生産量の少ない希少な在来種である「こそば」だが
東京でも食べられるお蕎麦屋さんはいくつかある。
たとえばここ。
あまりにも名高い八王子の名店「車家」。

樹木の向こうに百獣の王のごとく潜むは、
築140年余の大きな古民家。
福島県只見町から丸ごと移築してされてきたものである。
圧巻の佇まい。

入ってすぐの一番広い板の間は昔は座卓席だったが
どっしりとしたテーブルがいくつも置かれるようになった。
最初見た時はこの古民家の吹き抜けの間にテーブルはそぐわないように見えたし、
テーブル、椅子共に大きい上に高さもあるので見慣れた店内に圧迫感を感じた。
しかし床座りが苦手なお客さんへの考慮と思うと
急に非常に和やかな眺めに見えてきたから不思議である。
そして実際座ってみてその大きなテーブル席に
ゆったりとした安らぎを覚えたものだ。
今回座ったのは奥の座敷。

ここは蕎麦もいいが料理が大変美味しい。
その時々で変わる「季節のお料理」は毎回の楽しみだ。
「秋野菜と舞茸、さんまのつみれ汁」


秋という季節がそのまま美しく閉じ込めれた、
旬のおいしいもの尽くし。
味わい深くも澄んだ出汁がしみじみと、心から美味しい。
そして「車家」はお蕎麦の種類が多いのが毎回嬉しい悲鳴である。
「おせいろ」

今回はちょっと変化をつけて定番の「おせいろ」を
きのこ&おろしで食べる「天然きのこおろし」にしてみた。

淡い緑が清々しい、するんとした美肌。
ひんやりした冷気、香りは淡い・・?と思いきや
それがどんどんくっきりしてくる。
干し草のような、墨のような、どこか枯れた印象でありながら、
実にさわやかなかぐわしさである。
味わいは、この上品なルックスに似合わぬほど濃厚で
豊かな弾力も素晴らしい。
「二八そば」


口に含むとなんともゆたかな、たっぷりしたイメージの舌触り。
コシ、弾力の強さはせいろと同様だがこちらは
どこかダイナミックな、それでいて洗練された食感だ。
味や香りは淡いが、これをさっきの「きのこおろし」の汁につけると、
うわーい おいしーい!
そしてこちらが数量限定で出されていた
「妙高々原こそば」

うわ なんでしょうあれは
朱塗りの器の演出も素晴らしいが
あなた!その肌!
どうやらうつくしいでしょう!!
もっと近くであなたを見ねば

この色・・・この淡緑。
触れてはならない、神聖さのようなものすら感じるほどの
極めて清澄な淡緑である。
こんなフレッシュな、清らかな美しい色をした蕎麦、
見ただけでたまらなくうれしいではないか。
かすかな透明感をうかべた肌は、
極上のさらしなのような
天女のような香りを濃厚にまとっている。
口に含むとちゅるんと大変に密度の濃い肌で
すごいつながり、のびるような弾力。
あああ 私の体までひんやりと森の中で澄んでいくような思いだ。
なんてきれいな味わい。おいしい・・・
こそばさん、妙高からここまで何に乗ってきたか知らないけど
遠いところをありがとう。
おいしくしてくれた車家さんもありがとう。
車家さん、入口辺りはちょっと向田邦子の世界だなと、
いつも思うのですよ。
電灯のせいかなあ

人口密度が北欧並みに(?)希薄なためか、感染(うつ)される危険性がないからでしょう。
あれはもう4年ほど前、合羽橋に篩などを求めに赴き風邪をもらい、ご近所さんにも感染して迷惑かけたっけ…それっきり。
とまれ、ご快癒おめでとうございます。
>「妙高々原こそば」
ほんと、さらしなかと思った。(汗;
「こそば」即ち蕎麦の粒が小さいのでありましょう。
昨年「白馬乗鞍」なる優等賞受賞種を入手しました。真っ黒で平べったく、細長かった。
これは相当数集まらないと食える量にならんな〜??(汗;;)と思った。
実際に、蒔いてみた十数粒から倍くらいしか実が取れませんでした…。
そんな感じ。
「向こう何年経ったら食えるようになるのか?」
当方「こそば」については、それが目下の課題かつ遠大な将来計画〜ぅであります。
私は打つ人でなく食べる人なので小さいから「こそば」なんてかわいいなとのんきに思っています。「こいぬ」「こねこ」「こそば」まーかわいい(^o^)