2013年01月08日
銀座「銀座 矢部」
入口からしておよそ蕎麦屋と言う雰囲気ではない。
銀座通りに面して黒く輝くきらびやかなビル。
この地下1階に「銀座 矢部」がある。
新宿の名店「大木戸 矢部」の矢部さんが
満を持して4年前に開いた店だ。
ジャンルで言えば蕎麦屋というより美味しいお蕎麦が食べられる割烹。
現在は昼も夜もコースのみなので、蕎麦屋と思っていくと敷居は高い。
「お蕎麦はお蕎麦屋さんで食べればいいのであって、わざわざ銀座の割烹で食べなくても・・」
と思う向きもあるかもしれない。
しかし私はテレビで野球中継していて出前もやっちゃうお蕎麦屋さんでも、
昼酒が似合う粋な老舗系でも、
脱サラで頑張っている自宅改造店でも、
この店のように「ハレの日」にもぴったりの特別な雰囲気の店でも、
そのお蕎麦に心がこもっているならば、みんな等しく愛したい。
私は日本一の蕎麦浮気者でありたいと願っているのだ。
ハイその浮気者、ニヤニヤしながらエレベーターで地下へ参ります。
地下一階のお店の入り口はビルの正面より大分親しみやすい雰囲気。
テーブル席もあるが、ここはやはり料理人の仕事が見られるカウンター席がいい。
真ん前に座れたので久しぶりに矢部さんの仕事ぶりを楽しく眺める。
お客さんに何を聞かれても明るい口調でハキハキ答える矢部さんが
堅苦しくなってもおかしくはない店全体の雰囲気を居心地よく和ませている。
満席の店内、どのお客さんも実にいい笑顔だ。
隠元の白和え
海老芋の炊合せ、雲丹添え
海老芋の焼き目の香ばしさととろとろの出汁の味わいに早くも悶絶。
これ毎日食べたい!
うわー
こういう演出には滅法弱いのが女子というもの。
雛道具のように美しく、何が入っているのかな?
うう・・大好物のあん肝、なまこの酢の物などなど・・・
私がお酒が飲めたらここまででどれだけ飲んじゃっているんでしょう。
(いつもはちょっとは飲むんですが、年末に5口の日本酒で
顔の血管切ってほうぼうから怒られてからしばらく自粛しております)
次はいよいよ、日本料理の中で一番の楽しみと言っていい、お椀。
どんなお椀かなあ〜 わくわくわくわく。
お椀のなかにどーんとアワビ。
その下にほしょほしょと浮かんでいるのは、助子(すけそう鱈の卵)。
肉厚のアワビがやわらかくて味が濃くて美味しいぃぃぃ〜
初体験の助子もおいしいぃぃぃ〜〜
美味しいお椀でノックアウトされると温かさもあって
必ず二の腕がしびれてしまう私。
お蕎麦とお寿司どっちが好きか、それだけは訊かないでいただきたい私である。
こっ このカワハギ・・肝と一緒に食べた日には・・・
もう今日はお蕎麦なしでもいいかなと思えるほどおいしすぎる。(後で撤回します)
白えびの軍艦もゴージャズな甘さ!
マナカツオ。
この焼き具合の絶妙さときたらどうだ。
表面パリ、中はふっくら、味がぎゅーっと凝縮されたその瞬間に運ばれてきたような。
ややこしい料理が作れる人も尊敬するが
お魚焼いただけで人をこんなに喜ばせることができる人は大尊敬してしまう。
いくら素晴らしい素材でも、私が焼いたら「すごーく普通の焼き魚」になるに違いない(^^;;)
ここで小さな・・
からすみ。
去年ものと今年ものを実験のように並べてあるところが楽しい。
お酒のみでないは私はやっぱり柔らかさの残る今年ものが好きかな〜
っていうかお酒のみだったら本当に今日は危険過ぎる日だ!!
合間にちょんとさりげなく出された塩辛がまたあまりにも美味しい。
「あのー この塩辛が普通でなく美味しいのですが、どうしてですか?」
「愛情がこもっているからです!」
と満面の笑顔で答えた後に矢部さん、
「しっかり干すこと。そして雲丹を混ぜてあるんですよー、ありがとうございます!」
とのこと。
クエ
これまた大好物のクエ!
もう本当に、魚好きにはたまらない店だ。
プリプリのクエの旨みをふくらませるような出汁具合がまた最高。
おいしい〜 おいしい〜 とついつい怪しく唸りながら食べる。
ここで
「もう結構召し上がったかと思いますが、お腹の具合はいかがですか?
まだ食べられそうですか?」
と聞かれた。
たしかにお腹としてはかなり満ちていたのだが
こんなに美味しいもの尽くしでは口が勝手に
「まだまだ食べられま〜す♪」
と言っちゃうに決まっているではないか。
事実そう言えている間はぺろっといけちゃうものだ。
焼き牡蠣
これまた大好物の焼き牡蠣。
私はどこにいっても柑橘もタレもなしでそのまま食べます。
いちばん海の味がしておいしい(^o^)
天然とらふぐの白子、焼き
もう贅沢尽くしで舌も体もびっくりしています・・
この焼かれた皮から溢れる超濃厚もったりクリーミーな夢・・・
天然とらふぐの唐揚げ
口のところのコラーゲンがぷりぷり!
お腹の許容量としてはこの唐揚げで完全にノックアウトを喰らいました。
これが他の食べ物だったら「もう無理です」と私は言うであろう。
しかしそんなことは天地がひっくり返ってもありえない。
私は今日、この人に会うためにここに来たのだ!
「せいろそば」
わー!きれいな青緑!!
素晴らしい・・・・。
たぐりあげた箸先から漂う、
穏やかで凛とした、しかし非常にフレッシュなかぐわしさ。
口に含むとひんやり端整な細切りの輪郭線が心地よく
噛みしめると少し伸びるような絶妙に密なコシがある。
かぐわしさに酔いながら口中のその美しいコシをみつめ、
そこからあふれる穀物の素朴な滋味を見つめ
あおいあおい蕎麦の夢をみる・・・
あのー
私今日はここでなんだったか
いろいろおいしい贅沢なものを食べた気がするんですが
なんでしたっけ・・・ね?
てなアホになってしまいそうなほど
記憶喪失になってしまいそうなほど
それはそれは美味しい蕎麦なのだ。
もー!お料理も美味しいんですがお蕎麦が美味しすぎますよ矢部さん!!
お蕎麦は「せいろそば」以外にも
ここでは話題になりやすい「ちぃずからめそば」とか〜
季節柄「牡蠣そば」とか〜
どれも大変おいしいのだが、
私はあの方(せいろそば)との時間が忘れられず
余韻に浸るばかり浸るばかり。
丹波黒豆ときなこのババロア
美味しいものを作る人には魔法が使えるらしい。
甘いもの苦手な私が「おいしーい!」といいながらぺろっと食べちゃいました。
もともと豆系は好きなのと、あと甘さも控えめだったのでしょうね♪
余談ですがその昔キル・フェ・ボンで唯一と言ってほど溺愛していた「きなこと黒豆のタルト」は
もう復活しないのでしょうか〜
お酒も飲んでいないのに気づけばかなり長居したようで(単なる食べ過ぎでは)
満員だった店内は広々している。
日本一の蕎麦浮気者、
今日のしあわせ蕎麦エネルギーで
当分、かなり頑張れそうですよー!
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結局また一杯で入れませんでした。
んで、他のお店で食べて帰って来ました。
あのあたりも蕎麦を出す様々なタイプのお店が増えましたなぁ。
『矢部』!
そこ私がよく座らされる席!
酒器もさり気なく素敵なんですよ。
改装後は店内の印象が明るくなりましたね。
昼も夜もコースのみになったのは知りませんでした。
また行かなきゃ。
なんと!!あんなにがんばったのに〜〜さむかったのに〜〜〜悲しすぎます(>_<)絶対近々に思いを遂げたいところですね。矢部定席はこちらでしたか〜、なかなかコージーコーナーですよね♪