2016年06月29日

群馬・富岡「そば食堂 仁べえ」


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通りの向こうから猫が歩いてくる。
道の真ん中を猫が歩けるのどかな街。

近年大人気の観光地、富岡製糸工場からも徒歩で3分程ながら夕暮れ時はこの静けさ。
私は「そば食堂 仁べえ」の前に立ち、感無量の思いだった。


店主・石井さんの名を最初に知ったのは神田「いし井」のころ。
まだ私が「蕎麦を食べ過ぎ始めた」20年以上前のことだ。
「神田藪蕎麦」と「神田まつや」という二大超有名老舗の間といっていい場所に
「そうとは知らないで店を出した」というエピソードを聞き
「大物すぎる!」と大ウケしていたものだ。
その後、修善寺「朴念仁」、銀座「古拙」、日本橋「仁行」 と
贅沢に研ぎ澄まされた料理、蕎麦、空間で、人々を魅了し常に話題をさらい続けてきた。
その料理も蕎麦も本当に素晴らしく、
実際店に行くと飾らない気取らないさっぱりとした高級店であったが
「ゴージャスなミシュラン蕎麦屋さん」というのが世の中の印象であったと思う。

その石井さんが今年ついに故郷に帰り出した店が「そば食堂 仁べえ」。
あの石井さんから「故郷で食堂やります。」と聞いたときには、
くーっそう来たか!ニクイ、カッコ良すぎる!!と心からワクワクしたものだ。


私にとってそんな「感無量」。
今日は都合で「仁べえ」の看板が出ていないだけに
「そば食堂」の文字が一段とほのぼのと目に映る。


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店は「食堂」というにはかなり上品なような、家庭的なような独特の雰囲気。

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カウンターに座るのも楽しそう。

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「仁行(にぎょう)」の時も素晴らしい店名と感激したが(店主は石井仁さんという)
「仁べえ」というのも本当に最高の名前をつけたものだ。


まずは静岡・川根の美味しいお茶でのおもてなし。
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「豆腐」
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富岡の隣町と言っていい甘楽にある「豆忠」の豆腐。
濃いのに甘すぎず素材の旨味ぎっしりで超好み!すばらしい。


「白滝のおひたし」
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これもご近所、下仁田の手作りこんにゃくの名店「やまふぐ本舗」 の白滝。
このべらぼうな美味しさは犯罪!!
しらたきそのものの美味しさもすごいが
出汁の美味しさ、味の程よい薄さ、温度等々全てがもこれ以上無い最高を突きまくっている。


「三千盛」
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「桜海老と九条ネギのおから」
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おからはこれまた「豆忠」のもの。
由井の桜海老に九条ネギという取り合わせがニクイ。
ほんのり甘い味わい。



「トマトそば(冷製)」
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きゃ〜〜〜
ときめくルックス!
涼しげでおいしそう〜〜!

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おおおおおおいしい・・・・おいしすぎる・・・
この手のものはイタリアンの「トマトの冷製カペッリーニ」もそうだが
トマトの甘味だけが勝って感じられやや単純な印象のものも多いのだが
さすがとしかいいようのないこの超絶深淵美味世界。
トマトの酸味、素材の味の濃さ、そこに絡まってくるすっきり美味しい出汁。
これだけでどんぶりいっぱい食べたい・・・



「手練りこんにゃく」
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「やまふぐ本舗」 の手練りこんにゃく。
凝固剤を限界まで使用してないので火入れしてないのに臭みゼロ。
あまりの美味しさに何ですかこの味付けは!???と聞いたら
ただ三杯酢ですよ、といわれた。いろんな魔法がこの器の中で起こっている!


この器もさりげなく素晴らしい。

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高台の高い器に弱い私。
大きくも分厚くもないのにゆったりドシンとした佇まいもいい。


「そばずし」
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ウワー!
この美しさ・・・・
器といい、絵のように完璧に仕上がったそばずしといい、圧巻の景色。

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これがまた人生最高と言ってしまいたい美味しさだから参ってしまう。
お、お、お、美味しい〜〜〜〜〜・・・・
玉子焼きときゅうりとしいたけ。
何も奇を衒っていないスタンダードなそばずしなのに
なんでこんなにおそろしいほど美味しくできてしまうのだろう。魔法だ!

海苔の香りもあんまり素晴らしいので訊いたら
「鮨水谷と同じ海苔」というお答えでびっくり。
ワーイ「佐賀のはしり」ですよね〜!私の一番大好きな海苔!!
(高いから買ったことはないけど♡(≧∇≦) )


「宮崎の黒岩土鶏、こんにゃくピリ辛煮、独活のきんぴら」
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「そばがきの鍬焼き」
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調理中からたまらなく香ばしい香りが漂ってきていた鍬焼き。
まさかそばがきだったとは。

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熱々のそばがきはもったりとろ〜り。
すごいボリューム感。




壁には「上毛新聞」に取り上げられた時の記事や蕎麦についての張り紙があった。

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この蕎麦についての説明は店主独特で
湯島「古拙」に行った時も私は過剰反応しているが
香らないどころか素晴らしい香りをまとった、個性的な極細の蕎麦なのだ。



神田「いし井」、
修善寺「朴念仁」、
銀座「古拙」、
日本橋「仁行」、
そして富岡「そば食堂 仁べえ」。


時の流れを思うと私はまたここで感無量となる。

時を越えて、私はまた店主の蕎麦にこれから出会う。



店主の思いと職人技のすべてが詰まった「水腰蕎麦」。

その美しさ。


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写真では伝わりづらいが本当に極細で美しく揃った端正な姿。
「喉越し重視で打っているので香りを求めるお客様には云々・・」なんて言いながら
すべてを最高の形にヒョイと持っていってしまうところがすごすぎる。



つゆが「ごまだれ」と2種あるところもすごいサービス。
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この汁がどちらもとんでもなく美味しい。
蕎麦汁はすっきりとしかし深く旨味がひろがり全体のバランスもビシッと完璧な、圧巻の美味しさ。
ごまだれはよくある甘ったるいものとは別世界の、
香ばしさと出汁の旨味が研ぎ澄まされストイックな印象すらある稀有なごまだれ。
おいっしぃ〜〜〜!



「青梅煮」
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こんな素晴らしいコースを堪能できる「仁べえ」、
全然食堂じゃないじゃないか!と思われてしまいそうだが、
昼間はちゃんと「食堂」している。
コースはなく、蕎麦や丼が中心で予約も不可。

逆に夜は三日前までの予約のみの営業となっている。

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昼の食堂らしい「仁べえ」も見てみたいな〜♪

あの悶絶「トマトそば」も食べられますよ!!

「海苔玉ごはん」っていうのも気になるぅ〜〜〜(≧∇≦)♡





posted by aya at 12:19 | Comment(4) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わたくしも 神田 石井の時代から 知ってます! 石井の時代は 頑固おやじで お酒があまり飲めないわたくし
でしたので そばがなかなか出て来ない・・・。あの頃は 頑固でした!
Posted by 興味津々 at 2016年07月07日 16:03
興味津々さま
そうだったんですね〜。飲めないといろいろタイミングが違がってしまって困りますよね。私もいつも、人より蕎麦が待ちきれません(^^;;)
Posted by aya at 2016年07月08日 14:12
私も遅ればせながらちょっくら伺わせて頂きました。
私は「とき玉そば」が無性に気になってしょうがなかった・・・(なら、喰えばいいだろってか!? ついつい石井の「鴨」も知っているもので・・ついつい・・)
私感ではありますが、お蕎麦が長い時を経て(大袈裟に言うなら、長い時の流れの中での変遷を経て)振り出しに戻ったように感じた。 あの端正に極細に裁たれたうねるような蕎麦。銀座時代も、修善寺時代も・・・何故か何となく違っていた気がする。美味しかった、甘さだ香りだじゃなく、本当に美味しかった(心にか?郷愁?)。
昼時には食べられない肴の数々(品切れ?)が多くて・・でも久々に私好みの「そば味噌」 残念でならないのが「白滝のおひたし」を食べたかった!! 以前末広町の駅の出口の所で営業していたおでん種屋「構 雄造商店」ここで売っていたお相撲さんのイラスト入りの白滝(じつは、肉の万世用に作られたものですが)この食感、他では絶対に見られない味わえない食感「コリコリ感」例えるなら一茶庵系のお店で散見する茹でが足りない固い蕎麦に歯ごたえをプラスしたようなプリプリコリコリの食感・・製造元まで行ったが万世さんが他の白滝にしたもので作っていないとのこと・・・(>_<)ゞ
ふっと読み返すと・・本題が霞んでしまったような文  お許しくだされ。
気のせいか石井さんが元気な顔のような気が   そうそうは行けないが、又旅の楽しみが増えたかな・・
Posted by 而酔而老 at 2016年07月28日 19:24
而酔而老さま
ちゃんとお名前が書いてある方がお珍しいので「おっ今日はは晩酌前かしら??」なんて思っちゃったり(≧∇≦)/
そうなんです、昼時は食べられないメニューが多いので照準をここにあててプランを練り直し張り切って夜行ってきました。鴨いいですよね〜〜鴨ねぎそばも食べたかった〜〜(≧∇≦)
Posted by aya at 2016年07月29日 15:43
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