さ。
高級系のお店のスタッフはギャルソンエプロンをした
お姉さんなどが多いイメージがあるが
ここで注文を取りに来てくれたのは
控えめな印象で年配の、このお店の奥さんである。
そして何よりもここが一番このお店の面白いところ!!
客席にはBGMなどもなく無音。
山の麓の町の静かな蕎麦屋、のはずなのだが・・・
厨房から漏れ聞こえる、というには大きすぎる、
これ以上ないくらい元気なお祭りのような音楽が
大音量で聞こえてくるのだ!!
音頭?民謡?歌謡曲?祭囃子?
ジャンルが難しいが、チャンチャッカチャチャチャチャン!
以下が私が必死で書き取ったメモ(≧∇≦)
ドドンパッ
チャカラカ スチャラカ
ハア〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
つっきがぁぁーでったでーたー
ソーラン節
きれいなオナゴが好きななんとかぉー
・・・ここの店主はこういった、
これ以上ないくらいエネルギッシュな音楽からパワーをもらって
毎日厨房で頑張っているんだなあ〜
そう思うと微笑ましいやら可笑しいやらで
こちらも滅法楽しい気分になってしまう。
「馬もつ」
煮肉愛好会会長(会員募集中)の私であるので
煮込みを見たら必ず頼みます!
しかも馬肉ってところが長野らしくていいですよね〜♡
濃厚だけれどくどさのない、大変美味しい馬もつ煮!!
そして早くもやってきてしまいました。
ドキドキの、「粗挽きそば」!!
おおーーーっ
輪郭線がキテます!
まさにどうづき!!
美しい粗挽き肌も素晴らしいがそれよりどうしても目が行くのが
このどうづき特有の輪郭線と、ぷつりぷつりとした断面である。
期待いっぱいで箸先から香りを寄せると・・・最初はほぼ香らない。
ところがしばらくすると、
やわらかくふくよかな香りが淡く漂ってきた〜♡
食感はちょっとぽきぽきして短め、まさにどうづきなカンジ!
味わいはすっきりと澄んでいる。
天ぷらも食べたかったので「細挽きそば」は
「天ざるそば」として頼んでみました。
海苔がかかってきて驚いたけど、
そうそう、天「ざるそば」だもんね〜
おお〜!!
どうづき蕎麦としての個性はこちらの方が弱く見えるとは言え
なんかこっちの方が美味しそうかも! (≧∇≦)
と思った通り、こちらは初っ端から青くフレッシュな香りがフワ〜!
淡いけど実に素晴らしい香りだ。
細いのにかなりしっかりした食感で
しかも一本一本がまっすぐでないので口中で暴れる感じすらある。
こちらも味わいはすっきり。
蕎麦汁は長野らしくかなりの甘口。
天つゆのほうが甘くない店も多いがこちらは天つゆも甘口だった。
天ぷらは、エビ、キス、かぼちゃ、春菊、えのき、
そしていちばん手前にあるのは・・・
なんとりんご!!
おもしろーい、長野だあ〜〜〜 (≧∇≦)♡
パリ感もあるけどフワフワのやさしい天ぷら、
美味しくいただきました。
どうづき蕎麦、びっくり価格、鳴り狂う音頭。
全部ひっくるめて実に楽しい思い出、心温まる時間だった。
以前はもっとメニューも多かったようだが
最近はメニューを絞って音頭で元気つけて営業しているらしい。
こういうお店は、長く続けて欲しいと願わずにいられない。
またこのあたりに来たら是非寄らせてもらいまーす!! (≧∇≦)
胴突き粉はありそうで余りみないですよね?特に東京では(確か保谷のすゞ木さんもそうだったような)
ただ単に韻を踏むじゃないが「一葉」「黒耀 (旧とく田)」と繫がった。黒耀の美し三点もりもなかなかですよ、香りマニアにはどうかと思いますが十割のさらしなも綺麗で機会があったら。店主もとてもいい人でここに移る前のとく田さんでは長っ尻したな・・・
>而酔而老さん
>
>せっかくなら「おたぐり」とメニューに書けばいいのにな、単純だがその方が「来たぞ!長野に!」って思えるような。
>胴突き粉はありそうで余りみないですよね?特に東京では(確か保谷のすゞ木さんもそうだったような)
>ただ単に韻を踏むじゃないが「一葉」「黒耀 (旧とく田)」と繫がった。黒耀の美し三点もりもなかなかですよ、香りマニアにはどうかと思いますが十割のさらしなも綺麗で機会があったら。店主もとてもいい人でここに移る前のとく田さんでは長っ尻したな・・・