とにかく何が素晴らしいと言って
「この場所に手打ち蕎麦屋があること」が素晴らしい。
なにしろ新宿二丁目である。
手打ちじゃなかったとしてもチェーン店の蕎麦居酒屋だったとしても
蕎麦屋があるだけでありがたいような場所に、手打ちの蕎麦屋。
しかもこの外観。
雨の中のその風情は、私にはミッシェル・ドラクロワの絵か
浅草助六のミニチュア蕎麦屋かのように可愛らしく映る。


不夜城新宿二丁目において、こんな構えの手打ち蕎麦屋が
平日ラストオーダー27:30までやってくれている。
私にはもうそれだけで泣けるほどありがたく
この日本の蕎麦文化を世界に自慢したくなる、なんてところまで一人で発展してしまうほど
感激の事実なのだ。

私がこの店にくるときは大抵
最高に楽しい音楽に溺れてスーパーハイになっている時なので
あまり良く考えずに受け止めているが
よく考えるとメニューもなかなか面白い店である。
今日もまた楽しく歌いまくったのでお腹すいた〜〜(^o^)
「焼き納豆」

納豆をギューと押しかためて油揚げで巻き焼いたという珍しいメニュー。

断面の大粒納豆のぎっしり具合がすごい。
味はしっかり濃いめで栄養もたっぷり、いいおつまみ!
「そば切り」

「そば切り」といったら普通は「お蕎麦」のことのように思うが
「楽庵」においては蕎麦刺しのことを「そば切り」というのだ。
蕎麦の刺身、とか偉そうに名乗ってもいいのに、お店のお兄さんは感じよくハキハキと
「蕎麦打ちの時に出るはじっこの余りです!だから形がマチマチなんです!」
と何度でも答えてくれる。
いい人だなあ〜(^o^)
ここの「そば切り」、氷水に浸っていてキンとしめられているからか
身がきゅっとしまったように表面も食感もちょっとつるつるしてしっかりめ。
しかも蕎麦の香りはかぐわしくとても美味しい。
固めの食感を楽しみつつ噛みしめていくと粉の味わいもとても美味しい。
先に白状してしまうと私は「楽庵」では
普通の「せいろ」より「そば切り」が好物なのです♪♪
「揚げだし豆腐」

右方から猫のようにソバカマイタチのように飛びかかってきた
何者かの「影」が映っていますが・・・
この手の俊敏さは宇宙クラス、日本が誇るゴッドハンド?
ゴッドピアニスト?なのだ!(^o^)
私が写真撮るのも相当素早いのだがさすがに負けました!
そりゃピアノの最高音キーとか最低音キーよりはだいぶ近いし対象物は大きいし
眠ってたってコンマ1秒で捕えられるでしょう!!(^O^)
「せいろ」

私はこの店で蕎麦といえばこの「せいろ」しか食べたことがないのだが
それは多分ごく少数派だろう。
この店は五段、七段、十段と選べる、小さい赤い器に小分けに盛られた
「割子そば」が名物なので当然それを頼む人が多いのだ。
「割子そば」にはにぎやかな薬味がついてくるので私はせいろで。(^o^)

にぎやかに一面に褐色のホシがちりばめられた二八蕎麦。
この色この艶は、と思ったらそのとおり、かなり熟成感のある
むわわぁぁ〜っと濃厚な香りである。
数年前から「楽庵」では熟成風に出会うことの方が圧倒的に多くなった。
食感は軽くふっくらとしていて、
香りといい食感といいさっきの「そば切り」とはまるで別物としか思えない。
この蕎麦を打った時の切れ端がさっきの「そば切り」という話なのだが
こんなにも違った印象を受けるなんて面白いなあー
その昔、新宿二丁目には深夜遅くまでやっている「きんかん亭」という蕎麦屋があった。
そこも割子そばを出す店だった。
同じ二丁目で、深夜まで開いていて、割子そばなのだから
すぐに気づいて当たり前なのだが(なにぶんいつも「せいろ」しか食べてないもので(^^;;))
この「楽庵」が「きんかん亭」の流れをくむ店と私が知ったのはつい数年前のことだった。
なくなってしまったと思っていたものの欠片がすぐ側にあったようで嬉しかった。
そして、今夜は「天狗舞」を飲みすぎたのでした!! (≧∇≦)
(計5口くらいだけどハイだったのでマワリが早かった〜〜(^^;;))
2011年7月の「楽庵」
2011年3月の「楽庵」
2010年05月の「楽庵」