2013年01月25日
神楽坂「蕎楽亭もがみ」
東西線「神楽坂」駅より徒歩3、4分。
小さな路地に輝く、ピカピカ真新しいお店。
路地が暗いだけに明るい店内の活気ある様子が外からも良く見える。
楽しげな宴の様子、忙しく立ち働く店の人々。
まるでドールハウスか舞台のセットでも眺めているような気分になる。
楽しそうだなあー
清潔感溢れる店内。
テーブル席にはサラリーマンらしき8人グループ、
カウンターにはカップルやおじさま方がくつろいでいて
実にいい雰囲気だ。
「蕎楽亭もがみ」の店主は女性。
スタッフも皆女性で全員が若く、全員が小花柄の割烹着を着用している。
若い女性が、小花柄の割烹着ですよ小花柄の割烹着!どうなんですか一体!
どうしても「萌え」という言葉が浮かんでしまう私も私だが、
どのスタッフにもチャラチャラした感じは一切ない。
小花柄と言ってもベージュや黒の目立たないナチュラルなもので
それを作業服のようにグワシッと紐でひっちばって
ガンガン働く姿がなんとも言えず清々しい。
しかしこの店の人気はそんな理由からではない(だろう)。
手打ちの蕎麦もうどんも最高に美味しいうえに
おつまみやお酒のラインナップがそれは楽しいのだ。気が利いているのだ。
例えばね、ランチはこんなことしてるんですよ。
手打ち蕎麦とビーフシチュー!
なんと魅惑的な組み合わせ。
そんなのつい頼みたくなるではないですか〜!
もちろん真骨頂は夜である。
「蕎楽亭もがみ」のおつまみ。
生牡蠣(赤穂)、ポテトサラダ、椎茸えび詰め天ぷら、牛すじ煮込み、
穴子の天プラ、煮ゆば玉子とじ、肉豆腐、会津産馬刺し、
白子天プラ、白魚の天ぷら、だし巻き卵、ビーフシチュー、鴨焼き、
手挽き荒粉そばがき、こづゆ(会津地方の祝い汁)
ひとりで行って、はたまた宴会で行って、
「おっこれは食べたい」とつい目に止まるメニューが
ガッチリ勢ぞろいしている感じ。
会津メニューが多いのは修行先である「蕎楽亭」の大将が
会津出身のためである。
お酒は地酒各種、
白鷹、花泉ロ万、鳴門鯛(山廃)、央(ドブロク)、央(純米大吟醸)、
一生青春(特別純米)、飛露喜(特別純米)、獺祭(純米大吟醸)、
その他、ビール、焼酎、ウイスキー、ワイン。
そば、うどんメニューは
ざる、ざるうどん、めおともり(そば、うどん合盛り)、おろしそば、
肉ざる、冷しゆば、つけカレー、
かけそば、かけうどん、肉そば、玉子とじ、HOTおろし、HOTゆば、
そして、牛すじカレー!(^o^)
ついついメニューを熟読、目移りしてしまった私。
ビーフシチューに大変惹かれたがなにせ一人なので、
ハーフでも頼めるという「牛すじ煮込み」に。
「牛すじ煮込み」
断然「肉より魚」派の私だが
煮肉には弱くってねえ〜♪
ネギたっぷりが嬉しい、トロトロが嬉しい。
「こづゆ(会津地方の祝い汁)」
メニューに「野菜たくさん ホタテダシ」とある通り、
たっぷり野菜とほんわかホタテダシ。
味付けが濃くないので素材ひとつひとつの個性が楽しめるところが素晴らしい。
きくらげや白滝のぷるぷる感の中に、
にんじんのあまみ。さといもの滋味深さ。みつばの香り。
そして銀杏が口の中ではじけた時の宝物のような嬉しさ。
居酒屋的メニューが沢山あっても野菜メニューは少ないことが多い中
こうして蕎麦前に野菜をたっぷり食べられるのはありがたい。
そしてなんと私、
今日は「ざる」を頼みません!
うどんやひやむぎの美味しさで有名な「蕎楽亭」から暖簾分けしたこの店であるから
今日は「めおともり(そば、うどん合盛り)」、
いきますよ〜♪
まず運ばれてきたうどん、そば用の「デュオ猪口」の美しさに
目を奪われる。
会津の工房で作られているという、ガラスに漆塗の蕎麦猪口。
個性的な質感、発色とガラスならではの涼しげな清潔感が印象的で、
うどんの澄んだ汁がとても綺麗に見える。
「赤×黒がそば」で「白×茶がうどん」というのも
それぞれのイメージによく合っていてとてもいい。
「めおともり(ざるそば、ざるうどん合盛り)」
「ざるそば」
じっとりしっとり横たわる、透明感のある粗挽き肌。
見た目からはそんなに香ってくれそうな蕎麦には見えなかったのだが・・
箸先にたぐり上げて目がかっぴらく。
ほわーっ なんと香ばしい、トウモロコシのようなかぐわしさ!
口に含むとずっしりみずみずしい肌から
穀物のふっくら香ばしい味わいがかろやかに溢れ続ける。
みっちり濃厚!!という感じではなく、みずみずしさの中から
かろやかに絶え間なく溢れでてくる感じがたまらない。
うあ〜しあわせ、なんておいしいお蕎麦だろう・・・
会津産の蕎麦、品種は「会津のかおり」と聞いて更にびっくり。
こんなに味と香りの濃い「会津のかおり」は初めてかも。
やっぱり合盛りにしないでそばだけいっぱい食べたかったかなあ、
失敗したかなあー
「ざるうどん」
ギャフン。
食べもせぬうちから尻尾を巻きました。
「やっぱり合盛にして良かったー」と思わずいられない、おいしいおいしい小麦の香り。
ちゅるりと口に含むと、すんなりシコシコ絶妙の食感で
甘いだけでない小麦のかぐわしさと旨みが濃厚に舌に広がり続ける。
この色の濃さ、見るからに美味しそうだとは思ったがここまでとは・・
蕎麦もあんなにおいしいのに、うどんもおいしすぎるんですけどー!
私は思わず上半身がじたばたしてしまい
厨房はものすごく忙しそうなのだが
どうしても伝えずにいられなかった。
「両方共おいしすぎます・・・!」
礼儀正しく潔く、それでいてどこまでも自然な店主。
そのまっすぐな瞳は「蕎楽亭」時代から私の印象に強く残っていたが
今日はさらにその「自然さ」に心を打たれた。
紐を力任せにひっちばったように着た小花柄の割烹着が
本当に良く似合っていた。
暖簾を出ると、1月のかたくつめたい夜。
しかし私は春風にでも吹かれているかのように大変にいい気分だった。
こういうのを「いい気分」というのだと思った。
神楽坂を飯田橋を、どこまでも歩きたい気分で
ふわふわ〜
フラフラ〜
この道をゆけば、「蕎楽亭もがみ」の店主が修行した「蕎楽亭」。
あの角を曲がればその昔「蕎楽亭」の店主が最初に店を開いた場所。
時の流れと「蕎楽亭もがみ」に、酔ったのだ。
.
この記事へのコメント
Posted by よしこ at 2013年01月27日 01:03
コメントを書く
この記事へのトラックバック