2015年09月24日
京都・北山「じん六」(祝・新装開店!)
ファン心理とは残酷である。
愛しいからこそ、いつまでもそのままの姿でいて欲しいと願い、
ちょっとした変化に勝手に傷ついてしまったりもする。
しかし何事もいつまでも同じであり続けるというのは難しく
変わらずにいたくても状況が許してくれないことが多い。
私は「じん六」旧店舗が大好きだった。
緑に恵まれた美しき北山通りから一軒ぶん奥まったところにあった、うんと天井の高い店。
そう大きくはないのに堂々として、しかし素朴さも慎ましさもあり
なにか精神的な美を感じさせるような存在だった。
去年の2月に取り壊す直前に駆けつけた時の私のブログは
恋人への最後のラブレターのようだ。
http://ayakotakato.seesaa.net/article/389895153.html
今年の2月には近所の料亭を昼間だけ借りて営業している仮店舗も訪れ
大好きだったあの店舗がもうない悲しみを目の当たりにはしたが、
不便な場所でも恐ろしいほど凄いお蕎麦を打ってしまう店主の腕前に心から驚かされた。
http://ayakotakato.seesaa.net/article/414209335.html
そして今回訪れた新店舗!
どどーーん
もともとあった場所でマンションへの建て替えとなり
その一階に入ることになった「じん六」。
立派なマンションの外装は前回2月に仮店舗に来たときにほぼ出来ていたので見ていたが
気になるのはどんなお店になったのかどうか・・・
ああどんなかな どんなかな
傷つきたくないな
はらはら
どきどき
あ
うわ
うわぁー 素敵!
なんだかすごく感じがいい!!
水浅葱色の壁にどっしりとした木の風合い。
洋風のマンションにもなじむおしゃれな雰囲気ながらモダンすぎず、
静かな慎ましさの中に堂々とした風格もある。
旧店舗から大ファンだった同じ暖簾が下がっているのもたまらなく嬉しい。
よかったぁ〜〜
好き!新しい店舗も好き!
(と自分を励ます。まだ中も見ないと安心はできない・・・)
例によって張り切りすぎて開店時間前に到着してしまった私。
やっと開店時間となり恐る恐る中へ入る。
お、
おおおおおお
広い!
モダンなおしゃれさも感じさせるシックな外観からすると
店内はシンプルでスタンダードな明るい雰囲気。
キメキメ洗練過ぎない雰囲気にほーっと和む。
何より空間が驚くほどたっぷりとられているのが素晴らしい。
東京都心の店ならこの倍の席数を詰め込むだろう。
私は大好きだった旧店舗に他のどこにもない深い美しさや居心地の良さを感じていたが
今度の店にもまた意表をつかれる安らぎが在った。在ってくれた。
この、都会のような田舎のような、広々さっぱり飾らない感じ、
いいじゃあないですか〜〜(^o^)
メニューの内容も体裁も以前のまま。
以前と同じものを見つけては喜んだりほっとしたりしているのだから
本当にファン心理とはめんどくさいものだ。(^^;;)
ここへ来ると毎度同じ注文ですが、本日ももちろん♡
「そばがき」と「蕎麦三昧(三種の蕎麦)」♡
ここはお蕎麦はもちろん「そばがき」が宇宙一レベルに美味しいので
もうもうもう、私の興奮はすでにマックス!
まだ何も出てきていないのにマックス!
ぎゃー
またまたまた
なんですかこの宇宙人のようなミドリ色は!!
さすがは「じん六」自慢の福井の蕎麦粉・・
はあ〜〜〜
香ってくれちゃいますよこの方は!
絶対に、超絶においしいですよ・・
(>_<)
(>_<)
もうどうなってもいい・・・・
このまま私ごと溶けてしまいたい・・・
鼻腔を抜けて私の全身を染める超フレッシュで濃厚なかぐわしさ。
全方向から攻めてきて口いっぱいにぎゅうううーーと深まる濃厚グルタミンな味。
微粉のとぅるとぅる肌はふっくらモワ〜トロ〜としているがとろとろすぎず
もっちりとした食べごたえもちゃんとあるのがニクイ。
モワ〜トロ〜ぺたモチッとした超上品なその肌のすべてから
爆発的に濃厚な美味しい味が染み出してくる。
「あ”〜〜〜 全てのそばがきがこうあってほしい!!!」
と浮気者の私は目の前にいるあなたに永遠の愛を叫ぶ。
(一人客だが他のお客さんは遠くだから大丈夫。←え?)
一枚目「群馬・赤城」
いかにもフレッシュな美しい緑色!
モンワ〜〜〜〜
「じん六」ならでは、そこまでやりますかという程
全く冷水で締めていない、なまぬるいまでのもったりした温度。
だからこそ、その香りも味もものすごい存在感を持って感じられる。
炊きたてのお米にも似た要素を感じる、深く優しい穀物の香り。
野性的なのだがよくある青い野生でも爽やかな野生でもない、
ふっくらとやさしい野生だ。
食感もやさしくやわらかいのだがやわらかすぎずすべすべするする、
ごくわずかにもっちりとした不思議な食感だ。
こんな赤城もあったのか!と目の覚める思い。
おいしいなああ〜〜〜
二枚目「秋田・羽後(階上早生)」
先程の赤城よりもややたくましさを感じさせる輪郭線。
こちらも香ってくれそう〜〜〜♪
見入るほどにときめく粗挽き肌。
箸先に手繰り上げるとちょっと個性的なかぐわしい香りが濃厚に漂う。
クセがある香りといえばそうなのだがズシーッと重みのある素晴らしいかぐわしさだ。
口に含むと、粗挽きのザラザラ肌がみずみずしく心地よく口中をめぐり
どこまでもやさしくやわらかいのに程よいのコシもあるという最高の食感!!
そこからあふれくる味わいには、
蕎麦のかぐわしさの上澄みのような華やかさや爽やかさはなく、
下の方向の(相変わらず表現が我流爆発ですが)深い味だけが舌に濃縮されて押し込まれる感じで・・・
おおおおおおいっしーーーーー!!
美味しすぎる!この地味〜な濃さは一体なんでしょう!
土の豊かさを思わせる美味しさ・・・・おもしろーーーい!!
店主によると最近は「クセのある蕎麦」を2枚目として真ん中に挟むらしい。
はい、十分に個性的でインパクトのある美味しい2枚目でしたー!
個性的といえば「じん六」は汁も大変に個性的である。
きゅいーーーん!と鋭角なものを感じる強い汁。
何をしても普通の人ではない、日本屈指の蕎麦への情熱と感性と行動力を持った店主であるから
私は何でも楽しんでいる。
三枚目「福井」
うはははは
うははははは
もうこの緑っぷり、ふっくらとした美味しそうさっぷりには
食べる前から壊れてしまいそうです うははははははははは・・・・・
あああああああ
またもや・・・・最高濃度の味、香りの濃さ!!!
これまたほとんど冷水でしめていないもわ〜とした温度の蕎麦から
なまぬるい空気が運ぶフレッシュで濃厚なかぐわしさがものすごい。
口に含むと、なまあたたかく、強く、もう蕎麦から出汁が取れるのでは!?というくらい
濃厚なグルタミン系の旨みがぎゅーーーーー!
もっちりふっくらやさしくやわらかいコシに身を任せれば
もう豊かな蕎麦畑の上のおふとんで酔っ払って寝ている気分・・・
ああしあわせ ほんとにしあわせ 来てよかった・・・
と、しあわせに満ち足りて大人しく帰るかと思ったら大間違い。
なんとこの人、このあとお代わりなんてナマイキなことをします。
「そばがき」+「蕎麦三昧」食べたのにねえ・・・(^^;;)
だって次にまたすぐ来られる距離でもないし、
特に美味しかった「秋田」と「福井」をリピート♪
しかしそのリピート注文をするちょっと前にまたまた蕎麦犬的大危機が。
蕎麦がやってくるとなぜか嗅覚が突然それまでの100倍くらいになってしまい
今まで気にならなかった店中の香りが鼻の中に入ってきてしまうという
特異な病気?を持つ私。
これを簡単に蕎麦犬現象と呼んでいるのだが、この時は私の斜め前に
大テーブルの相席としてちょっと色っぽい京都のマダムが座ってきたのだ。
そ、そのまだむがですね・・・
大変華やかな、かぐわしい、スズランの香りの香水をまとっておられまして・・・
リピート秋田来た!
マダムスズランお願い、しばらく動かないでね〜〜〜
だめだ、マダムスズランは歩いてきて暑いらしくてもぞもぞしてて
もう私は満開のスズラン畑をランランラ〜ンと歩いているとしか思えない!!
うううう
目の前のお蕎麦の香りだけを吸い込みたい!
努力だ、集中だ、心眼で蕎麦の香りだけを見つめよう!!
あ ちょっとできたかも
リピート二枚目「福井」
スーーーーーーッ
ハアァーーーーーーーー
一番隅の席で怪しい気功師のような呼吸法で
この福井の香りだけを鼻の中に愛しく呼び寄せんとするおかしな一人客・・・
ファンとはめんどくさいものですが
それも愛ゆえ、大目に見てくださいね(^o^)
2015年2月の「じん六」
2014年2月の「じん六」
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