なまあたたかい夕風に吹かれて、
神楽坂。

一人ではなんとなく入りづらい雰囲気を感じるかもしれないが
その予感は当たっている。
昼間は「せいろ一枚!」も似合う蕎麦屋だが、
夜は蕎麦屋というよりコース主体の料理屋だ。

が、今夜はこのあと予定があるので蕎麦だけで失礼〜
「そばがき」

黒塗りの椀にふっくらと、洗練の「そばがき」。
滋味深き香りをほわぁ〜とまとい、口に入れた瞬間の印象はもっちり。
しかしそのうちに、もっちりの中に隙間なく仕込まれた空気感も感じられてくる。
エアリーでありながらふわっふわのほんわり〜というのではなく、
しっかりもっちり食べ応えもあるそばがきだ。
そしてやっぱり毎回これを頼んでしまいます。
「二色せいろ」

パッと見は、なんとなく素っ気ないような眺め。
しかしそこには確かに小慣れた洗練、風情があるのだ。
「おせいろ」

するり、密な肌。
みっちりと打ち込まれかなりしっかりした食感だが
平打ちなのでひらひらとして食べやすい。
香りはほとんどないが
淡く漂うような穀物の慎ましき味わいがうれしい。
「深山」

見るからに香りそうだとは思ったが・・
だだちゃ豆か天狗豆かという、濃厚な香ばしさにびっくり!
いやー、これだけの、この手の香りは久しぶりに出会った。
しかも熟成感は一切なく、意外に甘さもなく、
最高の香ばしさだけを美しく楽しませてくれる。
食感は少し粘土のようなみっちり感があり、かなりの歯応え。
お蕎麦ってすごいなあ、引き出せばこんな香りまで出てくるんだなあー
食後の蕎麦湯。
私にとっては蕎麦湯はお酒で、蕎麦汁がおつまみのようなものなので、
蕎麦湯をゴクリ、蕎麦汁チビリ。
それぞれ別々に楽しむのが私の大切な「蕎麦後」なのだが、
今日は都合でこういうことになった。

蕎麦湯で割った蕎麦汁。
いわゆる普通の眺めなのだろうが、私には大変珍しい(^^;;)
いやー、こういう飲み方もおいしいなあー
(だからそうするものなんだってば)
最後は葱まで投入して、逆に新鮮な気分になってしまいました。
2010年10月の「志ま平」
よい時間を過ごされたのでしょうね!