さすがは宇治である。
京都駅から電車に揺られ宇治駅につくと
京都中心部とはまた違った観光地のムードに自然と胸が踊った。
街全体のスケール感が広々としていてそれでいて明るい賑わいがある。
何より大きな川があるので空が広くて気持ちがいい。
「しゅばく」はそんな観光地の美しい町並みにスッと溶け込んでいる。
店の前の通りは自然石の舗装になっていていい雰囲気だ。


くるくると風に揺れる「十割蕎麦」の文字。
私の心もくるくるくる〜(≧∇≦)/

この「しゅばく」、看板や箸袋には「酒蕎麦 しゅばく」と書いてあるが
なんと営業は11:30〜15:00の売り切れ仕舞い。
昼から飲んどけってことですね!(≧∇≦)/
そのせいかお酒のメニューは多くないのだが少数精鋭な感じ。
あ、喜久酔もあるー♡


観光地だけに喫茶としての利用も多いのか
アイスクリームメニューの充実も目立つ。
甘いもの全般苦手なくせに京都に来るとなぜか突然「和パフェ」に憧れる私は
この和フレーバーアイスのメニューをじーっと見ちゃいました。
しかしじーっと見なくても電飾がついているかのように輝いて目に飛び込んでくるのは
やはり「十割蕎麦」の四文字である。

個人的には「冷やしたぬき」があることと
それがこの店の一番高いメニューであることが大変気になります。
冷やしたぬき大好きなんですが手打ち蕎麦屋さんでは意外と出会えないし
それが一番高いというのはなかなかない展開である。
説明を見るとたぬきだけどきつねがのっているんですね(≧∇≦)
このように私は冷たいぶっかけとか冷やしたぬきという
「冷たい種物」が大好きなのであるが
悩ましいのは私のおなかが一つであることである。
旅行中だけ4つとかになるといいのにな・・といつも思うのだが
いつも通り一つである以上やはり私の一身はこの人のものである。
「ざる」

美しく重なる超極細。
「宇治のしゅばく山」と呼びたいほど
日本画の中の霧にけむる霊峰のようにすら見えてくる。
蕎麦にはこんな案内カードが添えられている。

以前あるお店で「最初に一口は塩でお食べください」と言って
そのままじーっと私を見ていた店主に困ってしまい
「あのう〜・・・すみません、何もつけなくてもいいですか?」
と言ったという珍体験を持つ私。
このようにただ案内が添えてあるだけというのはありがたい。
私はお蕎麦には最初から最後まで何もつけずに食べるという大悪党なので
(汁とのコンビネーションに命をかけているお店の人に超失礼)
いつもできるだけ目立たない席で蕎麦だけを食べている。
蕎麦の香りを感じたいあまり私と蕎麦の間に割り込もうとするものは
すべて敵視するという性質がDNAに刷り込まれた虫のようなものなので
塩をつけるのも水蕎麦すらも拒絶するという・・・
よいこは真似してはいけません(* ̄∇ ̄*)

繊細な蕎麦と蕎麦の隙間から、ふあーっと香る爽やかな野生!
北海道沼田産というのがまさに頷ける、ちょっとクセのある野生を感じるさわやかさ。
食感も姿の通り、食べた瞬間のふわっとした感触にハッとする。
まるで超極細の繊細な一本一本の間に蕎麦の香りをまとった空気がふくまれているかのようで
ふんわり優しい食感の隙間からややシャープな野生の香りがふんだんにあふれてくる。
味わいもフレッシュでさわやかだったが、食べ進むうちにシャープな野生の印象が強まり
さわやかというよりはかなり個性的な印象になっていった。

ここは汁もとても美味しい。
私はいつも「蕎麦湯はお酒で蕎麦汁はおつまみ」と
蕎麦湯は蕎麦湯だけでゴクリ、蕎麦汁をチロリというのを蕎麦後の極楽としているが
この汁は・・と思った時は蕎麦湯で割ることもある。
美味しい蕎麦汁は蕎麦湯で割ったときにさらにものすごい美味しさに化けるのが面白いからだ。
「しゅばく」の蕎麦汁はあまりにおいしかったのでここではかけも食べてみたいな、と思ったほど。
しかも訊けばここの温蕎麦はつなぎのはいった粗挽きらしい。
え〜っそうなんですか〜〜!とさらに食べたくなったが
やはり人気なのか温そばは先に売り切れていた。
冷やしたぬきと温そばに後ろ髪を引かれつつ
暖簾を出ると美しき宇治の街、広い青空。
もう日が暮れるのが随分早いから
夕暮れ前の平等院に急がなくっちゃ〜
