2012年04月05日
新潟・八海山大崎口「八海生そば 宮野屋」
八海山尊神社のすぐ裏。
山の中の蕎麦屋の前に立って
まだ何も知らないのに、私は思わず声に出した。
「私ここ好き!」
紺地にくっきり白抜きの暖簾。
入り口付近はトタンと木材でトントコ手作りしました、
といった風で私は大いに気に入ってしまう。
八海の森のお蕎麦屋さん。
なんて可愛らしい外観なのだ!
店内に入ってなお和む。
ストーブ。小学校のような下駄箱。
コタツ席。いろり席。春季大祭の張り紙。
すべてが家庭的で、
それでいてスッキリカラリとした清潔感にあふれている。
外観でも同じことを感じたのだが、
これはなかなかないことだ。
店も素晴らしいのだが、
店主の笑顔はもっと素晴らしい。
なんというか・・例えるなら朝日、かなぁ
出会っただけで、こちらまで元気になれるような。
自分の奥に眠っていたエネルギーが底から掘り起こされたような気がする。
しかもその笑顔を、ピッカーーーーーッと、
ずーっと絶やさないでいてくれるのだ。
それがまた実に自然。仏頂面の私はただただ見習いたい。
朝日の店主が持ってきてくれたお惣菜。
「はいどうぞ〜 食べてくださいね〜」
揚げ出し大根とお漬物。
こちらもつられてニコニコニコ。
ここに来たらなんと言っても山菜を食べたいところなのだが
本日は「人生初」のメインイベントを楽しみにしておりまして・・
私、「あらい」も「こく」も食べたことがないんです。
しかも「宮野屋」のは絶品らしいんです。
「鯉のあらい」
独特の繊維感、ぷりっとした食感。
それが新鮮でジューシー。
やっぱりここのが特に美味しいのかなあ
「鯉のあらい」って美味しい!
「鯉こく」
手前は「鯉のあらい」についてくる小さな「鯉こく」。
奥が単品注文の「鯉こく」。
写真だと奥にあるので差がわかりにくいが
単品の「鯉こく」はどーんと大きなお椀だ。
まずは小さなお椀を開けてみる。
素晴らしい・・
脂がたっぷり乗った肉厚の鯉が美味しすぎる。
お寿司屋さんで食べるあら汁が大好物の私には
モロ好みど真ん中。
「鯉こくはくさみがあるから好みが分かれる」
と聞いていたのだがそんなものは全く感じられない。
聞けば「宮野屋」では裏の生簀に鯉を入れ
八海山麓の湧き水で餌抜きをきっちりしているのだそう。
この澄んだ脂とうまみには訳があるのだ。
ひゃー まいった。
暴走した私は大きい方のお椀も覗きます。
ドカーン
ここで東京から来た魚を知らないアホ姉ちゃんは叫びました。
「鯉のぼりみたい!!」
だってウロコが鯉のぼりに描いてあるのとおんなじなんだもん・・
この鯉のぼりが巨大です。
ひっくり返すのはどっこいしょです。
こんなにおいしい「鯉こく」が
こんなにたっぷり食べられるなんて贅沢すぎる。
しかもこれが400円って・・信じられない。
「手打ちそば」
濃厚にただよう、あまい香り。
味わいではフノリとオヤマボクチはあまり感じられないが
その肌はかすかにぬるりとしている。
つるり重量感のある蕎麦だが、
軽やかなコシのせいでどこかふわりとした印象も。
ぬるりつるりふわり。
粉の旨みが濃厚でおいしいので
蕎麦だけであっという間に1枚食べきってしまいそうになるが
この薬味を見たらブレーキもかかるというもの。
ネギ、みょうが、紫蘇の実、山葵。
そして奥にあるのは、クルミ!
このクルミが、煮干出汁の汁によく合って、
何とも言えない美味しさになる。
クルミが入るので私にとっては和菓子に近い美味しさだ。
大阪・布施の「手打そば 庵」で感じた感覚を思い出す。
2年前亡くなった先代の時代には
小さな卵が薬味とともについてきていたらしいので
さらに「手打そば 庵」を思い出す。
その卵が時代の流れで手に入らなくなったと
残念そうに、朝日の笑顔で話してくれる店主。
帰り際、外から帰ってきた奥さんもこれまた感じがいい。
もう「宮野屋」さん、
1回で大ファンになっちゃったもんね。
また帰って来ますよー!
この山へ。
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そうですね、これきっともうじきいったん取っ払うと思うよ(笑
冬場にドカ雪が降るからさ、昔の家では冬支度というものをしたんだ。
おらの方でもそうだった。玄関囲って、開き障子の窓という窓に板を嵌めこんで内側が真っ暗になってしまった。
今時なんで、こうした透明な波板があって明るい朝日となりました!!(あ〜良かった!
いい店出来てんな〜。シミジミ。
なんだか全てがとてもきれいでした〜
怪しげでスミマセン...(ペコリ
あの辺り、3階建てのお家が目立ちませんでしたか?(笑
普通なんですよね、ただの生活の一部なんですよね地元の人にとっては。
「はしば食堂」「富倉食堂」「わたなべ食堂」「ひはら」・・・地元民密着の色々なお店を食べてきた、
評判の名店を、そのお店を、流れる空気を、食材を、店主従業員を・・
額に皺寄せて「〜〜〜ッ これは美味い!」「〜〜〜ッ 何かな・・」「〜〜〜ッ ダメだ!!」
もう飽きたのかな、そんな事に。
そこそこでいい、笑顔で楽しく、気持ち良く・・その美味しさが、舌に、咽に感じる美味しさ以上に美味しく感じるような成ってきた
今日この頃
でも、特上の風情の、香りの、味の、余韻の蕎麦に当たると、矛盾するけど、腹立つ店でも幸せな気分になる事も事実かも・・・
普通過ぎるお店で普通以上に美味しいお店見つけが最近の楽しみかも。
そうなんです、そうなんです!
「宮野屋」は絶対、而酔而老さまのツボ直撃ですよね!
うひゅひゅ・・而酔而老さまらしい・・
3階建て、わからなかったです〜