「由庵 矢もり」ついに開店!
・・なんて書くと派手派手しいが、
店は路地裏でひっそりと静かに、そして清々しく始まっていた。
まだ暖簾も届いていない、生まれたてのピカピカの店舗。

昼夜ともに予約のみのお蕎麦屋さんだけに
この小さな路地はぴったりのシチュエーションだ。
店内も何から何まで行き届いたしつらい。
ながく名店で一流の仕事をし、一流の物を見てきた店主だけに
天井、壁、床、柱、カウンター・・全て「ほんもの」の見事な空間だ。

「自家製柚子巻と自家製こんにゃく」

出だしから、心が澄むような美しさ。
「柚子巻」は薄切りにした大根で柚子を包み干したもの。
店主の故郷上野原では民家の軒先でよく下がっているものらしいが
東京では珍しく、これがとても美味しい。
爽やかですばらしいスターターだ。
「自家製こんにゃく」もやさしいコシ、ふるふる感が最高!
すっきりさりげない味付けもさすが。
お酒は「扶桑鶴」。
器も素敵なものばかりで ああ 幸せだなあ・・
「桜海老のおから」「アワビ茸のお浸し」「ひじきと干し筍」

どれもさりげないのに当たり前でなく、
一口ごとに静かに喜ばせてくれる逸品ばかり。
これは参った。
「矢もり」さん、かっこいいなあ〜〜
(「扶桑鶴」が若干減っているのが確認できますが、この時すでにぐるんぐるんだった記憶が・・
「酒量だけは小鳥」どころか今日は「虫」くらいだったかも(^^;;))
ここでおもむろに店主が・・・
「そばがき、食べますか?」
食べますとも!!
私の人生に於いてどんなことがあっても
「そばがきを食べない」という選択はありえません。
食べます♪食べます♪食べます♪(^o^)
カラカラパラパラパラ〜
店主が石臼の上に蕎麦の実を置いた。
遠目にも驚くほど青く美しい実!
秋田の蕎麦、美味しそうだなあ〜

何が始まるのかって?
これは店主が長く任されていた「流石」そのままのスタイル。
これからこの手挽き石臼で蕎麦の実を挽き、
その挽きたてホヤホヤの蕎麦粉で「そばがき」を作ってくれるのだ。
ウキャー (≧∇≦)♡

ゴロゴロ・・・スルスル・・・・
手挽き石臼ならではのなんとも深く静かな石の響き。
この音、落ち着くなあ・・・
(自分で回すのは重くてとても無理だけど(>_<)←昔「半周」しかできなかった伝説を持つ人)
「そばがき」

これも器がいい。
器と食材が引き立てあっている。

ほわあ〜と私を包む、なんとも豊かなかぐわしさ。
野性味もあるがそれよりもふくよか、まろやかなイメージの香りが何とも素晴らしい。
やや粗めの舌触りと、もちっネチッとした食感。
ついさっき私の目の前で青さを際立たせていた秋田の蕎麦の実達が
こんなに芳しくおいしい塊となって私に溶けてくる・・
ああ おいひい・・贅沢すぎる・・・・
「神亀 小鳥のさえずり」

ここで小鳥、さえずりました!!
このおさけおいしい!!
私にしては「濃い」「大人」タイプなのだが
なんともまろやかないいバランス、うまみがある。
虫が小鳥に昇進。
この酒器もまた素敵だなあ〜
黄昏時の雪景色の中に澄んだ水辺があるかのよう。
そう思うとさらにおいしくなっちゃうじゃないですか〜 (≧∇≦)/ キャ
「蕎麦サラダ」

「一応サラダと呼んでいますが、僕にとってはこれは
蕎麦に足りないビタミンCを補えるぶっかけです!」
と店主が言うとおり、ヘルシーで実に美味しそうな汁なしぶっかけ。

美味しい蕎麦と大根、水菜に、ねりごまと韃靼蕎麦の実の風味。
何より、味付けに唸らされる。
美味しい素材ばかりだから美味しいことは想像できたが
抑制のきいた洗練の味付けにはまさにギャフン。
これに似た下卑た味のものは世の中にたくさんあるが
これはその対極の高いところに居る「蕎麦サラダ」だ。
「鴨南」

うっ
この美しく澄んだ汁・・

姿も美しいが味わいもやはり美しい。
すっきり&しっかりとした洗練の出汁。
鴨もふっくら味わいの濃いもので素晴らしい鴨南。

もう本日は小鳥、とんでいきそうなので
あとはラベルと器を楽しむ係になります(* ̄∇ ̄*)
桜と赤字が京都らしく古典的で素敵なラベル。

この酒器も紫がかったグレーが美しい。
「もりそば(富山)」

うわ わわわ
なんと美しい・・・
これほど美しい盛りつけの蕎麦は久しぶりに見た。
お蕎麦が気持ちよさそうに、踊るように盛ってある。

箸先でふーっと香る、落ち着いた、しかしたくましいかぐわしさにうっとり。
そしてひとくち、口に含んで目が丸くなった。
このなめらかさ!このもっちりふっくらとした食感!
見事としか言いようのない稀有な食感だ。
その夢のような食感の中から滋味深い味わいがスーッとひろがり・・
なんという美味しさ!ばんざーい
「矢もり」ばんざーい!!*\(≧∇≦)/*
「もりそば(秋田)」

ね、美しいでしょう?
この「軽やかに踊っているかのような盛り付け」!
この踊るような蕎麦の盛り付けは何年も修行の要る職人技なのだ。
すごい〜〜〜
(古伊万里の復刻版という菊の花型の薬味皿と
瓔珞文の蕎麦猪口にも釘付け)

こちらは先程のそばがきと同じ秋田の蕎麦。
蕎麦にした方が野性味を強く感じ、フレッシュで爽やかなイメージ。
食感はコチラの方がややぱっきりとしているが、柔らかなコシが素晴らしい。
食べ進むうちに肌はしとぴたっとしてきて、野性味はどんどん強くなる。
うーん、しあわせ・・・
またしても最後まで使うことはできなかったが
ここは汁も大変素晴らしい。
スッキリ洗練・・のあとに、何とも言えない旨みが残る。
普段、蕎麦汁は旨みなんて残らない方がいいと思う方だが、
これはなんともおいしいものが小さくスッと残る。
見事な汁だ。
実は「矢もり」には2階もあり
お言葉に甘えて上がらせてもらった。


まだ座布団も何もない、生まれたての空間。

製粉機は2階にあった。
そして2階に行く階段の手前には
アノ方が彫った「矢もり」の看板が。
その看板が嬉しくてニコニコ顔の「矢もり」さんが素敵で
なんだかもったいなくて写真は撮らなかった。
思い切りのいい字が素敵な看板。
いらした方は是非見てみてくださいね〜(^o^)
(現在は夜のみ、予約のみの営業となっていますが是非お気軽に〜☆)
今週 矢もりに伺います。
移転の連絡があり早速予約しました。
楽しみです。
はじめまして、コメントありがとうございます!
今週行かれるのですね〜いいですね〜。
素敵なお店はお店にいる間はもちろん楽しいですが、行くまでと、行った後の思い出も楽しいですね♪