2016年12月09日
奈良・菖蒲池「蕎麦きり 彦衛門」
近鉄「菖蒲池」駅から暗い住宅街を歩く、歩く。
距離としてはそんなにないので実際歩いたのは10分ほどだったと思うが
まっすぐな道が殆どなくなかなか把握しづらい道のりのため
たどり着くまではかなり不安だった。
紺色の空に月が明るかった。
やっと現れたのは予想よりずっと大きな店。
少し大きい道に面してはいるが周囲は暗く静か。
しかし店に入って驚いた。
外に静けさに反しての大賑わい!
予約してあったので席はあったが、
住宅街にぽつんとあるこんなに大きな店が満席とは。
ミシュランガイドでも紹介されたらしいのでその影響か、
とにかく賑わっているのはいいことだ(^o^)
私もわくわくメニューを眺めましょう〜
まず目立つようにおいてあった「夜の一品」メニュー。
うわーい
あれと、あれと、あれは絶対食べたい♡
でもお蕎麦2枚ぶんのお腹はとっておかなくっちゃ。
「自家石挽 絹びきせいろ」
「玄そば石挽 あらびきせいろ」
なんか名前からしてスゴイでしょう?(≧∇≦)
お昼はなかなか楽しそうな「おまかせ膳」っていうのがあるんですね。
そしてあったかい「南高梅と磯の香そば」って気になる〜
もうなんか俄然わたくし盛り上がってまいりましたー!
今夜は飲んじゃうもんね!(まいど口だけはりっぱ)
「上喜元 純米吟醸 超辛口」
おお〜
入り口はまろやかであとが結構ズシンとくるオトナなお酒、さすが東北。
そしてこれが超辛口というのが私にはたいへんむずかしい。そうなのかなあ〜
いつものことながら辛口とか甘口とかという
ジャンル分けがあまり理解できない私(^^;;)
「お通し」
「京の生ゆばのお刺身」
ゆばと一緒にミョウガやパプリカなどの野菜が綺麗に飾られてやってきた。
ふんわり柔らかいタイプでなくうすーくて固めの食感。
たしかにゆばと言うものがこんなに流行る前は
こういうのが「ゆば」の印象だった気がしてきた。
3枚で650円と思うとアラ高級!大事にいただきました(^^)
「塩豚の燻製」
メニュー表を見た瞬間「食べたいっ」と飛びついた悩殺メニュー名。
塩で、豚で、燻製ですから〜〜(≧∇≦)
もともと「脂ののった魚と、脂が少なく味が濃い赤身肉」が好きな私。
この脂身は見た瞬間ひるんだが燻製の香りが素晴らしく美味しく、
脂身もおそるおそる食べてみると不思議とあまり脂っこさは感じず
パクパク食べちゃいました♪
「あらびきのそばがき」
うっわー!
なんと可愛らしいこの演出っぷり。
トトロが雨宿りしちゃいそうな葉っぱが大胆にもよく合って
蕎麦の芽のピンクが可愛らしくて
もはやメルヘンなそばがき♡
見るからにむっちりしっかりしていそうな粗挽き肌。
ムハーッと濃厚に香っているのだが
それが不思議と、ちょっと言葉は悪いかもしれないが
乾麺のお蕎麦(もちろんおいしい十割の)に近い香りなのが不思議!
姿の通り食感はかなりしっかりもっちりとして食べ応えがあり
粗挽きのザラつぶ感が嬉しい。
「馬刺」
赤身肉好きの私は馬刺しと見たら必ず頼みたくなってしまいます。
うっわー この熊本の馬刺はやたらめったら美味しいですよ〜〜!
固すぎないやわらかい噛みごたえがあり、何もつけなくてもいいと思えるほど味が濃い。
タレも添えられていたのだがお醤油好きの私は
結局お醤油で美味しく食べちゃいました(≧∇≦)
(しゃぶしゃぶもタレ全拒否で醤油か塩で食べるので通常運転)
「鴨のそば粉焼き」
あっらーこれはおいしいです。
フランス産マグレ・ド・カナール。
しかし私には鴨肉云々よりとにかく調理が上手いように感じました(≧∇≦)
「猫にマタタビ私に蕎麦粉」なので蕎麦粉のせいなのかもしれないが
それにしたってやたらに美味しい。
脳がシビれるようなおいしさは失礼ながら化学調味料かと思ったほどだが
おそらくそうではなくキュッとした赤ワインと塩の使い方の上手さかな?
さていよいよこの時がやって参りました。
本日はどちらのお蕎麦も石狩・沼田産らしい。
「玄そば石挽 あらびきせいろ」
おおー
なんだかちょっと予想外のルックス。
店の雰囲気と「玄そば石挽 あらびきせいろ」という名前からすると
ずっとのんびりとした田舎っぽい印象の蕎麦。
角がなくのんびりした輪郭線。
むわーと深くかおる香りはまさに先程のそばがきと同じで
何故か「美味しい十割の乾麺そば」のイメージ・・・不思議!
口に含むとちょっとブワンとしてうどんのようですらある舌触りだが
噛むとムッチリ、ものすごいコシ!
噛もうとするとパーン!と内側から跳ね返してくるような強靭なコシで弾むようだ。
香りも味も甘みもずっしりと濃い〜
「自家石挽 絹びきせいろ」
こちらは「玄そば石挽 あらびきせいろ」と比べると細打ちだが
ふっくらずっしりとした印象は似ている。
かすかに熟成味を帯びた香り。
全体の香りは淡く味わいもあっさりしているのだが甘みがすごい。
見た目の印象以上に繊細さな細切りの舌触りで
まさに絹びきの名に相応しくなめらかな食感だ。
ここは汁も意外な個性でかなり生々しい強さをもった汁である。
ところが汁単体で舐めた印象と蕎麦湯に入れた印象がまるで違った。
濃厚蕎麦湯に入れると意外な美味しさに変貌して
わ〜 これはうれしい〜〜
まったくの余所者の私は
こんな知らない住宅街の建物の中で過ごしていることに
不思議な楽しさを覚える。
駅からここまでの道のり、ここで過ごした時間。
奈良に来るとなぜか月が恋しくなる。
帰り道もあの月に会えるといいな。
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