2014年03月19日

群馬・沼田「みどりや」


何故か今年から、看板に「手打ち」の文字が添えられたのである。

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お蕎麦はできれば「手打ち」であって欲しい私にとって
初めて行くお店が「手打ち」かどうかを見極めるのは時に難しい。
特に「十割そば」という幟が目立つ店は
「十割で作れる製麺機使用」というお店が多いのでますます難しい。
蕎麦打ち場が外から見えている店は少ないし、
入って行って訊くわけにもいかないので
外観をジーッッと見つめ沈黙の問答を重ねるしかない。

そんな私のような人が多かったのか(多くないか)
今年から大きな看板が設置されたので大変わかり易くなった。
嬉しいような可笑しいような気持ちで意気揚々と店に入る。


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テレビの音とストーブ、
「ザ・和の山小屋」ないい雰囲気。
隅の席では大学生らしき真面目そうな男女グループが
静かに楽しそうに話をしている。



私が席に着くとお店の奥さんがお茶を持ってやって来る。
次にメニューを持ってやって来る。
普通、メニュー本はテーブルの上に置いていったりするものだが
ここの奥さんは私の目を見て
「はい。」
と手渡してくれる。
愛想があるかといえばそんなにないのだが、
山間の店らしいものすごい直球のサービスは私の心に温かく響いた。
この店が好きになった。


奥さんにバシッと手渡されたメニュー本を開くと
メニューはそんなに多くない。
お蕎麦のメニューと天ぷら類、あと
「みそおでん 50円」
というのがある。


お蕎麦のページがまたいい。
(メニュー本というのは何となくお蕎麦屋さんの
 「閉じてある内側の世界」「舞台裏」のような感じがして
 いつもは掲載を遠慮しているのだが今日は愛に免じてお許しいただきたい)

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のっけの一行目から

「十割そば(固めです)」

この揺るぎなき大宣言。
必要なことだけを簡潔に、はっきりと言うまっすぐさ。
「うちのお蕎麦は普通より固めなんです。
それが美味しいと思うからそうしてるんです」
というプライドも感じるし、
高飛車でも謙虚でもない感じが気に入ってしまった。
固めのお蕎麦が苦手な人はここでうどんに針路変更するのか
お店を出て行ってしまうのかわからないが
とにかく私はその「固めのお蕎麦」というのが楽しみでたまらない。




天ぷらメニューも

「まいたけ(地元産) 150円」
「えび 150円」
「かぼちゃ 100円」
「なす 100円」

なんともほのぼのとした気持ちになる楽しさだ。


では大好物の「まいたけ」と「えび」と「十割そば」、
私も直球で、お願いします!


「まいたけ天」と「えび天」
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写真では伝わりにくいのがもどかしいが
このまいたけ天、1つが何かの建造物のように大きい。
バリッッと潔いほど固いので箸で割るにも割れず
横っ腹から攻めて行って果敢にかぶりつく、といった感じになる。
そして大変に美味しい!!
こんなに大きくて美味しいまいたけ天が1つ100円!
もう嬉しくって口がまいたけでいっぱいなのにニッコニコしてしまうではないか。


ふと、暖簾の奥から店主が顔をのぞかせる。
「海老は小さかったので100円でいいです〜」
とこれまた嬉しい可愛らしいサービス。
その海老がですよ、こんな山奥でですよ、
なんとも柔らかくてぷるんとした甘い美味しい海老でビックリ。
これが1尾100円でいいんですかい!!

天つゆはなく塩で食べるというのも、揚げ物塩派の私にはうれしいところ。
しかもテーブル脇に設置されたお塩はアジシオである。
テレビでは美空ひばりが歌っている。
昭和のような、山の夜。




「十割そば」
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おお〜 確かに一本一本がしっかりしていそうな
黒っぽい中太打ちのずっしりとした蕎麦山。


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たぐりあげただけでスーッと鼻腔をくすぐる
石のような墨のような渋い香り。
あまり褒め言葉に聞こえないかもしれないが素晴らしいかぐわしさだ。
肌はつるつるでなく独得のスベスベ感。
一本一本にハリがあり口に入る前も入った後も
暴れる感じはあるのだが固いかというと決して固くはないと思う。
中太なのでそれなりに噛みごたえはあるのだが
程よいコシのあるよい食感だ。
口中で生まれつづける香りと滋味深い味わい・・・
ああ いいなあ 美味しいお蕎麦だなあ〜


汁はいりこなのかアゴなのか、独特の磯の香りがする。
しかし甘みも濃さもすっきりとして
個性的だがとても美味しい汁だ。
夏期には十割そばに加え二八も打っているらしい。


話してみると実ににこやかで親しみやすい奥さんと
しばしこのあたりの天気の話などをし、
さてもうそろそろ帰ろうかな、と思っていたら
店主がまた顔を出し

「おでん食べます?」


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1本50円のみそおでん。


心あたたまっちゃうなあー






posted by aya at 08:49 | Comment(4) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>何故か今年から、看板に「手打ち」の文字が添えられたのである
いや、あれ、だいぶ前からですよ。
例えば、撮影時期が2012年8月になっているGoogleストリートビューでも確認できます。
http://goo.gl/maps/KATNw
Posted by Z33 at 2014年03月19日 21:02
上の人、人様のブログで一体何がしたいんですかね?目に余ったので初めてコメントさせて頂きました。関係ありませんが、自分は天ぷら屋で食べる天ぷらより蕎麦屋の天ぷらの方が好きです。この店もよさそうですね。
Posted by 通りすがり at 2014年03月29日 10:13
ブログって大変だろうな-----
きっと、訪れる人みんなが笑顔で楽しくって思って頑張ってんだろうな---
私も笑顔で訪れたいな。
色々悲しい書き込みは削除することも出来るし、ブログを一生懸命管理している人が笑顔でいつまでも楽しく続けられるといいな。
私はこのブログ、とても好きです!!
いつもいつも笑って読んでいたいな--------
Posted by at 2014年03月29日 19:31
Z33さま
おやー、そうなのですか〜
実はこの街道はここ数年,毎年何度も通っておりまして、しかもこのお店でちょっと面白いエピソードもあったりしたのですっかり思い込んでおりました。まあ何せ記憶力とかデータとかには全く弱い私なので(^^;;)
長年気にしてたので立派な看板がうれしかったです〜

通りすがりさま
はじめまして、コメントありがとうございます。
お蕎麦屋さんで食べる天ぷらの方が・・って私もです〜!その後にお蕎麦が来るっていう気分の高揚もあるかもしれませんが(^^;;)私が一番好きな「まいたけ」「穴子」があるお蕎麦屋さんが多いのも大きいと思います♪

ななしさま
うっわぁー うわー 嬉しい書き込み有難うございます!
いつも書いているときは、こんなの書いても誰にも読まれないような気持ちで書いています。なのでそんなお言葉を頂くと、もっと書こー!とヤル気が出ちゃいます。
今後ともどうぞよろしくお願いします(^^)



Posted by aya at 2014年04月02日 23:02
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