2013年02月02日

目黒「手打そば 小菅」


目黒駅から徒歩2分という便利さ。

坂を下れば右側に「手打そば 小菅」の看板が現われる。 
私にとっては見慣れに見慣れた、懐かしさすら感じる看板なのだが
あれれ、しばらく来ないうちにテレビモニターつき電光看板が設えられている。

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確かに他の店々の派手な看板がまぶしく連なる中では
今までの「手打そば 小菅」のシンプルな看板だけでは
目立たなすぎたかもしれない。
(私にはどんな蕎麦屋の看板も目立って仕方ないが)


店は地下にある。

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今夜はカウンターに常連さんらしいお客さんが一人。
座敷では今宴会が始まったところのようだ。
大学の研究室か何かの集まりらしい。

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「汲み上げ豆腐」
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汲み上げゆば、ではなく豆腐というところが珍しい。
たしかにゆばのような膜の感じはなく
クリーミーなおぼろ豆腐のような感じで濃厚とろとろフワンフワン!!

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またここのつゆが本当によく合っているではないですか。
おいしい〜コレすごく好き〜〜〜



「田舎大根」
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写真では伝わりにくいかと思うが
この器も大根もびっくりするほどの大きさなのだ。
聖護院大根なのか、食べると見た目以上にやわらかく
口の中でとろけるよう。
(私には)甘みのある味付けだがやさしくてとてもおいしい。
一緒に煮込まれたぽろぽろの鶏肉もうれしい。


「せいろ」
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横長のせいろの中の端整な姿。
箱の中に「ビシッと控えている」といった印象だ。


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あいかわず美しい「手打そば 小菅」の蕎麦。
強い主張のない、なんとも穏やかな印象の蕎麦だが
久々に一口食べて私は軽い衝撃を受けた。

機械打ちつるんつるんの蕎麦などは端から端までおんなじで
「食欲に任せてできるだけいっぱい頬張っちゃえ!」
といった気軽さがあるが(それはそれで楽しい)、
この蕎麦はそういう蕎麦の対極にあると言っていい。
控えめで、穏やかながら本物の輝きがあり、
それが自然と伝わってきて大切に味わいたくなる。

箸先で寄せた香りはごく淡く、
口に含むと見た目以上につるつるとしてみずみずしい。
それを噛みしめると突如口中に蕎麦の香りがワッとはじけ
舌の上に穏やかな味わいがジワーとひろがっていく。
澄んだ香りと味わい。美しいコシ。
私はひとくち蕎麦を食べただけなのに
これら全部がまるで目にみえるように感じられて驚いた。
なんておいしい蕎麦なんだろう!



座敷の宴会はまさにたけなわ、笑い声が楽しそうだ。
テーブル席には何組かのお客さんが訪れては入れ替わり、
最初からいるカウンターのおじさんは
そろそろいい気分で眠ってしまいそう。


店内のほぼ中央に座った私は
黙々と厨房で働く店主の姿と
感じの良い奥さんが店内を丁寧に接客してまわる様子を眺めている。

時間は意味もなく心地よく伸びていく。


この店に初めて来た頃の自分と今夜の自分。

時間というものがこの店の外にあるような
おかしな感覚に襲われる。



さて、わたしもそろそろ立ち上がろうかな。







posted by aya at 22:46 | Comment(5) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>目黒区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
> この店に初めて来た頃の自分と今夜の自分

懐かしい。もうずいぶんと長い間、行ってないままでうすわぁ。お店の構造もちょっと独特ですよね。

坂だらけの街のそこかしこに思い出のお店があって、ひと頃は頻繁に訪ねた街だったのに、どうも人の暮らしそのものにも命の季節の様なモノがあって、移り変わりの中で、頻繁に足を運ぶ街、疎遠になる街というのが次々に変わっていくのです。そこが面白い点でもあり、寂しい点でもあり。
たとえ短い間でも、その街での思い出があることを幸せに思い返せるように暮らしていきたいものです。

街も、店も、人と同じですな。
疎遠になったからって嫌っているわけではない。
好きは好きでも、離れる巡り合わせだってくる。
時間だけは、どうにもできません。

先日、仕事に行き詰まり、気分転換に上野を散歩しまして、未訪問の蕎麦屋3軒に出くわしました。2軒の店名が変わっていて、そのうち1軒に昨日行ってきました。もう、お店にいる間ずっとニコニコしていられる状況が出来上がって、自分でもおかしいと思うくらい笑顔で「おしょば」を食べて帰ってきたのでした。

今夜は恵方巻を食べに浅草へ!

(BGM:Treasures of Time/TOKU)
Posted by TC at 2013年02月03日 07:00
TCさま
時間の流れ、自分と街との関係。お蕎麦屋さんがなかったら感じなかったであろうことばかりです。地図もね、お蕎麦が好きでなかったら今の何分の一もしらないと思います。恵方巻は食べに行ったことありませんが浅草で食べれば観音様もご利益応援してくれそうですね(^o^)

Z33さま
感謝です〜また是非よろしくお願いします(^o^)♪
Posted by aya at 2013年02月03日 07:59
学生時代に、雅叙園や太鼓橋の方に友人を訪ねて良く降りた駅。目黒川のアチラにはS野ドレメや、〇●ペ◎ーの光が廻って・・・

しかし、こちら側にはしばらく行く機会が無かったっけ。
が、あるとき昼にお店に立ち寄った。

コップ一杯の「銘柄」を指定して、冷や酒で。

「今日は上がりですか?」

聞かれて、

「う〜ん、これから、・・・ね・・・」

たまたまなんだろうが、聞かれましたね。(汗

あれから、あの坂途中の店に行けてないし、あの階段降りてカウンターに座っていない、
ですよ。行きたいな。
Posted by よしの at 2013年02月03日 21:29
食べてきた!
やっと『蕎麦寿司』をひと口大に切らずに、巻き物として一本まるごと出してくれるお店で節分を過ごせました。

前から思ってはいたんだけど、蕎麦寿司は予約が必要だったり、そのお店での食べ方が決まっていたりで、なかなか節分に蕎麦寿司を(勝手に恵方巻として)食べられはしなかったんですよぉ。

今回、お店に方位磁石を持ち込んで南南東の方角を向いて一本まるごとの蕎麦寿司を目を閉じて願い事をしながら食べ終えて、目を開けて気が付いたら、その方向には『宝船の額』が飾ってあるではないの! 出来過ぎでした。

でもね、目を閉じて一気に食べちゃったから、美味しかったんだけど中の具が何だったのか判んないままなの。「今度は切ったヤツください」ってもう1回たのむのも変だからしなかったし、永遠の謎ですな。

『ひさご通り』に3軒目の蕎麦屋が出来ていたのも知りました。『うどんはありません。蕎麦のみの販売となります。』とわざわざ表に書いてあるのは印象的でした。

あと、夜だったけど、お店、チラッとだけ覗きました。
前から綺麗だと思っていたけど、さらに綺麗になりましたね。
Posted by TC at 2013年02月04日 01:21
よしのさま
昔から知っている店はたくさんの思い出を自分の中に呼び覚ましてくれますよね〜。また、実際行くといろいろな感覚を思い出されるでしょうね!

TCさま
目を開けたら宝船の額!すっごいですねー!うれしいですねー!私は南南東は向いたんですが目を閉じるとかしゃべっちゃダメとか知らなかったしおまけに願い事っていうのまで知りませんでした。ただそっち向いてニコニコ食べればいいことあるんだと思ってたぁー。そのほうが楽しくていいのに。

Posted by aya at 2013年02月04日 22:48
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