2014年04月24日

神奈川・葉山「蕎麦 恵土」


♪は〜るのおがわは さらさら いくよ

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この川沿いを行けば、大好きなあの家はもうすぐ。




心の中に眠っていた遠い昔の情景が
いま目の前に現れたような。


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「蕎麦 恵土」。





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玄関前の静けさは
古い日本映画の中のよう。



中に入っても人の気配はなく、
ふっと懐かしいような香が漂っているのみ。
奥にいるのでそのまま入るように書いてある。


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「こんにちは」

奥に向かって声をかけると、
古い廊下のきしむ音がし、やっとお店の人が出てくる。
昔の女学生のような雰囲気を残した、可憐な奥さん。

大人気店ゆえいつもはこんな雰囲気ではないのだが
今日は何もかもが映画の中のようにゆっくりと、美しい。



まずは蕎麦湯でもてなされる。

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前菜三種(昼)
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「蕗」
「麦烏賊の煮付けゲソづめ」
「サヨリの昆布締め桜あえ」

しみじみと、美味しいものばかり。



「だし巻き玉子」
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ふるんと軽く、ほんのり甘いだし巻き玉子。
明るく澄んだ黄色がきれい。




「そばがき(手挽き粉使用)」
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わ わわわ
見るからにものすごい美味しそうさ!!

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その粒、その肌、素朴な塊。
見入るほどに美しい、絶対的な存在感。
いつまでも見惚れていたいがかぐわしい香りが私を強烈に誘惑してやまない。
墨のようなヨモギのような、渋い野生の香り!
もっちりネチッと食べ応えがあり
その中で感じる粗挽きのザクザクした食感が楽しい。



「鰊煮」
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やわらかくハラリとした肉質がおいしい鰊煮。
まるで日本画のような、完成された景色。




「あら挽きせいろ」
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ああああ ついに。
もうどうにもこうにも嬉し過ぎる。
久しぶりに出会えた、恵土の「あら挽きせいろ」。
九一の常陸秋そばだ。

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(何せこちらの店内は暗いので、愛を込めて念力で撮りました!!)

深く濃厚に漂う香りは先程の「そばがき」とピタリ同じ、
ヨモギのような墨のような渋いかぐわしさ。
極粗いザリザリした舌触りながら
口中で感じる束は端正に繊細にほどけ
その最後に、ニクイほどやさしく心地よい腰がある。
甘みは少ないのがストイックなイメージのかぐわしさを際立たせ、
もうもうもう、ただ美味しくてたまらない。



「限定あら挽き 手挽きせいろ」
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うわあ〜
今度はぐっとふっくら、やさしい表情。

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たくましく黒いながらも、かすかな透明感のある肌。
上品で清澄な穀物のかぐわしさがフワーッと爽やかに漂い、
見つめるとその下を静かに先ほどの渋い香りが支えている。
食感がまた素晴らしい。
ものすごくやわらかくやさしい印象なのに全くやわらかすぎず、
むしろ凛としている。何ですかコレは!
そこに香ばしさ、甘さ、滋味深さが、見事なバランスで溢れ出してくるのだから
もうただただたまらない恍惚の連続。
さすがは常陸秋そば・・と思わずにいられない。

一枚目の「あら挽きせいろ」も同じ常陸秋そばだが、
皮ごと挽く部分と皮を剥いて挽く部分の配合率が違うそう。

うーん どちらもそれぞれに魅力的だが
今日のところは「限定あら挽き 手挽きせいろ」のほうが好きかなぁ〜!





汁は洗練すっきり、キュッとした感じのおいしい汁だが
もちろん結局最後まで蕎麦にはつけられず・・
ゆっくり、のんびりと蕎麦湯とともに味わう幸せ。

甘いものが苦手な私にとっては蕎麦湯が最高のデザートだが
私の前に座る美女はとても綺麗なデザートを頼んだ。


「桜のブランマンジェ」
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お蕎麦屋さんで出されるデザートして
とても洒落た季節のデザート。
「コレ美味しい〜」とニコニコ食べる、
おゆき坊さん(蜷川有紀さん)のチャーミングなこと。
これ以上ないほど幸せな昼餉。



帰り際にはほぼ満席となったが店の空気はそのまま。

「蕎麦 恵土」に流れる時間を楽しみたい人々が、静かに集っている。



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古いフィルムの中で瞬く

遠い日の情景のように。


「恵土」の景色が私の心に焼き付いている。











posted by aya at 04:31 | Comment(2) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>神奈川 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ayaさん、久し振りのコメントです。

「蕎麦 恵土」お店の雰囲気も、蕎麦の姿もいいですね〜〜。

こちらでお使いの竹笊、私の知り合いが一生懸命編んで納めた物なんです。
なのでいつかは箱根の山を越えて食べに行きたいと願っています。
Posted by そばの横好き at 2014年04月26日 21:45
そばの横好きさま
竹笊、そうだったんですかー!
とても美しく珍しいものだったので有紀さんともお話してたんですよ。
恵土はきっとそばの横好きさま大好きだと思います!(^O^)
Posted by aya at 2014年05月03日 10:19
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