2012年08月23日
愛知・名古屋競馬場前「手挽きそば 一心」
限定蕎麦というのは実に悩ましい。
土日限定、というような曜日限定も悩ましいが
「一日限定10食」なんていう限定蕎麦がある時の悩ましさと言ったらない。
それがなかなか行かれない地方の店だったりするとなおさらだ。
居ても立ってもいられないほどの不安、と言ったら大袈裟だと言われそうだが
恥ずかしながら私は本当にそれくらい不安なのだ。
「別にいいんですよ〜なかったらなかったで、別のものを食べましょう」
と言える大人になる日は来るのだろうか。
そんなわけで、この「手挽きそば 一心」に来るのも
本当にドキドキ心配だった。
「一心」は蕎麦の種類が多いのだが、なんといっても気になる蕎麦がある。
「木曽十割ざる」(挽きぐるみ、黒っぽい細打ち、産地は木曽福島)
「江戸十割ざる」(皮を剥いた丸抜き、白っぽいやや太打ち、産地は福井)
「がんこそば」(手石臼挽きの丸抜き、超太打ち粗挽き、産地は木曽福島)
「田舎ざる」(二八の細打ちそば、産地は福井)
この手挽きの「がんこそば」というのが
一日限定なんと5食なのだ!
5食って・・そりゃまた難易度高そう・・・
名古屋競馬場前だけに、競走馬のごとく駆けつけたつもりだったが
着いてみると店の前には行列が出来ていた。
(写真は退店時に撮ったもの)
アカン・・もうおしまいや
5食なんてすぐだもの、手挽きそばよさようなら・・
と灼熱に意識も体も溶けていきそうになる私。
「別にいいんですよ〜なかったらなかったで、別のものを食べましょう」
と言えるようになるためのイメトレをしながら、平静を装い順番を待つ。
住宅街に突如現わる田舎家風の建物。
道に面した手前の部分は店舗ではなく蕎麦打ち場になっているらしい。
いよいよ店内に入れた。
おそるおそる店員さんに聞いてみる。
「あの〜・・お蕎麦、できたら全種類食べたいんですけど
今日はもう『がんこそば』は終わっちゃっていますよね・・?」
「ありますよ」
( °o°)
( °o°)
☆(≧∇≦)☆ ♪\(≧∇≦)/♪ ☆(≧∇≦)☆ !!!!!
うわああああ
あるんですかぁー!!
じゃあそれを!
それと「木曽十割ざる」「江戸十割ざる」「田舎ざる」もください!
このあと食べ終わって店を出てから気づいたのだが、
私がこの時どれほど嬉しかったかを示す事実がある。
なんと私、限定5食の手挽き「がんこそば」があった嬉しさ余って
一枚目の蕎麦の写真を全く撮り忘れました・・・
こんなことは初めて、どんだけ舞い上がってたんだ!
というわけで写真のないまま一枚目、
「木曽十割ざる」
つるぬるっと輝く、褐色の肌。
箸先にたぐりあげると熟成の香りがむわぁ〜。
とは言えいやらしさは感じられない、香ばしく美味しい熟成ぶりだ。
食感は見た目の通り表面がつるぬるっとして
コシがしっかりしているので細打ちだが食べ応えがある。
そして何より味が濃い!
薬味がたくさんついてきて驚いたが、これだけ味わいが濃厚なら
多少の薬味と共に食べても負けないだろう。
なんだか写真がないまま説明するのも変な気分ですね〜すみません。
2枚目は早速、
本日の私の心をかき乱した限定5食の手挽き「がんこそば」の登場である。
これは美しすぎて写真3枚掲載!
「がんこそば」(手石臼挽き)
定食のようにいろいろ小鉢がついてきます。
ウワー・・・・
なんという、なんという超絶ふっくら美肌。
みずみずしさに浮かぶ、しろく透明なかげろうたち。
さながら真新しき萩焼の肌のような・・
これだけの粗挽きだけに、たぐり上げた箸先での香りは淡め。
と思いきや、口に含んで生まれくる
素朴な白い香りと味わいがすんばらしすぎるんですけれども!!
はあぁ・・・なんでしょう この夢のように美しい、真っ白な味わいは・・
これだけの太さだけに重量感はあるが
口中をすべらかにするする流れ、食べにくさなどは全くない。
万歳!!おいしすぎる!!
あああ 大して行いもよくない私なのに
こんなにおいしい限定5食の手挽きそばが食べられるなんて
今日は一体どうしたことだ。
3枚目
「田舎ざる」(二八の細打ちそば)
おろし付きでやってくる「田舎ざる」。
これが・・・期待をはるか上回る、びっくりの美味しさ!
ものすごーーーく香ばしいのだが、
その香ばしさがちょっと珍しい、たまらなくいい香りなのだ。
強いて言えばゴマに近いがそれだけではない、何とも言えぬ深い濃い香ばしさ。
端正な細打ちは噛みしめると程よくしっかりしたコシがあり、
時折刺激してくるジャリ感がニクイ。
味わいは濃いのに甘さは意外なほどスッキリ、というところもまたニクイ。
えええ〜ちょっとこれは予想外の展開ですよ。
これまたおいしすぎる!!
4枚目
「江戸十割ざる」(皮を剥いた丸抜き)
何やらひとひねりありそうな、いかにも味わい深そうな蕎麦が
のんびり〜と盛られてやってきた。
しかし手繰り上げるとアレレレ、
この前の「田舎ざる」があまりに強烈だったせいか
香りも味わいもほとんどないように感じられる。
ところが、やや重めの食感の蕎麦を食べすすむうちに
どうにも説明の難しい美味しさがジワジワそこに感じられてくるから不思議だ。
はっきりこう、と言える味わいでなく、
ジワーーーーーと通奏低音のごとく流れる素材の良さ、粉の良さとでも言うべきか。
それでなければ汁なしで全部食べてしまうことはないだろう。
蕎麦湯。
濃厚蕎麦湯が入った素朴な器は店主の作。
湯のみも店主作なのだがこれはまた全然ちがう趣。
形といい、石臼と散らばった蕎麦の絵付けといい
大変気に入ってしまった。
ここはお蕎麦の種類が多いばかりでなく、
ランチセットなどのメニューも実に豊富。
店前に行列ができるほどの人気もうなずける。
「お昼の天ざるセット1480円」
「二八ざる、気まぐれ天丼、茶碗蒸しの松ランチ980円」
「二八ざる、ミニ天丼、小鉢、茶碗蒸し、デザートの桜ランチ980円」
その他
「お得な御膳セット1380円」というのも3種類もある。
お昼ランチセットはそれぞれ限定10食や30食だったりするのだが
その限定には全く不安を感じないのだから不思議だ。
あっ 蕎麦原理主義ってこういうこと?(^^;;)
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ドキドキしながら読ませていただきました(笑
「がんこそば」待っててくれて良かったですね〜!
しかしまあ〜〜どの子もなんて美味しそうなお姿なんでしょう!
ちょっと行ってみよ〜〜って距離じゃないし・・・。
いつもながら危険な誘惑ありがとうございます(笑
一緒に手に汗握っていただいてありがとうございます!がんこそば、ほんとに嬉しかったです(>_<)「ちょっと行ってみよ〜〜って距離じゃない」お店はやっぱりハラハラしますね〜。
でも、このところ完売で残念というよりも・・・
お店が臨時休業で食べられもしないことが多くて・・・
某神宮前のお店に行ったときなんて、隣のおばあちゃんに「おそばやさん?」と話しかけられ「なんで休みなんだろうね??」っておしゃべりして帰ってきてしまいました(笑
いつリベンジしようかな。
この炎天下に臨時休業!!ご心中お察し申し上げます・・この点については深く深く、傷みを共有いたしております・・扉の前で何度ガックリ膝をつきたくなったことか(>_<)
でもおばあちゃんとおしゃべりというほのぼのエピソードがあっただけでも良かったですね♪