とにかくシビれる、このシチュエーション。

新宿区荒木町の路地裏。
こんなところに蕎麦屋があったらいいな、というところに「手打ちそば」の幟がある。
やっぱりシビれるぅぅぅ〜〜〜
すんきそば??
そしておでんも本格的で楽しそう〜

階段を上って現れる空間もまた独特。

カウンター席はテーブル席より一段高くなっていて
その間に仕切りがあるユニークな作りになっている。
なにより目につくのは壁いっぱいのメニュー。
それも9割がお酒!
そうここは「手打ちそばと信州の地酒」という店なのだ。
ひとつひとつに詳しい説明があるのが素晴らしい。
私だってお酒強かったらこの壁眺めながら永遠に飲んでられそう(≧∇≦)
いかにも真面目そうな女性店主は厨房で大忙しでなかなか姿が見えないが
呼ばれると手を空けて客席のほうにやってくる。
お酒のエキスパートらしく
お客さんにどのお酒について尋ねられても特徴をぱっと答えている。
そんな私が数ある中からお酒はコレ!

理由は「松本城(お城)が好きだから」。
何か?(* ̄∇ ̄*)
いいんです、あのだーい好きなストイックな黒漆塗と白壁のコントラストを思いつつ
飲みたいんです!

おお〜長野らしいといえば長野らしいガツンとした感じ。
入り口はガツンなのだがそのあとのひろがり方がまるく香り高くやさしい。
またこの「酒の肴」の「酒の肴」っぷりときたらどうよ!
わさび漬け、蕗味噌、かまぼこ、いりこ。
お酒好きの心を鷲掴みにするこの渋くも完璧な肴!
かーっ たまりゃん!
って偉そうなこと書いて私「酒量だけは小鳥」なんですが・・
(5mlのお酒で5秒で酔って15分後に冷めるという人間離れしたサイクルを展開)
おつまみも長野らしいものが多い。
「信州珍味4種盛り」は
信州昆虫食文化、「いなご」「蜂の子」「さなぎ」「ざざむし」の甘辛煮だそうで・・
珍味系好きな私ではありますが昆虫はやっぱり怖い・・ムリ(*´д`*)
というわけで、お蕎麦屋さんの王道おつまみ。
「そば焼き味噌」

こちらのは正統クラシックしゃもじスタイル♡
綺麗にできてるなあ〜
荒木町の路地裏で、「松本城」を傍らにこの眺め、たまらなすぎる・・・!

しかもここのは特に、大変においしい。
メニューに
「白味噌、そば米、信州産生クルミ、ネギ、本枯れ鰹節」
と書いてあるが、ザクザク香ばしく甘みもちょうどよく焼き加減も素晴らしい。
(焦げ大好き)
これはここに来たら毎回頼みたい!
「国産牛すじ煮込み」

煮肉愛好会会長(会員1名)としては煮込みはどこでも見捨ておけない一品。
ここのはコラーゲン部分が大きくてプリンプリン!
味の濃さ甘さもおつまみにちょうどいい具合で大変美味しい。
「きつねサラダ」

大皿にどーんとボリュームたっぷり。
焼いたお揚げと7種の野菜の和風サラダ。
柑橘の爽やかなドレッシングでパクパク食べられしかも軽い、とてもいいおつまみ。
「せいろ」

お〜横長の端正なせいろに二山盛り。
店の雰囲気からするとなんとなく意外なスタイルでやってまいりました。
非の打ち所なき美しさ・・!

キンと冷えた空気が運ぶ、爽やかな野生の香り。
二八らしく小麦の甘さも感じる香りだがそれも爽やかな甘さ。
口に含むと思い切り冷たくしめられた肌はピンピンと跳ねるような硬めの食感で
噛み締めると二八らしからぬ密な歯ごたえ。
端正な細打ちの姿からすると意外な、モグモグ噛みしめて味わう感じ。
運ばれてきた時は量はそれほど多く感じなかったが
モグモグ噛みしめるのでたっぷりあるように思える。
香りは最初が一番強く感じられ、だんだん儚くなっていったが
噛み締めた内側から溢れるやさしい味わいと甘みを追いかけ・・・
荒木町の路地裏で、私は今こんな美しい蕎麦を見つめている。

ここは客層も素晴らしい。
ひとり客が多く、それもいかにもお酒が好きそうなおじさんが次々入ってきて
皆静かに楽しげに過ごしている。
キャリアウーマンらしい女性のひとり客も
ガンガンお酒を注文しその人もまた自分だけの時間を楽しんでいる。
開店してまだ3年ほどらしいがこの店はもうすでにこんなにも愛されている。
荒木町の片隅の小さな空間。
巣のようにここに帰ってくるお客さん達の
静かな時間が流れている。