店は森の奥にある。
ひっそりと、というにはかなり大きな立派な建物。
駐車場で車を降りたが入り口がどこだか分からない。

近づくと小さな看板があった。

しかしもう少し、建物の全貌を確かめてから入ってみたくなり
裏に回ってみる。

渡り廊下のあるユニークなお蕎麦屋さん・・?レストラン?

スパルタンな黒。
古民家というにはモダン過ぎ、新しく作ったにしては分厚い迫力がある。
一体どんな形をしているのか知りたくて
さらに向こう側の森に迷い込んでみる。

蝉時雨。
9月も半ばを過ぎたので山はもうすっかり秋かと思って来たのに
夏の名残が森じゅうに響いていた。
フィトンチッドが蕎麦の香りより好きな私は
深呼吸して歩き回る。
ざくろの実、柿の実、名前の分からないいろいろな実が実り
ちょうちょがヒラヒラと遊んでいる。

でも肝心の建物は木々に隠れて全然見えないなあ〜
と思っていたらこんなものに出会った。

え、これは・・・
もしや土塁ですか?ここお城なの?
昇太師匠教えて〜〜〜(≧∇≦)
離れるほどにやっぱり見えない建物の全貌。

血中蕎麦粉度がもう限界に下がってきたのであきらめて店に近づくことにする。
入り口は意外にも都会的なガラスの扉。

しかし二重扉になった中を覗くと
わわわ これは立派な古民家の趣ですよ・・・

うわー すごい!
訊けば、築200年超の古民家を新潟から移築してきた建物だそう。

全身黒、エプロン姿のきびきびしたスタッフの案内で
明るいテラス席に通される。


お座敷は座卓の席。

みんな歩きまわって喉が乾いたので
まずは何はなくともこれで、うはははー♡

「紬山荘」は昼は八ヶ岳伏流水で手打ちする十割そば、夜はフランス料理という
ユニークな形式のレストラン。
山荘というだけあって宿泊もできるオーベルジュになっている。
昼のメニュー。

かなり高級蕎麦屋な価格設定だがこの雰囲気なら十分納得。
右側の「蕎麦コース」は
蕎麦をいくつ選ぶかで値段が変わるシステムになっている。
眺めるほどに煩悩が刺激されまくりだが
今日は大好きなみなさんとご一緒なので
いろいろつつけることをちゃっかり期待して
結局私はいつものところに着地・・・・
「もりそばください」(≧∇≦)/
イケる口の皆さんはビールから早々とこちらに。
「男山 特別純米(北海道)」

日本酒大好きな私。
いつもは必ず味見させてもらうのだが
今日は昨晩のお酒の記憶が体に残っていて舐めることもできず・・
とか言って昨晩もビール3口+お酒3口くらいだったんですけど・・
どんだけ小鳥?(* ̄∇ ̄*)
「厚岸産 牡蠣」

うっぴゃ〜たまりません♡
アニサキスアレルギーを発症して2年、我慢大会のような毎日を送っている私ですが
牡蠣は大丈夫なんです(≧∇≦)
ああああ 磯の香りのしあわせ。
ミルキーでおいしい〜
「蕎麦コース」の前菜。

なんと意外にも「キッシュ」でした。
さすがは夜はフレンチレストランなお蕎麦屋さん、面白い〜
しかもニシンのキッシュであります。
「紬山荘」名物と言ってもいい「すだちそば」。
その美しさには目を見張らされた。

小さな高台付きの器もいいし
何より緑を背景に眺められるのが素晴らしい。
絶賛しまくってついに一口もらっちゃいました!(* ̄∇ ̄*)

思った以上に超すっきりー!
甘さは潔いまでになく出汁も澄み渡っていて
すだちの香りがものすごく軽くすっきり感じられる。
ここまでやるか!のすっきり「すだちそば」、すっごくおいしい!!
単品でとってみんなでつついた、
「桜海老のかき揚げ」

なぜかパニーニ的スクエア型を切ったようなユニークなかき揚げ。
食感もギッチリ海老みっちり、下のほうは板状になった部分もある。
海苔好きとしては青海苔がうれしい。
私のお蕎麦きたぁー!

ああ やっぱり自然光の下で出会うお蕎麦は最高だ。
ガラスの汁徳利が涼やかでユニーク。

うわっ
ちょっとこれはびっくり、
期待をはるか上回るめっちゃめっちゃいい香りがしておりますー!!
フレッシュでさわやかな青いかぐわしさに全身が洗われるよう。
一気に雲の上に連れていかれました。
繊細な極細切りのなめらか肌はつるんつるんムニュンムニュンとユニークな食感で
スタッフが
「お蕎麦は蕎麦の修行をした蕎麦職人でなく夜のフレンチも作るシェフが打っている」
と案内してくれたのを思い出した。
それが口内にそのまま伝わってくるような新鮮な感覚だ。
この時なぜか私のお蕎麦だけがものすごく乾きが早く
あっという間に固まってくっついてしまったのだが
その後に来た他の方のお蕎麦は全然大丈夫でした♪
(↑ナントカ言いながらそのお蕎麦もしっかり味見させてもらった蕎麦犬)
秋田の夏新蕎麦。
「すだちそば」の器も気に入ったがここは器が実に面白い。

蕎麦汁は大胆なまでに甘さを排除、
出汁も変わった香りで超すっきり&個性的な味わい。
「もりそば」を食べ終わったらこんな楽しい景色に出会った。

「蕎麦湯」

「辛味大根おろしそば」も美味しいと聞いたので食べてみたくなり
共謀してはんぶんこすることに♡

おおおお〜
おろしそばなのに天かすがのっているのが嬉しい。
しかもそれが絶妙に「少なめ」なのが上品〜♪
のりすぎちゃったら冷やしたぬきになっちゃうわけで ううーんウマイなあ〜
しかもこれまた「すだちそば」同様、潔いまでに甘み無く超すっきりな出汁。
そしてこの蕎麦の質感はものすごい。
もりそばで感じたつるんつるんムニュンムニュンがキンと冷えた汁の中でさらに極まって
つるんつるんつるん〜ムニュンムニュンニュン〜と目が覚めるような透き通った世界。
これも一口もらった「鴨せいろ」の鴨汁。

あらっ これは逆に山椒が効いて酸味があってガツンとした旨みであります。
しかしこれまた甘味は少ないので洗練された感じで
嬉しい、意外なおいしさ。
「蕎麦コース」の方の「デザート」。

チーズケーキと、添えられているのはマンゴーソース。
楽しいランチタイムが終わり帰ろうとしたら
なんとラッキーなことに館内を見せてもらえることに。
知らなかったのだがディナータイムのフレンチはここではなく
2階が使われているらしい。
外から見えていた渡り廊下を渡ると・・・

ちょっと教会のような、屋根裏のような素敵な空間が。

三角の天窓も寄木張りの床も素敵〜

さらに階段を上がると宿泊できるお部屋が♡

うっふふふー もったいないのでお部屋の写真はナシで〜〜♡
(泊まったわけでもないのに何を浮かれているのか)
2部屋しかないので2組で来ても楽しそうだし
何よりそんじょそこらのリゾートホテルではありえないプライベートな静けさが魅力。
夜のフレンチはどんな感じなのかなー♪
ついでですから行ってみたい新しめの店をバラしますと、くぼ田、喜蕎八、季楽庵、彩春といったところです。
オーベルジュでフレンチいいですね。そば民宿とは雲泥の差なんでしょうね(笑)。
ところでアニサキスアレルギーはカツオダシは問題ないのですか?
わあ〜ほんとにこのあたりは増えたんですね!今まで少なかったエリアだけに嬉しいですね〜♪
そば民宿とは全然別物ですがどちらもそれぞれにいいですよね。アニサキスアレルギーはダシはセーフなんです!そこがダメだったら国外亡命していたと思います・・この国で生きるの辛すぎますもの・・(;_;)