2012年02月19日
湯島「古拙」
夜は大きくて
闇は大きくて。
こんなに大きな店なのにこんなに目立たない。
ぐっと奥まった店はちょっと高級店のような印象もあるし、
初めての人や一人では入りづらいかもしれない。
しかしメニューをよく見れば
夜のコースが1980円からという親しみやすさである。
店内は、蕎麦屋としては驚くほど広い。
この写真はごく一部で個室や地下には宴会場もある。
よるそばコースは
梅「蕎麦みそ・出汁巻き玉子・おまかせ三品・〆にそば」
竹「蕎麦みそ・出汁巻き玉子・おまかせ四品・〆にそば」
松「蕎麦みそ・出汁巻き玉子・おまかせ五品・〆にそば」
「おまかせ◯品」のあたりに期待と妄想が膨らみ相当惹かれたが
アラカルトメニューのおいしそうさにつられてやっぱりそちらを。
ちなみに「〆にそば」とはちょっと少なめの蕎麦のことである。
(でも結構量あります!)
今日はまた寒いので、また熱燗。
素敵な徳利でやってきた、
島根「誉池月」
最近熱燗がおいしい自分に酔っているのだが
ちょ、ちょっとこの誉池月さんはまだ私には早かったみたいっす・・
ガツンとした飲みごたえ〜
お通し「子持ち昆布」
これは美味しい子持ち昆布!
お通しとしてこんなにいいものが出てくると
夜がうれしくはじまるというものだ。
これまた「脚付、縁飾り、青描絵」と
私の好きな要素を結集させたような器。
いいなあ〜
「そばがき」
つるり、微粉のなめらかな肌。
お湯に浸っていない微粉肌はピカピカとして
表面が乾いているように見えるかも、しれない。
ところがどっこい!
これは悶絶おいしいそばがきである!!
たまらぬフレッシュなかぐわしさ。
ぽてっとくちびるに触れてくる、ゆたかな感触。
なめらかな微粉の舌触り、エアリーなふっくら感。
蕎麦の濃厚な旨みと香りが口中に溢れる中、
そのエアリーふっくらがじゅわぁーと溶けていくのが見える。
もう、もう、すばらしすぎる・・・
「干物盛り合わせ」
「うるめいわし」
「いか一夜干しいしる焼き」
「えいひれ」
「たたみいわし」
一番好きなのは、味わいが素朴な「たたみいわし」♪
誉池月を落第した私はここでやはり
なにか美しきものを舐めてみたい。
というわけで
岩手「浦霞 純米」
やっぱりこれはおいしいー
私、先日気づいたのだが
まだまだ塩だの蕎麦だの豆腐だので
お酒を楽しめるようなレベルではないのである。
ところが「しっかり味の海のもの」を食べると
いきなりスイッチが入るんですねえー、不思議!
干物にはベストマッチ♪
「そばの芽のサラダ巻き」
何気なくオーダーしたのだが
予想を超える美味しそうなものが現れた。
これ、メニュー名が地味すぎますよ、謙虚すぎますよ〜
「生ハムとそばの芽のそばクレープ巻き」
って名前にしましょうよ!
これがびっくりするほどおいしいのだ。
ふっくらしたクレープの中にジューシーな生ハムとフレッシュな野菜類。
生ハムは日本のものだと思うが
こういう料理にはスペイン産やイタリア産のものより
ふっくらジューシーな日本のものの方が合うんだなあ。
オリーブオイルがたっぷりかかっているのだが
それがとてもフルーティーな香りのよいものなのにもマイる。
そしてもっとマイるのは絶妙な塩加減だ。
生ハムの塩分プラス、少しだけふりかけられた粒ソルト。
なんだかもう蕎麦を忘れてこれだけを10個位食べたい勢いで
大いに気に入ってしまった。
私はイタリアンもかなり好きなのだが
お気に入りベスト3のイタリアン名店でこれが出てきたとしても
意外な美味しさを絶賛の上毎回リピートするだろう。
200円安い「〆にそば」というのもあったが
当然私は普通盛りの方の、
「もりそば」
佇まいが美しかったのでつい真上から撮ったのだが
これではこの店の個性が伝わらない。
こんなうれしい盛りっぷりなのだ。
ほら、ね!
ドーンとうずたかい小山盛り。
よじ登っててっぺんで叫びたいような嬉しい眺めだ。
端整、うつくしき極細切り。
そのフレッシュなかぐわしさはなんとも軽やかでふんだんで、
一瞬で脳まで届きどんどん染めていくかのようだ。
はぁぁ・・うっとり。
微粉の肌は極上のなめらかさでつるりとした舌触りだが
つるつるピカピカした感じではなく
細切りの束がシュクシュクとほどけていくような食感がここの蕎麦らしい。
繊細な肌だけに足は早いがその分香りと味わいは無限に膨らみ
もう私は完全ノックアウト状態である。
あああ なんて素晴らしいのでしょう。
蕎麦湯はスーパー濃厚ポタージュ。
ズッシリ相当なボリュームだが、おいしくて止まらない〜
(黒いテーブルに黒い器なので真っ白に写ってしまったが
もうちょっとナチュラルな色です♪)
次回もまたコースに期待と妄想とふくらませつつ
またアラカルトにしちゃいそうだなあ〜
だってあのサラダ巻き・・そばがき・・
普通盛りの蕎麦・・・♪(貪欲)
2011年10月の 湯島「古拙」
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一つには、微粉であること。
二つには、くわ〜っとぉ、掻き上げて、...
どうしたらああいう風に円くなるのか?
分からんです。(「よしの」本舗も同様の蕎麦掻きなんですけど...orz
「よるそば」の日除け暖簾、昼は白地の「ひるめし」バージョンに変わるんですね。
まあ昼に「よるそば」じゃ変なので当然と言えば当然でしょうけど、以前の記事で拝見した
「よるそば」暖簾が印象的だったので、一瞬戸惑いました(笑)。
あんなに究極シンプルな材料だけで
人を「悶絶」させるなんて魔法のようですよね!
腕っ節の太い蕎麦屋さんでも
相当力強くぐわぁーっ!と掻いているようなので
やっぱり私は「食べる人」でいまーす・・(^_^;)
Z33さま
私は白地の「ひるめし」にはまだ会ったことないのです。
結構大きいので、取り替えるの大変でしょうね〜