
山は暮れ、家は眠る。

美しい、日本の家。
古民家のお蕎麦屋さんに来るたびに思う。
この家が建てられた頃のこと。
この家に帰ってくる人達がいたこと。
この家が見てきたもの。
御免ください。

土間の部分がひろびろとした玄関になっている。

都会ならこの玄関スペースと同じ広さのお店はいくらでもあるだろうなあ。
囲炉裏のある座敷。

他に誰もいないのでストーブを焚いてもらうのが申し訳ないような気持ちになる。
昼は観光客も多いので座敷担当の人がいるが
夜は蕎麦を打っている人がひとりきりでやっているとのこと。
したがって夜は要予約だ。
ちょっとこの眺めは実家を思い出してしまった。

縁側の幅の広さが素晴らしい。
あ、外に建物が・・

なんと庭には築150年超というお蔵があった。
なまこ壁が美しく、かなり大きい。
ああ なまこ壁ってなんてファッショナブルでカッコいいんだろう!!
最近、日本のお蔵の貯蔵能力の凄さについて聞いたばかりなので
なおさら憧れを持って見入ってしまう。
普通の家に長年放置したらホコリやカビまみれになるものが
蔵の中からはピカピカで出てくるらしい。
何はなくともまず「お茶とおつけもの」。

大好きな長野にいるよろこび。
「米十」にはビールやお酒のメニューはあるがおつまみの類は一切ない。
あるのは
せいろそば、かけそば、鴨や天ぷらなどの種物そばなど
蕎麦メニューのみ。
メニューにはないのでお通しなのか「季節の小鉢」というのが出てきた。

「せいろそば」

わ〜 せいろにきのこおろしが添えられている。
長野のきのこ大好き!これはうれしい。

ふわっと軽やかに重なる二八らしい肌。
墨のような香ばしさと北海道らしい強い野性を感じる香りをまとい
たぐりあげると一本一本がほろり軽くほどける。
程よいコシのすべすべした蕎麦だ。
普段は地元産の粉だけを使っているということだが
この時は製粉所の都合で北海道と長野のブレンドだった。
きのこは長野ならではの大きなものですごく美味しい〜
汁は利尻昆布と鰹を使用とのことで
鰹は淡めのスッキリ美味しい汁。
「鴨せいろ」の汁はこんな感じ。

この汁がとてもいい。
極上の肉厚鴨!とかではないのだが、鴨を焼いた香りが香ばしく
しかも汁は脂の浮いていないすっきりしたもの。
うん、おつまみなくても「鴨せいろ」とって
まず鴨汁だけもらって日本酒とチビチビ・・っていうテもありますね〜
(ってまたこういう発言をするからすごーく飲める人だと思われる・・(^^;;))
ストーブはあるが家の中は寒い。
天井が抜いてある古民家はよくあるが
ここの天井はこれまたすごいことになっている。

完全にまっくろくろすけのお家だ。
私はまたこの家の永い時間を思う。
この家が建てられた頃のこと。
この家に帰ってくる人達がいたこと。
この家が見てきたもの。
時は流れこの家は東京の古民家を愛する人の手に渡り
東京から蕎麦打ち職人がやってきて蕎麦屋として経営されている。
芸能事務所の経営というのはこの家のイメージからはおよそかけ離れている。
しかし継ぐ人がいなければ、お金をかけて修復してくれる人がいなければ
古いものは壊れ消えていってしまう。
私が今夜この美しい家に出逢えたのもありがたい運命だ。
そして、
今こうして全く関係のないよそ者の私がここに座っているのも、
この家はじっと見ているのだろう。
夏場にはあの蔵の前に小鳥の餌となるような果物やらが吊されていて、それを啄みに来る可愛らしい小鳥の姿を見ることも・・
風情の良いお店ですよね。
冬の景色ははじめて見ました。ストーブの暖かな炎に包まれながら 雪見酒か・・・
やはり燗かな・・
わあ、それも素敵そうですね!
ここは季節ごとに素晴らしいでしょうね〜♪
ほーちゃんっていうのもかわいらしいですね(*>ω<)