もうどうなってもいいと思うほど愛している。
知る人ぞ知る名店ではあるが、万人受けする店ではないと思う。
気が向いた時にちょいと行って軽くたぐる、というのには向かない。
店主夫妻が高齢なこともあり近年は予約のみ。
それだけで蕎麦屋としてはハードルがかなり上がってしまう。
値段も安くはなく「せいろ 1300円」から始まる物語。
そうしょっちゅう来られるものではない。
そして何より、店内には不思議な「大黒屋時間」が流れている。
待たされる時は時空が止まったんじゃないかと思うほど待たされる。
私は最高で「お茶が出てくるまでに40分」
という記録を持っている。
(しかもお客さんは私以外に1組しか居なかった!)
それでも、私はもうどうなってもいいと思うほどこの店が好きだ。
観音裏の、この構え。
寒さのせいでなく胸が震える。
外に向かって大きく主張することなく一歩控えた姿。
この緑の間をくぐっていく感じもいい。
細長い店内は掘りごたつ式の座敷席がメインで、壁際には2人用のテーブル席もある。
私は一人で来る時は大体ここに座る。
今夜は他に2組のグループ客。
どちらもここの冬の名物「鴨すきうどんなべ」をメインに楽しんでいる。
そりゃここの鴨鍋は最高においしいからね〜〜(大黒屋の鴨鍋ブログはコチラ)
しかし今日はやっぱりお蕎麦をメインに、
普段の大黒屋を思う存分楽しみたい。
いつ見ても惚れ惚れする、白扇に書かれたメニュー。
「おせいろ 1300円」
「そばがき 1800円」
「そばやきみそ 700円」
他で見たらドン引きな価格設定。
しかし私は、この店を出る時に高いと思ったことは一度もない。
価格以上の感動、物凄い世界が、この後待っているのだ。
「天ぷらちらし」
いかにもかろやかに、バランスよく盛り付けられた天ぷら。
見た目も美しいがその味の素晴らしさときたら!!
一口かじりついただけで笑い出しちゃう天ぷらって凄すぎます。
海老の天ぷらにかじりついた瞬間、まだ口には全部入っていないのに
「同じ天ぷらでなんでこんなにも違うものか!!」
と眼が覚めるように感動し、
と眼が覚めるように感動し、
これからやってくるさらなる美味しさの予感に
キャハハハハー!と笑いだしてしまった私 (≧∇≦)
とにかく衣がおいしい。
揚げ方が別次元にうますぎる。
ふんわりさっくり、中の素材が100倍美味しく感じる天ぷら!!
「玉子やき」
ふるんっふるんっと震えながらテーブルに到着した玉子やき。
東京らしい甘口で、ふっくら極上の食感!
そこにおろしと、ほんの少しだけお醤油をつけて食べるのが
たまらなく美味しいんですね〜〜
玉子やきの背後におろしとお醤油が見えると思うんですが、
そのお醤油の量にご注目。
カーーッ 粋だよねえ〜 (≧∇≦)
そしてメニューに戻らせていただきますが
毎度毎度私の胸を揺さぶり惑わす憎い憎いこのお二方をご覧ください。
「普通そばがき」
「妙高あらびきそばがき(こそば使用)」
そんなもんどっちも食べたいにい決まってるでしょう!?!?
と叫びたいがお値段とお腹の都合上一つに決めなくてはなりません。
微粉の「普通そばがき」もそりゃあそりゃあ腰抜かすほど美味しいんですが、
本日は「映え」狙いもありましてこちらに♡
「妙高あらびきそばがき(こそば使用)」
どどーん。
なにかの武器とか、前方後円墳とかではありません。
私はこの大胆な器も大好きです♡
見入れば、そこは宇宙。
ウッ・・・
わかってはいたものの、そこに在るものの凄みに、私は固まる。
この粗挽きの粒たちと、もっちりした肌の調和。
モワーー!と強烈に香ってくる、最高のかぐわしさ。
えーんえーん
こんなに素晴らしいのものを、
私の口に入れちゃっていいんですかあ〜
入れちゃいますよ〜
エイ
ああああああああ
ああああああああああああああ
超越、としか言いようのない異次元の美味しさ・・・
なにをどうしたら、ここまでの世界に到達できるのか?
まずはこの、胸をかき乱されるほどのかぐわしさ。
こうばしさと、王道の蕎麦の穀物感に満ちた馥郁たる香り。
食感は、ねっとりとふっくらの絶妙なバランスで
そこに散りばめられた粗挽きの粒感がもうただただニクイ加減である。
荒いのだが、ことさらでない。
見た目よりはずっと優しい。
しかし一歩控えつつも口中全体に主張してくる粗挽き感が、
なんとも洗練された田舎の風情である。
そしてそれらだけに酔う間もなく、舌にぎゅうぎゅうと押し込まれてくる
このグルタミン酸を感じる強烈な、濃厚な旨みはなんなのでしょう!!
これが穀物だけから生まれる旨みって凄すぎる。
愛する愛するお蕎麦の旨みが、こんなに凝縮されて口の中で爆発されたら
私はもうもうもう、
うお〜ん うお〜んと吠えるか、むせび泣くしかないわけなのですが
それはさすがにおかしいので私は先ほどからそれを我慢して
ただただこの超越した世界と、壊れていく自分を見つめるしかないわけです・・・
壊れすぎて
「すべてのそばがきがこうあってほしい」
なんていう傲慢な?フレーズが脳に点滅してしまうほどの
飛び抜けた美味しさ。
これが1800円でよかったとおもいます・・・
じゃないと私猫みたいに毎日ここにきてしまいます・・・
本命の「おせいろ」が来る前にこんなに壊れてしまいましたが
ここではこれが通常運転。
なにしろ何を頼んでもケタ違いに美味しいのだから、
そりゃあ予約のみだろうが多少待たされようが
「だから何?」というくらい、私はこの店を愛しているのだ。
「おせいろ」
気がつけば、私はあなたしか見えない。
両隣のテーブルの賑わいも、今日ここに来るまでにあったことも全て忘れ、
吸い込まれるようにその美しさに見入る。
日本が世界に誇るべき絶景が、ここに在る。
暗めの肌に無数の粗挽きの粒をはらみつつも
どこまでも繊細で優しい風情の、極細の平打ち。
ここの「おせいろ」を愛してやまない私は
これから無限の宇宙に引きずり込まれる覚悟を決め、そこに飛び込む。
鼻腔から脳を染める、甘みのない深く渋い香ばしい香り。
ちょっと日本離れした、ヨーロッパの蕎麦粉などにあるような
外皮のしぶーいスモーキーな香りをうんと綺麗にした感じ、
のかぐわしさに新鮮にビックリする。ここまでやるかー!
口に含んでさらに驚く。
ピキーッと潔いまでに、ギンギンに冷たくしめられているのだ。
この冷たさにしてこんなにも香るとは、
もう奇跡とか魔法とかそういうレベルの話である。
噛み締めてさらにシビレる極細の繊細さ、密な平打ちの質感。
私の大好物の、中国の干し豆腐を思わせる密な肌だ。
しかし食感は干し豆腐とは無論別物で、ことさらな弾力やコシを感じないのに、
歯で簡単には噛み切らせない、でもやわらかい、小慣れたコシ。
その上、噛み締めずとも舌にのっただけでぎゅうぎゅう押し込まれてくるような
濃厚な味わいに見舞われ、完全にノックアウトされる。
先程のそばがき同様、グルタミン酸系強烈な旨味。
粗挽きゆえ、ぷつぷつとした刺激も感じるがそれもことさらではなく、
すべてが繊細さと優しさと超越した洗練の中にある。
これだけあらゆる方向から私に襲いかかり盲目にしてしまう麻薬的な魅力。
自分の中を駆け抜ける衝撃的と言っていい美味しさと、
またまたむせび泣きたいほどの感動の渦の中で
「私はあなたに全てを捧げたい。」
と澄んだ熱い思いを一心に捧げつつ、
その相手をあっという間に全部食べちゃったこの矛盾に満ちた愛の世界。
毎度毎度私を狂わせる、とんでもなく超越した美味しいものばかり出すこの店の壁には
こんな書き物が。
「何でもないありふれた手打せいろそば」
いやいやいやいや・・・
いかにも一茶庵「友蕎子」片倉康雄さんの直弟子のお店らしいが・・・
かっこいいにもほどがあるでしょーーーー!!
(その下の靴べらコレクションもなんだか微笑ましい(^^)
ブーツスタンドもあるよ!)
ここのもうひとつの名物と言っていい
ひょうひょうとした個性の素敵なおかみさんが
少しお元気がないのが心配だったが・・・
店主はバッキバキにお元気!!
一言話しただけでその頭脳のキレっぷりが伝わる、
はっきりとしたエネルギッシュな物言いにホッとする。
この宝物のような店は、ずっとここにあってほしいのだ。
私が蕎麦屋について書き続ける理由はこんなところにある。
宝物のような店は、毎日毎日、何十年も宝物のような店であり続けるのに
それは人々の舌と記憶の中だけに、それぞれに残るばかりで、
記録としては何も残らない。
写真はあっても、その味や、雰囲気や、そこに流れていた時間は残しようがない。
私はなんとか、そのほんの少しのかけらでも残したくて。
稚拙な私の筆でも、何かをあらわし残すことができたらと
そこで私が感じた全てを、こうして書き続けているのだ。
とにかく衣がおいしい。
揚げ方が別次元にうますぎる。
ふんわりさっくり、中の素材が100倍美味しく感じる天ぷら!!
「玉子やき」
ふるんっふるんっと震えながらテーブルに到着した玉子やき。
東京らしい甘口で、ふっくら極上の食感!
そこにおろしと、ほんの少しだけお醤油をつけて食べるのが
たまらなく美味しいんですね〜〜
玉子やきの背後におろしとお醤油が見えると思うんですが、
そのお醤油の量にご注目。
カーーッ 粋だよねえ〜 (≧∇≦)
そしてメニューに戻らせていただきますが
毎度毎度私の胸を揺さぶり惑わす憎い憎いこのお二方をご覧ください。
「普通そばがき」
「妙高あらびきそばがき(こそば使用)」
そんなもんどっちも食べたいにい決まってるでしょう!?!?
と叫びたいがお値段とお腹の都合上一つに決めなくてはなりません。
微粉の「普通そばがき」もそりゃあそりゃあ腰抜かすほど美味しいんですが、
本日は「映え」狙いもありましてこちらに♡
「妙高あらびきそばがき(こそば使用)」
どどーん。
なにかの武器とか、前方後円墳とかではありません。
私はこの大胆な器も大好きです♡
見入れば、そこは宇宙。
ウッ・・・
わかってはいたものの、そこに在るものの凄みに、私は固まる。
この粗挽きの粒たちと、もっちりした肌の調和。
モワーー!と強烈に香ってくる、最高のかぐわしさ。
えーんえーん
こんなに素晴らしいのものを、
私の口に入れちゃっていいんですかあ〜
入れちゃいますよ〜
エイ
ああああああああ
ああああああああああああああ
超越、としか言いようのない異次元の美味しさ・・・
なにをどうしたら、ここまでの世界に到達できるのか?
まずはこの、胸をかき乱されるほどのかぐわしさ。
こうばしさと、王道の蕎麦の穀物感に満ちた馥郁たる香り。
食感は、ねっとりとふっくらの絶妙なバランスで
そこに散りばめられた粗挽きの粒感がもうただただニクイ加減である。
荒いのだが、ことさらでない。
見た目よりはずっと優しい。
しかし一歩控えつつも口中全体に主張してくる粗挽き感が、
なんとも洗練された田舎の風情である。
そしてそれらだけに酔う間もなく、舌にぎゅうぎゅうと押し込まれてくる
このグルタミン酸を感じる強烈な、濃厚な旨みはなんなのでしょう!!
これが穀物だけから生まれる旨みって凄すぎる。
愛する愛するお蕎麦の旨みが、こんなに凝縮されて口の中で爆発されたら
私はもうもうもう、
うお〜ん うお〜んと吠えるか、むせび泣くしかないわけなのですが
それはさすがにおかしいので私は先ほどからそれを我慢して
ただただこの超越した世界と、壊れていく自分を見つめるしかないわけです・・・
壊れすぎて
「すべてのそばがきがこうあってほしい」
なんていう傲慢な?フレーズが脳に点滅してしまうほどの
飛び抜けた美味しさ。
これが1800円でよかったとおもいます・・・
じゃないと私猫みたいに毎日ここにきてしまいます・・・
本命の「おせいろ」が来る前にこんなに壊れてしまいましたが
ここではこれが通常運転。
なにしろ何を頼んでもケタ違いに美味しいのだから、
そりゃあ予約のみだろうが多少待たされようが
「だから何?」というくらい、私はこの店を愛しているのだ。
「おせいろ」
気がつけば、私はあなたしか見えない。
両隣のテーブルの賑わいも、今日ここに来るまでにあったことも全て忘れ、
吸い込まれるようにその美しさに見入る。
日本が世界に誇るべき絶景が、ここに在る。
暗めの肌に無数の粗挽きの粒をはらみつつも
どこまでも繊細で優しい風情の、極細の平打ち。
ここの「おせいろ」を愛してやまない私は
これから無限の宇宙に引きずり込まれる覚悟を決め、そこに飛び込む。
鼻腔から脳を染める、甘みのない深く渋い香ばしい香り。
ちょっと日本離れした、ヨーロッパの蕎麦粉などにあるような
外皮のしぶーいスモーキーな香りをうんと綺麗にした感じ、
のかぐわしさに新鮮にビックリする。ここまでやるかー!
口に含んでさらに驚く。
ピキーッと潔いまでに、ギンギンに冷たくしめられているのだ。
この冷たさにしてこんなにも香るとは、
もう奇跡とか魔法とかそういうレベルの話である。
噛み締めてさらにシビレる極細の繊細さ、密な平打ちの質感。
私の大好物の、中国の干し豆腐を思わせる密な肌だ。
しかし食感は干し豆腐とは無論別物で、ことさらな弾力やコシを感じないのに、
歯で簡単には噛み切らせない、でもやわらかい、小慣れたコシ。
その上、噛み締めずとも舌にのっただけでぎゅうぎゅう押し込まれてくるような
濃厚な味わいに見舞われ、完全にノックアウトされる。
先程のそばがき同様、グルタミン酸系強烈な旨味。
粗挽きゆえ、ぷつぷつとした刺激も感じるがそれもことさらではなく、
すべてが繊細さと優しさと超越した洗練の中にある。
これだけあらゆる方向から私に襲いかかり盲目にしてしまう麻薬的な魅力。
自分の中を駆け抜ける衝撃的と言っていい美味しさと、
またまたむせび泣きたいほどの感動の渦の中で
「私はあなたに全てを捧げたい。」
と澄んだ熱い思いを一心に捧げつつ、
その相手をあっという間に全部食べちゃったこの矛盾に満ちた愛の世界。
毎度毎度私を狂わせる、とんでもなく超越した美味しいものばかり出すこの店の壁には
こんな書き物が。
「何でもないありふれた手打せいろそば」
いやいやいやいや・・・
いかにも一茶庵「友蕎子」片倉康雄さんの直弟子のお店らしいが・・・
かっこいいにもほどがあるでしょーーーー!!
(その下の靴べらコレクションもなんだか微笑ましい(^^)
ブーツスタンドもあるよ!)
ここのもうひとつの名物と言っていい
ひょうひょうとした個性の素敵なおかみさんが
少しお元気がないのが心配だったが・・・
店主はバッキバキにお元気!!
一言話しただけでその頭脳のキレっぷりが伝わる、
はっきりとしたエネルギッシュな物言いにホッとする。
この宝物のような店は、ずっとここにあってほしいのだ。
私が蕎麦屋について書き続ける理由はこんなところにある。
宝物のような店は、毎日毎日、何十年も宝物のような店であり続けるのに
それは人々の舌と記憶の中だけに、それぞれに残るばかりで、
記録としては何も残らない。
写真はあっても、その味や、雰囲気や、そこに流れていた時間は残しようがない。
私はなんとか、そのほんの少しのかけらでも残したくて。
稚拙な私の筆でも、何かをあらわし残すことができたらと
そこで私が感じた全てを、こうして書き続けているのだ。
思い出される時を経、黄ばんだ心の印画紙に焼き付けられた写真。
この大黒屋へのayaさんの思いをどこかの誰かが読んで、愛すべき大黒屋さんを同じように心の印画紙に黄ばむまで焼き付けてくれるといいな・・・
素敵な報告ありがとう。
>ななしの而酔而老さん
>嬉しいお言葉ありがとうございます(T_T)