店名はSycamore(シカモア)。
蕎麦屋らしからぬ洒落た名だ。
しかも営業時間が17:30〜25:00。
なんだかバ、バーみたいなのですが・・・
私なんかが行って大丈夫なんでしょうか。
基本的に「夜より朝」「都会より山」の雰囲気の方が性に合うので
「都会の夜の店」というイメージに対しては「そりゃたいへんだ」と身構えてしまう。
赤いハイヒールを履いていかなくてはいけないのかと思ってしまう(←意外とノリノリ)。
でもお蕎麦屋さん、なのです。
別に身構える必要はないのです。
世田谷線「上町」駅から徒歩1分。

わぁ 素敵な店構えだなあ。
都会的だけれど温かみがあって、
洗練されているけれど土着的な大胆さも感じる外観。
身構えていたのが馬鹿みたいだ。
早くはいってみたい!
階段を降りて行くとこれまた蕎麦屋らしからぬ、センスの良い空間が現れる。
地下の店にしては天井がとても高い。
ぐっと落とされた照明の中、壁を巨大スクリーンに見立てて映し出された映像が
客席の色彩を変化させている。
テーブル席から見るとカウンターはかなり高い位置にある。
それが空間に縦の広がりを持たせ、それぞれの空間をそれぞれに居心地よくさせている。

蕎麦屋としては大変個性的な空間だが、その全てをまとめているのがこの松だ。
ドンと置かれた大きな松の盆栽が、この空間を「Sycamore」にしている。

松好きの私にはたまらない、
「バンザイ!」と言いたくなるような素晴らしい眺め。
コンクリートの地下空間ながら冷たくない。ありふれたイマドキ風でもない。
クールな洗練美を表現しつつも土や木から離れない、「Sycamore」な空間。
ここで何だか私、突如嬉しさが頭から爆発してしまいました。
ただでさえ松に酔っていたところへ
メニューがどれも美味しそう。
しかもお店の人が皆さん素晴らしく感じがよく
その居心地の良さに俄然二カニカ嬉しくなっていた。
そこに現れたこの麗しき錫の徳利、猪口。
「謙信 純米吟醸 無濾過 山田錦」

酒量だけは小鳥の私が見た瞬間に
「わぁーーっもう浴びるほど飲みたい!!」と思ってしまったのだから
器の効果というのは凄い。
ひんやりとした錫の質感、潔いほど無駄のないデザイン。
無機質になりすぎぬよう猪口は麻のコースターに置かれて、
演出のセンスがまた素晴らしい。
飲みたい飲みたい、だってこんなに美味しそうなんだもの!
(心意気だけは買ってください)
お通し
「磯つぶ貝」

「ザーサイの漬物」

「ホタルイカとホタテの薫製盛り」

聞いただけで嬉しくなっちゃう大好物の組み合わせメニュー。
薫製の香ばしさに加えて何かもうひとつ、
甘い香りがするところはワインにも合いそうだ。
この時は壁のムービーが海のシーンで青かったので
イカさんもホタテさんも海の光に喜んでおります(^^)
メニューにはない本日おすすめのお酒というのも
いろいろ面白いものが揃っている。
山の壽 Okiro(オキロ) 活性にごり生酒

個性的なラベルに圧倒されるが、これ美味しい!
にごり、好きなのです。
「香味野菜とフランス産鴨ロースサラダ」

写真で見ても美味しそうでしょう?
この鴨ロースもサラダも、本当に、大変に美味しいのです!
ひとつひとつが「うわっこれ美味しい!」という美味しさの真ん中をバシーッと突いていて
食べるごとに思わずうれしくなってしまう。
鴨ロースは素材の旨味が凝縮しつつもしっとりジューシー、味付け加減も最高で
うーん、鴨ロースってこんなにも美味しいものだったっけ・・
添えられたサラダも見た目はさりげないが一口食べたら
「これだけを、お皿いっぱい食べたい・・!」と思ってしまいました。(^^;)


「熟成純米原酒」だけあって、これはちょっとお酒一年生には大人の味。
でも間違いなくツウな人には喜ばれそうなお酒!!
「鰯と香菜の食べるオリーブ和え」

一口食べて、お店の方に言いました。
「なんでこんなにいちいち美味しいんですか!」
それくらい美味しい。こういうのを「料理が上手い」というのだろう。
「ただ和えただけ」に見えるものなのに、一口食べるごとに顔が輝いてしまった。
しかもお店の方が実に謙虚でにこやかで感じがいいんですよね〜
なんて素敵なお店なのでしょう・・・
「そばがき」

おおっ これは・・
なにやらめちゃめちゃおいしそうではないですか!?

わわわわわ
おいしすぎます これは確実に度を越しておいしすぎます
とんでもなくすばらしいかぐわしさ!
ぐっと下を支えるたくましさ、香ばしさがありながら
どこまでもフレッシュなかぐわしさを感じさせてくれるのが嬉しすぎる。
この共存には大変に弱いのですよ、ああもうどうしましょう・・
と口に含めば
(ハイまだ食べていませんでした、だって香りが素晴らしすぎる!!)
もにょフワとろトゥル〜〜
とろトゥル〜〜
もにょフワ〜
(恍惚の閉眼)
・・・アホかと言われても仕方がないが
もう食べている顔はただアホでしかない。
そういう美味しさなのです。
まず「もにょ〜」と極上のやわらかさでありながら
「フワ〜」とエアリーな食感を持っているところがすんばらしい。
その上「とろトゥル〜〜」・・舌に吸い付くようにきめの細かい肌。
その全てが、最初に私をノックアウトしたとんでもないかぐわしさの中にある。
はああ・・あまりにも陶酔してもうぐにゃぐにゃふにゃふにゃ、
恍惚の国から帰って来られない。
「せいろ」

移りゆくムービーの光のなかで出会った、端整な姿。
くっきりとした輪郭線が目に鮮やか!

ひんやり清澄な空気が運ぶ、美しいかぐわしさ。
私までが清められるかのような思いで香りに酔えば
その奥からたぐられてきたかように力強いたくましさや香ばしさも押し寄せてくる。
この奥深いかぐわしさは、そばがきでも感じたが福井のような・・?
(福井大野でした♪)
見た目の通り、口中でもくっきりはっきりシャープな輪郭線を際立たせ、
やや太めのせいもあってしっかりモグモグ噛みしめるお蕎麦。
みっちり密な質感を噛みしめる度に、穀物の旨味と甘みが深まっていく。

濃厚蕎麦湯がまた美味しい。
しあわせ。とけていく。
「蕎麦 Sycamore」の夜にとけていく。

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「せいろ」の写真が見えにゃい。
いじくり方の問題かにゃ〜。
きかいわかんない。
子供か。
わわ、リンクしてたファイルを消しちゃってました!これではさすがのTCさまでも見えないですよね。失礼いたしましたー!