2015年10月06日

神田「眠庵」(矢島さんの蕎麦)

 
神田「眠庵」にて、懐かしい人の蕎麦に出会う。

川越の「三たて蕎麦 やじま」の矢島さんが亡くなって2年。
店の近くの3ヘクタールの畑で蕎麦を育て、自家栽培の十割蕎麦だけを出す
「農家の蕎麦屋」だった。
本当に美味しい、大好きな名店だった。
http://ayakotakato.seesaa.net/article/258018057.html

矢島さんが亡くなり店も閉店したと聞いたときは
私の中からも何かが乱暴にもぎ取られたような思いだったが
今夜ここで、こんな風に彼に出会えるとは。

その蕎麦の実の特性、美味しさを引き出すことにおいて
天才的なセンスと技量を誇る「眠庵」店主が、
矢島さんの育てた蕎麦を最高の状態で保管し
最高に美味しい蕎麦切りにして出会わせてくれた!

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2012年秋の収穫とは思えない、フレッシュではなやかな香り。
見た目よりもふっくらつるつるとした肌を噛みしめると
深い旨みが舌の上にジワーッとひろがる。
常陸秋そばとは思えない個性だが、
矢島さんが川越の畑に持ってきて二十年以上も大切に育ててきた蕎麦だから、
もはやこれは「矢島秋そば」と言っていい、別種の美味しい蕎麦である。

矢島さんはもう居ないが、彼の蕎麦は今夜ここでこんなにも生きている。
その美味しさは新鮮に私の体に染み透り、
お客さん達は皆美味しい美味しいと喜んでいる。
彼が精魂込めて作ったものがこんなにも生きているということは
彼は亡くなったとは言えないのではないか、
彼が生きているのと同じなのではないかとすら思える。
矢島さんは今きっとここにいて、どんなに喜んで眺めていることだろう。
ちょっとぶっきらぼうだけれど
何故か私に話しかけてきて親切にいろいろ教えてくれた矢島さんの声や笑顔が目に浮かぶ。


もう一枚は「徳島」。

IMG_7948.jpg

いっやー、いつものことながら「眠庵」で食べる徳島は超絶に美味しい!!
在来種ならではの強い野生と旨み、たくましい香り。
それを最高の形で引き出し
「徳島のお蕎麦ってこんなに美味しいんだ!大好き〜〜〜!」
と感動させてくれる。
限界までやさしいのに凛とそこにあるコシを噛みしめると、
ああああ もう美味しすぎてとける・・
こんなにとけたら私がお蕎麦になっちゃうかも・・・・


それぞれの蕎麦の特性を鮮やかに魅せ尽くしてくれる魔術師「眠庵」にて。


「亡き人が育てた蕎麦を手繰りおり」
「鼻腔から脳射抜かれて蕎麦の香」
「蕎麦の香に五臓六腑がむせび泣く」
「全身にキラキラまとう蕎麦オーラ」



2015年2月の「眠庵」フランスの蕎麦とたまき庵
2013年3月の「眠庵」(八種もりの会)
2013年1月の「眠庵」(初蕎麦)
2012年12月の「眠庵」(八種もりの会)
2012年11月の「眠庵」(八種もりの会)
2012年9月の「眠庵」(八種もりの会)
2012年7月の「眠庵」(八種もりの会)
2012年5月の「眠庵」(八種もりの会)
2012年3月の「眠庵」(八種もりの会)
2012年2月の「眠庵」(八種もりの会)
2011年12月の「眠庵」(八種もりの会)
2011年12月の「眠庵」
2011年12月の「眠庵」(豆のスープ)
2011年11月の「眠庵」(八種もりの会)
2011年9月の「眠庵」(八種もりの会)
2011年7月の「眠庵」(六種もりの会)
2011年5月の「眠庵」手挽き蕎麦
2011年3月の「眠庵」
2011年2月の「眠庵」(八種もりの会)
2010年11月の「眠庵」(八種もりの会)
2010年9月の「眠庵」(八種もりの会)
2010年7月の「眠庵」(八種もりの会)
2010年4月の「眠庵」(八種もりの会)







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posted by aya at 11:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>千代田区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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