2021年04月15日
石神井公園「きくち」
久々に新鮮なパンチを食らったような気分。
やっと行くことができたその店は、あまりにも素晴らしかった!
石神井公園駅からすぐの小さな店。
ここは、今や押しも押されもせぬ人気有名店となった巣鴨「菊谷」の店主が
かつて2005年に、蕎麦屋としての第一歩を踏み出した場所。
その後2011年、「野饗(のあえ)」というこれまたいい蕎麦屋がこの地を継いだが
去年2020年、「野饗」にいた人が「きくち」という今の店をオープンさせたのだ。
「蕎麦に銘酒 野饗(のあえ)」2011年の記事
http://ayakotakato.seesaa.net/article/218647367.html
巣鴨「菊谷」2013年の記事
http://ayakotakato.seesaa.net/article/355528056.html
16年前、開店したばかりの「菊谷」に行ったあの時からの時の流れを思い感無量。
今は「きくち」となったこの店の前に立つと
菊谷店主が中にいるような、野饗店主が中にいるような気もしてしまう。
何度も来たことがある、まだ知らない蕎麦屋。
まず目につくのは干物用の干し網である。
そしてメニューはなんと停められた自転車に引っ掛けられている。
面白そうな店だ! (≧∇≦)
店内は勝手知ったる懐かしい雰囲気。
カウンターに座ると早速目の前にあるメニューに心を奪われる。
ウッ・・・なんですかコレ
恐ろしく美味しそうなものばかり!!
端から端まで全部頼みたいくらいだが
そうも行かないのでコレは大変なことになったぞ、と覚悟を決める。
そして蕎麦のメニューは潔いまでにシンプル、まさに少数精鋭。
お蕎麦そのものの香りと味を本能で追い求める虫のような私にとっては
「蕎麦メニューが少なくて残念」ではなく、
このメニューから店主の蕎麦への思い入れがバシバシ伝わってきてしまい
ますます期待高まるばかり!
しかも困ったことにこんなメニューまで。。。
えええ〜〜〜もうやめてえええ
これも端から端まで全部食べたい!
どうしようほんとに困った!!
カウンターの背後にある黒板には本日の蕎麦の産地が書いてある。
埼玉三芳♡
大好きなのでうれしい〜
「だし巻き」
鮮やかな黄色でなく少し白っぽい薄黄色のだし巻き。
しかし私が自宅用に買う卵は
「一番高級で美味しい平飼い卵が一番白っぽい」ので
鮮やかなのが良いとは限らないんですよね♡
断面もきめ細かく美しい。
一口食べて目が丸くなる。
超〜〜ふるんふるんでめちゃくちゃジューシー!
出汁の味が濃い!!
なんというか、やわらかな極上舌触りの肌の真ん中に、
出汁の味わいが浮かび上がるような美味しさに感動すら覚えた。
超ジューシーと書いたが、そのジューシーさが
「卵の部分とジュースの部分が分離せず生地の中に水分がとじこめられている」
感じがとにかくすごい。
おいしすぎるーー!
「あらびき蕎麦がき」
ウッ・・・
現れただけで、その姿の魅力に固まってしまった。
いかにもフレッシュな、鮮やかな黄緑や橙色の粗挽きの粒たちは
まるで蕎麦畑をそのまままるめたようなイメージだ。
私が憧れ愛してやまない「SOBA ISBA いさと」のそばがきを
彷彿とさせるほどの「畑感」!!
「SOBA ISBA いさと」のそばがき↓↓
http://ayakotakato.seesaa.net/article/195078175.html
ああああ・・・なんというこの魅力・・・
このままずっと見入っていたいほどの眺めだが、
待ちきれずに(どっちよ)ひと口。
おおおおおおお
フレッシュな野生の香りがトップに来て
それがすぐにお米のようなふっくらふくよかな香りに膨らむ。
もっちりふっくらした質感も最高だが
舌触りはとても個性的で初めて出会う感じ!?
こういった粗挽きのそばがきはいろんな形、大きさの粒が舌に伝わってきて
素朴な風情があるものだが、この「きくち」の「あらびき蕎麦がき」は
全く同じ大きさの細かい粒が、つぶつぶつぶつぶー!と
機械のように無数にある感じなのだ。
これはこれで大変心地よい刺激でおいしい。
面白いなあ〜
福井大野、令和元年の蕎麦。
そばがきの宇宙にうっとり溺れていると
店主が天ぷらを揚げはじめたのだが、その音に驚いた。
大きさとしては普通の音なのだが
それがまるで歌を歌っているかのような、明るい鐘が鳴るかのような
軽やかに響く美しい音なのだ。
え、あの音すごくない?と頭の隅で感じてはいたが
なにせ全身を素敵な素敵なそばがき様に抱き締められているような
恍惚状態だったので、そんなことはすっかり忘れていた。
ところに、やってきましたこちらの天ぷら!!
「春の天ぷら」
うどの芽、ふきのとう、葉たまねぎ
あまり絶賛ばかりしているとリアリティに欠けるので
ここらでちょっと落ち着きたいところなのだが
そうはいかないほどものすごいものにまた出会ってしまったのだから仕方ない。
とにかく私が大好きなものばかりの天ぷらだったのでオーダーしたのだが
このふきのとうを食べた瞬間、頭で三尺玉大花火が上がりました!!
どっかーーーーん!!!
なにこの食感!?♡!?
スーパー軽くてショワショワショワ〜!!油っこさゼロ!
その軽やかで香り高い美しい衣に包まれて
うどの芽もふきのとうも葉たまねぎも天国の食べ物かってくらい
おいしくて頭が爆発しそう!!
「桜海老のかき揚げ」
「春の天ぷら」が美味しすぎたので、
これも絶対おいしいんだろうな〜・・・
と思ってはいたが、まずビジュアルの美しさにやられた!!
鮮やかな桜海老と九条ネギが絵のように美しいし、
量たっぷりも嬉しい〜
一口食べたらもう笑いが止まりません。
何をどうしたらこんなに美味しくなるんですか!?
超〜軽くて、ショワショワショワ〜とした衣の美味しさ!
桜海老の美味しさときたら!!
桜海老の香りも肉感も感じられて最高〜!!
以前この茗荷谷某店で食べた桜海老の天ぷらを思い起こさせる
激しい感激でした(>_<)♡
http://ayakotakato.seesaa.net/article/440001968.html
(↑この桜海老の天ぷらには店主の長い道のり、ストーリーが!)
お蕎麦の前に天ぷらの時点であまりにも感激してしまった私。
興奮のあまり回らぬ舌で絶賛してしまったら
「いや〜・・天ぷらよくわからないんですよ〜」
とのけぞるほど謙虚な店主。
これだけ美味しいもん作っといてわからないって、んなバカな (≧∇≦)
でもよくよく聞くと、やはりやはり、あの油とあの油とあの油、
3種もブレンドするという、研究の末の天ぷらだったのでした!
さっきの歌うような音からして只者でない天ぷらとは思っていたが、
上に挙げた茗荷谷某店にも似た「美味しさの理由」を聞いた気がして激しく納得。
最初の時点ではオーダーはここまでだったが
いろいろと、いろいろと!!美味しすぎたので
欲張ってもう一品お願いすることに。
お腹はもういい具合に満ち始めていたが
ここのお料理がもっと見たくなったのだ。
「芽キャベツと唐墨パウダー」
ぎゃー
これはもう・・・出てきた時点でもう降参です。
こんなの美味しいに決まってる!!
自家製唐墨と芽キャベツ。
唐墨の旨味がとにかく最高で
芽キャベツの香りと甘さが引き立ちまくり!
センスが良すぎる!!
もうもうもう、今日はお蕎麦に辿り着くまでに興奮しすぎて
えらいカロリー消費した気分ですが(気分だけ)
このあといよいよ、待ちに待った瞬間がやってきます!!
ジャズピアノが流れる店内に
蕎麦の水切りの音がして、
私の中でスッと何かがリセットされる。
心澄ませて、あなたに出会う。
あああああ
なんと美しい、世界中に誇りたい日本の景色。
こんな美しい食べ物が世界中のどこにあるというのだろうか?
遠目には優しげな表情に見えた蕎麦だが、
その肌を近く見入ってハッとする。
心を奪われる。
「もり」
無数にホシが飛んでいるというよりは
もうこれは「ホシでできている」ような蕎麦である。
褐色、橙、白。
その肌に揺らめく無数のホシと影に、私は吸い込まれそうになる。
箸先から香りを寄せると、
おおおおお
むわぁ〜と香る、生々しいほどのふくよかさ!
食感はちょっと予想外で、思い切り軽くて繊細、
一本一本がハラハラと分かれる感じ。
ざらざらの粗挽き肌が心地よく、
繊細な軽いコシを噛み締めると
ふっくら分厚い香りと濃厚な味わいが口中に溢れ続ける。
おいしいいいいいいいい〜〜〜!!
あれだけ美味しいものをたくさん食べた後にこのお蕎麦。
ちょっと今夜は本当に凄すぎます!!
令和元年、埼玉・三芳の蕎麦(キタミツキ)。
最高のお蕎麦を食べてこれで〆・・・
かと思いきや、今夜はもう一発いってしまいます!!
ここの少ない蕎麦メニューの中に
「かまあげ」があるのが、私には大変目立っていました!
店主の蕎麦への思い入れが伝わってくるよう気がしたのだ。
そばがきもそうですが、あたたかいお蕎麦って
また特別の香り方をしますもんね〜〜
「かまあげ」
おほ?
何やら大変面白い二人組がやって参りました!!
ふたりとも のっぺらぼうさんです (≧∇≦)
手前は釜揚げ蕎麦ですね。
奥は、冷めないようにと小皿で蓋をされたあたたかいつけ汁でした。
私は温度がやたら気になるタチで、
個人的にしょっちゅうこういう「蓋行為」をしてるので
この配慮を見て拍手しちゃいました〜
もわあ〜〜とあたたかい湯気にのって香るかぐわしさ。
不思議なことにさっきの「もり」と香りが違って感じられ
こちらの方がシャープな野生がある。
そしてつけ汁に蓋をしてまで守ってきた温度だけにあっつあつ♡!
その中でまったくへたらずコシをキープしている蕎麦がすごすぎる。
あんなに繊細に感じたのに!?
ここで私はさらに、もっとこのお蕎麦の香りを感じたくなり、
蓋の役割で登場した小皿さんに
お蕎麦を盛り付けてしまいました。
お外にいらした方が香りは出やすいかと思い〜 (≧∇≦)
かっ かわいい♡
そしてやはりこうするとますます香りましたあ〜〜!
おいしい〜〜!!
「かまあげ」のすばらしいところは
汁がほぼそのまんま蕎麦湯みたいなものなので
全部飲みたくなってしまうほどおいしい。
でも、これを飲み干してる場合ではないほど
もんんんのすごい蕎麦湯が出てきて、
それどころではなくなりました!!
え。
こ、これは・・・
私が今まで出会った中でもこれだけ濃厚な蕎麦湯ってあったかな!?
しかも蕎麦湯なのに美しいホシが飛んでいて・・・
なんですかコレー!
この濃厚さをお伝えしたく、片手で頑張って撮りました! (≧∇≦)
蕎麦湯って濃厚なら美味しいってわけではもちろんなく、
このように後から蕎麦粉を足して濃厚蕎麦湯を作ってくれている場合は
当たり前ですがどんな蕎麦粉を足しているかが味を大きく左右してしまうわけです。
超濃厚だけど、味は・・・ってのももちろんあります。
しかーし!この「きくち」の蕎麦湯はすごかった!
美味しすぎた!!
脳が痺れていくのが見えるような恍惚の香り。
もぐもぐしながら飲みたくなるほどの美味しい蕎麦の味わいと
ぽってりとろとろの質感。
あああああ もう本当に今夜は
脳が溶けそう・・・ってか溶けました・・・
次回は
「九条ねぎとお揚げのつけ汁」
のお蕎麦も食べてみたいーーー!!
「あのっ すみません 蕎麦湯とおすすめの上がっているお酒おねがいします」
「蕎麦湯おかわりをお願いします」
・・・・
・・・・・
「すみません お勘定おねがいします」
嫌な客だ・・・
なんか 蕎麦湯だけで 充分なような・・
>「はっ はじめまして・・・ おじゃまします ここで良いですか?」
>
>「あのっ すみません 蕎麦湯とおすすめの上がっているお酒おねがいします」
>
>「蕎麦湯おかわりをお願いします」
>・・・・
> ・・・・・
>「すみません お勘定おねがいします」
>
>嫌な客だ・・・
>
>なんか 蕎麦湯だけで 充分なような・・