2020年10月02日

浅草「寺方蕎麦 長浦」


どこへ行っても「もりそば」一本の私だが、
中には例外もある。

例えばこの店(下記URL)は、私が「もりそば」を注文しない全国でただのひとつの店だが、
それはごく幼い頃から家族と行っていて
その頃からのハズせないメニューがあるためであり、例外中の例外である。
(例→http://ayakotakato.seesaa.net/article/373042043.html

それ以外の店で種物が食べたい時は
「種物も食べるけどもりそばも絶対食べる」
という作戦?を取ることになる。
しかしこちらのお腹は一つなので話は大変悩ましい。


この店も、種物が美味しすぎて悩ましいお店の一つ。


IMG_7282.jpg

まあ〜もうなんだかおつきあいが長すぎて
私の彼氏か家族かって気がしてきてしまうような外観なのだが、
相変わらずこの佇まいにはシビレる。
並んだ看板のずっしりしたカッコよさ!!
「妙興寺そば」「そば雲水」
私にとっては歌舞伎の「まねき」みたいなもので
憧れのスターの名が此処に並んでいるのです(≧∇≦)


そしてこの暖簾。

IMG_7284.jpg

カーッ たまりゃん!!
こうこなくっちゃねえー(≧∇≦)




浅草は時節柄どこもガラーンとしているが
本日この長浦はなんと待ちが出ている人気ぶり。
ごく小さな店なので仕方がないのだが、
私も外で数分、中の席でも少し待って、
やっとテーブルにつくことができた。

IMG_7295.jpg


店内は渋さを極めているが
花番さんの花のような笑顔と明るい声が
いかにも甲斐甲斐しい。



さて問題のメニューを眺めますよ。

IMG_7287.jpg


冒頭に書いた通り、普段なら1行目の「もりそば」一択の私なのだが
此処は種物がいろいろと図抜けて美味しいので
そういうわけにはいかないのである。

ちょっと見かけないメニューも多いでしょう?
「油そば」
「妙興寺そば」
「雲水そば」
「葛引きそば」
など。



説明が遅くなったが、店の外の看板にもあった
「妙興寺そば」というのはこの「長浦」の一番の特徴である。
愛知県一宮市の妙興寺に江戸時代から伝わる「蕎麦覚書」を元に
先々代が店を始めたのだ。
故に「寺方蕎麦 長浦」と名乗っている。

私の記憶ではその「蕎麦覚書」には
蕎麦は打ってから一晩以上寝かせる、と書いてあったはずである。
そしてその蕎麦の食べ方、アレンジとしては
冷たい蕎麦の上に千切り大根を載せる、というのが代表的なもので
それがこの「長浦」の看板メニュー、「妙興寺そば」となっている。


今日は久々だし、是非その「妙興寺そば」を食べようと思っていた。
しかし・・・
私にはどおお〜しても大好きな人が他におりまして。。。


その人ね、本当に本当にスゴいんです♡
まず注文してしばらくしたら
厨房から「ゴ〜ゴゴ〜」と地鳴りのような
低い音が長い間響いてきます。
そしてやっとお会いできたその人の神々しいまでのお姿ときたら!!!!


「雲水そば」
IMG_7315.jpg

なんという美意識。

なんという世界。

あなたは枯山水ですか?



心打ち震えすぎて激写しまくり。

IMG_7318.jpg

みなさんこれ、とろろ蕎麦じゃあないんですよ〜(≧∇≦)
なんだと思いますか?


なんと、「大根おろし」なんです!
このなめらかな表面からは想像できないですよね?



たーっぷりの大根おろしの下に、お蕎麦さんがぎっしり控えています。

IMG_7320.jpg

しかもこの大根おろしがですね、
見てお分かりでしょうが
そんじょそこらの大根おろしとは別世界のおろし様でして!!

いったいどうやったらこんなふうにおろせるのかというほど
大変細かくおろしてあるのだ。
あのゴゴゴゴ〜という音に秘密があるのだと思うのだが、
すり鉢でもないし・・・
鮫皮の山葵おろしの大根版みたいなものがあるのかしらん?

とにかくこんななめらかでとろんとろんの大根おろしは
他の何処でも食べたことはない。
その美味しい大根おろしと絶品の手打ち蕎麦に
蕎麦汁ぶっかけて食べたら、美味しすぎて悶絶しますって!!
ああ好き・・・何度食べても大好き、雲水さま・・・


こ〜れ〜は〜ねぇ〜〜〜
是非みなさまにも一度体験していただきたい
超越した世界です。


本日あらためて、この「長浦」の悩ましさを再確認しました。
だって「もりそば」は絶対食べたいけれど
この「雲水そば」も次回も絶対食べたいじゃないですか!!(≧∇≦)



でも「長浦」の悩ましさは「雲水そば」だけではないのだ。
もちろん看板メニューである「妙興寺そば」も美味しいし
私もまだ食べたことのないものも含め魅力的な種物がいろいろ。
その中でも私のリピート率が高いのがこちら。


「納豆そば」
IMG_7310.jpg

この非凡さ。

写真で伝わるでしょうか?

「納豆そば」ってやっているお店は結構あると思うのですが
やはり納豆そのものの味が強烈であることや
そこに合わせる薬味も定番があるので(ネギ、大根おろし、生卵、海苔など)
割とどこで食べても結構似てる印象の種物になるんですよね。

ところが「長浦」の「納豆そば」はこれまたブチ抜けております。
こんな「納豆そば」、他の何処でも食べたことがありません。



IMG_7312.jpg

まずメンバーの顔ぶれが全然違う。
たけのこ、しいたけ煮、かまぼこ、大根おろし、ネギ、山菜、きゅうり、漬物。
面白い!!
密でなめらかさのある食感のメンバー達が
選ばれているのがわかる。

しかし何よりこの「納豆そば」を非凡なものにしているのは
その納豆そのもの、である。

写真で見てもわかると思うが、これまた「雲水そば」の大根おろし同様、
どうしたらこんなに細かく擦れるのかというくらい
ほぼペースト状になるまで、
なめらかあああああー!!!!
に、擦ってあるのだ。

この強烈になめらか美味しい納豆と、
密&なめらか食感で一般から選抜されたメンバー達と
絶品手打ち蕎麦に蕎麦汁ぶっかけて食べる・・・
何をどうしたらこんなすごい計算ができるのか!?
他の何処でも体験できない、超越した美味しさの
「納豆そば世界」がそこにあるのだ。
いやー これも本当に毎回食べたくなる美味しさ!!



この「納豆そば」は味も素晴らしいが見た目の美しさも非凡である。
この器、思い切り小さいのだ。

IMG_7313.jpg

小さな器にぎゅっと盛り込まれた、とびきりのメンバー達。
器は小さいけれど量は少なすぎることはなく
大満足の「納豆そば」だ。

 


最後に、これも毎回外せない「もりそば」。

「もりそば」
IMG_7297.jpg

この木のせいろが個性的で
ちょっとお寺っぽくていいですねえー


IMG_7304.jpg

明るめの肌に黒いホシが散らされた、都会の素朴な風情。

箸先から香りを寄せると、さすがは打ちたてではなく寝かせた蕎麦。
ものすごい熟成感が伝わってくる。
しかし嫌味のない美しい熟成感で、
ナッツやゴマのような甘い香ばしさがムンムン。
熟成は数時間で様変わりするので難しいが
「長浦」の熟成はいつも最高のタイミングで出されてくるのがさすがだ。

食感はすこーしだけパキッとする感じがあり
コシもあまりないのだが、舌触りがなんともなめらかで心地よい。

蕎麦汁は少し変わっている。
単体で味わうと出汁の旨味はあるが香りがなく、
醤油を強く感じる甘めの汁なのに
蕎麦をつけるとやたら美味しいのだ。
不思議!!


今日はご紹介できなかったが
ここは「おつまみ」もめちゃくちゃ美味しいので
それはまた次回夜行った時に〜

IMG_7289.jpg




(明るい声で甲斐甲斐しく働く花番さんが
忙しい中お客さんが入れ替わるごとに
テーブルの上も薬味の器やメニュー立てまで
全て除菌しているのに感心しました!!)

posted by aya at 17:10 | Comment(0) | 東京の蕎麦>台東区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。