2015年07月08日
宮城・秋保町「穣庵」
2015年3月。
あの伝説の蕎麦屋「たまき庵」が「穣庵」として新たなスタートを切った。
伝説ってどこらへんが伝説かというと
どうにもこうにも個性的すぎる店主が伝説的人物なわけだが
今回ついに、その伝説的店主から長男である息子さんに代替わりしたのである。
代替わりと言っても「たまき庵」時代から蕎麦はほとんど息子さん(新店主)が打っていたので
伝説の味はそのまま。
秋保の美しい空気も、緑も空もそのままである。
またここに来ることのできた喜び。
もう何度目になるかわからないが、
ここに来る度私の心の高揚は完全に最高値を振り切っている。
言語もおかしくなっている。
(んだ!んでがす!合ってるかわからない土地言葉(^^))
思い入れのある店だけに「穣庵」としての新たなスタートは
私にとって嬉しくもあり少し寂しくもあり。
でも「たまき庵」の看板がないこと以外は何一つ変わらないように見えたので
ちょっとホッとする。
ところで、「穣庵」の看板はどこにあるのかな?
と思ったら、入り口まで行ってやっとみつけた。
」
なんと暖簾に手刺繍のロゴ入り!
さりげないけど実に可愛らしい。
しかも後で知ったのだがこの手刺繍は那須「ほし」の奥さんの手によるものだった。
新店主は看板も暖簾も用意していないらしい、
と聞いて手芸名人の奥さんがプレゼントしたらしい。
そのエピソードすべてが「らしいなあ〜〜!!」と私の心を雲の上まで高い高いしてくれてしまう。
ウカレはしゃぎ暴れ狂う心を押さえつけて、
いよいよ店に入る。
よかった、何も変わらない・・と思いきや、なんだか広々とスッキリした印象。
よく見ると机の数や小上がり部分を減らしたり、
たくさんあった「たまき庵」らしい賑やかな張り紙が外されている。
以前よりぐっとシンプルで、映画に出てくる山の食堂のような雰囲気だ。
(以前の店は個性が強すぎて映画に出てきたら話が全く頭に入らないと思う(^^;;)
かつての様子はコチラ↓)
http://ayakotakato.seesaa.net/article/406363112.html
メニューも絞り込まれてシンプルになっている。
おお、これいいですね!
是非いきましょう〜〜
私はここの前店主ほど
「おいしい食材を集めてくる」
「美味しいものをお客さんに食べさせる」
ことに集中している人物を未だかつて見たことがない。
それだけ、と言い切ってしまっていいほどあとのことは爆笑の連続である。
類稀な集中力というものは天才的な実力につながるもので
私は今までに幾度ここで出されたものの美味しさにぐでんぐでんに酔わされ
頭が床につきそうになったことか。
旬の山の恵みそのまんま、のこの一品。
「月山竹の炙り焼き」
ホワホワ〜と湯気が立つ炙りたての月山竹。
香ばしい皮の匂いとパリッパリの新鮮な食感が最高!
しかしこんな山のご馳走に慣れてない都会モンのねえちゃんには
どのあたりから食べられるのか見極めるのが難しく
一度剥いた皮?をまた後から食べたりしてました(^^;;)
「わらびのお浸し」
ここに来たらコレ(^o^)
店主自ら近所の山で採ってくることもあれば
信頼している山菜名人から取り寄せることもある見事なわらび。
しんなり柔らかいのにパリッとした新鮮さも感じられる食感。
お浸しと書いたが蕎麦汁にかえしを加え鷹の爪と一緒に漬けてあるそうなので
「かえし漬け」と言った方がいいのかも。
ピリ辛で美味しい〜
「田舎ざる(十割太打ち)」
あああああ
うわあーーん うれしいよう〜〜〜
やっと会えたよう〜〜〜
おお〜〜ん おお〜〜ん
(ちなみに左上方にぼんやり映る影は、私の前で気ままなおしゃべりを続け
私を爆笑させ続ける前店主の影?後光?である・・(^^;;))
ふわぁーと軽やかに香る、フレッシュでさわやかな香り。
むっちりとした太打ちだがかみしめた食感はやさしく
味は思いのほか淡く軽い。
香りにも味わいにも甘さはなく、澄んだ粉の香りと味わいだけがすっきりと際立っている。
全てが軽やかで濃い要素が何も無いのだがなんだかやたらと美味しい。
見た目に反して、心が洗われるような美しい太打ち十割だ。
「せいろ」
うっふん。
「せいろ」にはこの季節だけある「山菜の天ぷら」をつけてみました♪
天ぷらの量がすごい!山盛り!!
写真では意外とおとなしめに見えますが
実際はこれでもかのてんこ盛り!!
厨房があまりに忙しいのでどれが何の山菜か訊くことも出来なかったが
掘っても掘っても終わらない宝の山のようなご馳走天ぷら。
月山竹は天ぷらにしても美味しい〜〜♡
ああもうどうなってもいい・・・
端正な細切り。やや透明感のある、素朴な粗挽き肌。
窓からの山の陽射しが無数の蕎麦粒子を浮かびあがらせ
そのひと粒ひと粒が、私を誘惑、魅了する。
箸先からふわぁーっとただよう、先程の「田舎ざる」と同じかろやかな甘さのない香り。
口に入った瞬間はやや縮れたハガネのような硬い輪郭線を一瞬感じるのだが
食べるとまったく硬さはなくむしろやさしく、
味は田舎よりさらに澄んで淡い。
気がつけば店内はゆるやかにほぼ満員。
ここは名勝秋保大滝すぐ近くの蕎麦屋ゆえ、
観光客も近所の人も私のような遠方からの蕎麦好きも
ごたまぜにわさわさやってくる大変に忙しい店なのだ。
天ざるにビールでくつろぐグループ客も居れば
お坊さんのように堂々たる姿勢で蕎麦だけを大量に食べている一人客も居る。
伝説の店主の店から
洗練されたセンスと実力を兼ね備えた新店主による
新しい「穣庵」へ。
ここだけの話、新店主は素朴で優しい気遣いにあふれた人ながら
ありえないほど二枚目でおしゃれな人でもあるので
一生懸命働く姿はそれこそ映画のワンシーンのようなのですよ・・
(キャー言っちゃった(≧ω≦)!東北はやっぱり美しいひとが多いですよね〜)
落ち着いたらまたあの宇宙一美味しい「プレミアムそばがき」やってくれないかなぁ・・
いくらなんでもあれは常識を超えて手間がかかりすぎてたらしいので
あの半分くらいの迫力のでもいいから・・・
という熱い期待をさらに温めつつ、
またすぐ行きますよ〜〜〜〜!
2014年10月の「たまき庵」
この記事へのトラックバック
コメントありがとうございます!お蕎麦好きな方は意外とすれ違っているかもですよね。以前「もう三度目なんです!」とお声をかけていただいたこともありました(^o^)