2018年06月13日

神田「神田まつや」



日本が誇る、美しき蕎麦の景色。

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ビルとビルに挟まれて尚昔のままの姿で佇むそ建物は
私にとってはこれが国宝でなくて何なのかというほど美しい。愛おしい。




店先の樹木やつくばいは清々しく整えられ、初夏の陽に輝いている。

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紺地の暖簾に白く小さく染め抜かれた「手打」の文字。
私はシビれ、しばし恍惚と見入る。

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なんたって「好きな言葉は手打ち蕎麦」と本気で言い切る私、
「蕎麦」という漢字も「手打」という響きも、
見入るほどに恋人の名のような気がしてくる。



人気者は近所の人にも観光客にも愛されてしまうので
店内はいつも大賑わい。

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(人が多い時は天井に向けてコッソリ(^^;;))


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店内の印象は昔と変わらず
人々がぎゅうぎゅうひしめく古き良き蕎麦屋の風情。

実は座席のレイアウトは昔とは変わったのだが
先日とある場所で蕎麦関係者&蕎麦好きの会話に加わる機会があり
この店の昔のレイアウトを覚えていたのが
その時たまたま私と、60代?の某名店店主だけだったので
私は自分が一体何歳なのか不安になりました・・(^^;;




まーなんというか、メニューを見ているだけでも心が和みますね!!
隅から隅まで、これぞという直球スタンダードを
余すところなくおさえてくれている感じ♡

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おつまみ系もちょいといきたくなる粋なものがバシッと揃って
かっこいいったらありゃしない。
かーっ たまんないねえ(≧∇≦)

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店主じゃなくて亭主、なところも
まつやさんに言われるとなんだかグッときてしまう。
いやーん、すすめられたらそのまま素直に倒れます〜

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昼間に「まつや」に来たからには当然行くでしょ!(え じゃあ夜は?)

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そしてたいして飲めない私でもお酒が進みまくってしまう
超デンジャラスなちっさいカタマリがこちらにはございまして・・・

「うに」
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こ〜れ〜が〜ね〜〜〜
地上の旨みを全て凝縮したようなこの犯罪的魔力。
ひと舐めで目ぇかっぴらく! 
ひと舐め後3秒以内にお酒が口に入ってこないとぜったいイヤ!!
ってなわけで

うに・・お酒!! 
あ”〜〜〜〜〜〜

うに・・お酒!! 
あ”あ”〜〜〜〜〜〜

「酒量だけは小鳥」な私は10分で泥酔できてしまうわけなのです。
すみませ〜〜んお水ください〜〜〜(≧∇≦)



これも忘れてはなりません。

「青大豆 冷し豆腐」
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初夏の風が心を吹き抜けるかのようなさわやかな薄青緑。
そこに茗荷、白葱、紫蘇、生姜の香り高い薬味4種揃い踏み!


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薬味に大喜びした割にお豆腐自体が美味しすぎてぜんぜん使えません。
甘みに走ったイマドキなめらか豆腐と違い
甘みさわやか、旨みは濃厚!
すっきりと、でもじんわり深く舌に溶けていく大豆の旨みを追いかける喜び・・
このお豆腐は本当に美味しい!!




「焼鳥」
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ここで修業したお蕎麦屋さんにおいて、まつや風の焼鳥、というメニューが人気を博すほど
一つの地位を確立している「神田まつや」の「焼鳥」。
むっちりと弾力があり柔らかいのに食べ応えがある。
素材も焼き加減も最高で、さすがとしか言いようがない美味しさ。
だいすきー!!



久々に「神田まつや」でゆっくりとした時間を過ごし
時間の流れとか思い出とかいうものが景色の中にひょっこり顔を出す。
学生時代はよくここに一人で来て「もり」だけ食べて帰ったものだ。
相席になった、とある会社グループの女性部長さんが
「この子のぶんはアタシが払う!!」
となぜか「もり」をご馳走してくれたことも。
(その会社のものを見かけると今でも贔屓に買うようにしています(^^))
確かに20歳くらいの女の子が夜一人で「神田まつや」で「もり」をたぐっていたら
目につくのかもしれないがアタシが払うはすごすぎる。
そのくらい席が近くて心も近くなる、お江戸の蕎麦屋「神田まつや」なのだ。

柱時計や「生蕎麦」と彫られた立派なこね鉢を眺めながら
私は今心地よい「まつや」の喧騒の中にいる。

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どーん。

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うふ。
やっぱり食べたい「そばがき」。
「神田まつや」の「そばがき」は大きな塗りの木桶に入ったザ・老舗スタイル。
「花巻そば」などと同じく
蓋を開けた時のモワ〜という湯気と香りを狙った
江戸のニクイ演出なわけですが・・・・


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モワ〜〜〜〜♡

ああああああ

その日初めて体に入る蕎麦成分って液体だろうが気体だろうが
なんでこんなに感動的に私の全身の細胞を駆け巡るんでしょうね〜
本気で麻薬としか思えません!!
老舗らしい、木の葉型がお湯に沈んだタイプのそばがき。


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一口食べて、ウワーーー
これは感激!なんという美味しさ!!
青く澄んださわやかさ、ふっくらとした香ばしさ、まろやかな滋味深さ。
蕎麦の王道の美味しさと香りが最高レベルで、
しかもバランス良く私の脳を染めてくる。
もっちりとした質感もネチ過ぎずトロ過ぎず、粋さを失わない絶妙のバランス。
一口ごとに蕎麦の旨みが濃厚に舌に伝わって来て、
だんだんそれが重なってくると「何か味付けしましたか!?」というくらい
出汁のようなはっきりした旨みにすら感じてくる。
はあーー・・・・
奇を衒わぬ「王道の最高形」に射抜かれ
もう何が何だか へにゃ はにゃ・・・・




「もり」

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日本が誇るこの絶景。
私ははっと心を奪われる。

その曲線は優美に軽やかに私を誘い、
心を捕らえて離さない。

美しい・・・
穀物を水でこねただけのものが木の器に盛られただけで
なぜここまでの世界に達することができるのだろう。
大げさと言う勿れ、私は茶の湯の美意識に勝るとも劣らぬ美と本気で思っている。
この小さな30cm四方の中に、非の打ち所なき完全な世界がある。




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これだけうっとり賛美してきたが
「神田まつや」の蕎麦はぼんやり食べると
ぼんやりしたまま食べ終わってしまいそうに「普通っぽい」。
そこが畏敬せずにおられぬ「まつや」の素晴らしいところと私は思っていて、
「ここ」と狙った最高の「普通の美味しさ」なのだ。
「神田まつや」と比べると某有名老舗は私にとっては個性派だし
結構行くたびに印象が違ったりする(そういうのも大好きだけど♡)。
しかし「神田まつや」の蕎麦はいつ来ても
狙い定めたようにこの感じ。
その一分の隙もない姿には「中庸」の凄みすら感じる。
格別に香り高いわけでもなく、粗挽きの舌触りが楽しめるわけでもない。
ほんわかプンと短く香る蕎麦のかぐわしさとにくいほど完璧な二八ならではのコシ、
すっきりと誠実な味わいのバランスが素晴らしい。参りました。あなた最強です。
ああ〜「まつや」はやっぱりいいなあ〜〜




ちなみに学生時代は手が出なかった「天もり」なんてぇものも
大人になった私は拝めちゃうもんね(≧∇≦)

「天もり」
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「神田まつや」の「天もり」はちょっと個性的な二段重ねスタイル。



お蕎麦は下から出て来ます(^o^)

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この天ぷらがまた異常なまでの美味しさでありまして!!

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この衣のサクサクシャクシャクと細かい軽さ、味わい。
なんちゅう上手な揚げ方・・・
も〜〜〜〜 美味しすぎて困るんですけど〜〜
蕎麦も天ぷらも止まらないんですけど〜〜
(酒量以外は小鳥じゃないもんで(^^;;)




初めてこの店に来たのはいつだったのか、
私はもう覚えていない。

喧騒の中、賑やかな店内を見るともなしに見ていると
たくさんの思い出がその景色の中にひょっこり顔を出す。

そして私にとって一番新しい記憶である今日のこの店で過ごした時間は
何十年後かに私がここ来た時、
また景色の中に愛しく顔を出すのだろう。









posted by aya at 19:00 | Comment(0) | 東京の蕎麦>千代田区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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