2012年04月11日
新潟・妙高市新井「こそば亭」
リクエストをいただきましたので
「こそば」のご紹介です(^o^)
ご存知、「こそば」とは新潟県と長野県の県境である
妙高地区山間部の在来種。
深い谷間の奥でながく栽培されてきたために、
他の種との交配がされないまま守られてきた貴重な種だ。
その粒の小ささととびきりの風味の豊かさで
近年たいへん注目されているのだが
生産量はごく少ないのでどこでも食べられるわけではないという
幻の在来種である。
だいたいの農作物はそうかもしれないが
蕎麦というのは小粒ほど美味しいとされるので
「こそば」はその小ささだけをとっても憧れられるアイドル種。
しかも実際に美味しいのだから
これはもう人気が出て当たり前なのだ。
その「こそば」の名を冠した蕎麦屋が妙高にある。
街から少し外れた、ひろびろとした眺め。
国道292号線からすぐだが
店の前はごく静かで、のどかである。
こざっぱりとシンプルな店内。
外観もそうだが、慎ましくもビシッと調えられた素朴な落ち着きが、
実に清々しい。
「こそば亭」のお蕎麦は
基本の「ざる蕎麦」と
土日限定5食の「粗碾き田舎そば」。
「粗碾き田舎そば」は「玄そばを殻ごと碾いた黒い蕎麦です」と説明にある。
もちろんどちらも「こそば」種使用である。
まずは
「ざる蕎麦」
粘り強そうな輝きをまとった肌。
素朴なホシが豊かに散りばめられ、
野性的なイメージの平打ち蕎麦である。
ひとすくい、たぐりあげてときめく。
この、何とも言えないよい香りは!
食感はごくやさしくやわらかく、表面には
見た目の通りの、かすかなぬめりのようなものを感じる。
これは小粒種の特徴らしい。
甘く香ばしい濃厚なかぐわしさは
ともすれば熟成の香りにも似ているのだが
そうではなく、フレッシュな野生というか・・
濃縮された静かなたくましさというか・・・
とにかく「何とも言えずよい香り」にうっとり!
これが在来種というものなのだろう。
「粗碾き田舎そば」(土日限定5食)
濃褐色の粗碾き肌の、無数のきらめき。
やわらかそうな輪郭線。
これまた、さすがは幻の種である。
黒く香ばしい香りは大変に個性的。
恍惚の、たまらぬかぐわしさ、香ばしさで、
私などは目をしっかり開いているのが全く困難だったが
どんな香りかと無理やり例えれば
「森林浴しに行った滝の入口付近」と言うか・・
「麦」のような・・「固形の墨」のような・・・
とにかく不思議なリラクゼーション・アロマに全身が包まれる。
やわらかい肌は食べるとにちゃっとするのかな、と思ったのだが
どっこい全然しない。
しっとりとやわらかな肌は噛みしめると
むしろハリッと新鮮なコシすら感じられる。
わわわわ、何コレー!
「こそば」種を食べるのは初めてではないが
やはり「こそばの地」で食べるよろこびは
こんなにも大きい。
地産地消という言葉が浸透して久しいが
やはりこんな小さな、貴重な種こそ、
あまり動かさないであげたいと思ってしまう。
自分が会いに行った方がいいな、と思ってしまう。
会いにゆくまでも、会った思い出も
こんなに楽しいのだから。
この記事へのトラックバック
フッ フッ フッ・・
ヅェ〜〜タイ 絶〜〜〜対 ここもと確信しておりました。
やっぱりね・・・\(^O^)/
本当に「こそば亭」のお蕎麦は
風味も香りも濃いと思います。
土地の名物蕎麦でここまでディープな蕎麦は初めてでした。
>>「麦」のような・・「固形の墨」のような・・・
まさに!!
高遠さんの表現力には何時も感心させられます。
ありら! 「?」さんは而酔而老さまだったのですね!書き出しがそれっぽいような、その先が違うような気がしたんですよね〜(いつもよりお酒が少なかったのかな(^^;;))
aizさま
自転車で峠越え!!持久力ゼロの私は聞いただけで気が遠くなります・・すごい!
>高遠さんの・・・
すごくうれしいですー。頭の方も持久力ゼロで瞬発力のみなのでつねに目の前のこと「のみ」で頭がいっぱい・・なのでお蕎麦食べてても何をしてても感情がいっぱい出てきちゃうのです。そのかわり忘れるのも早いです(^^;;)
ありがとうございますO(≧▽≦)O ワーイ♪
実はここに行かれたのではないかと思っていました。
自分も近々、こそば亭に行ってこようと思っていたのですが、
高遠さんの記事を読んで、
ますます行きたい気持ちに駆られています。
雑誌情報ですが、
こそば亭はおやまぼくちつなぎでもあるそうです。
車家の記事もありがとうございます∩(´∀`)∩
行くまで楽しみにする時間も楽しいですね!
つなぎについては私もそう思って行ったのですが、お店のメニューにいろいろこそばのことなど説明があり、つなぎについては書いていなかったのでなんとなく書きませんでした〜