2012年02月11日
神田「眠庵」八種もりの会
尾道のあと松山を周り、
頭の中を綺麗な景色でいっぱいにして帰ってきた東京。
美しい旅先で思い出すと強大な化物のように思えた都会だが、
戻ってみればやはりほっとする。
私はこの街が好きなのだと気付かされる。
今回はあろうことか3日間蕎麦抜きの旅だった。
今まで国内旅行でお蕎麦食べなかったことは一度もない私には
それこそ危機的スケジュールだったのだが
帰京翌日にこの予定があったからこそ乗り切れた。
眠庵「八種もりの会」。
お店の常連さんを中心とした希望者が
手に手に好きなお酒やおつまみを持ち寄っては集う楽しい宴。
今回は昼の部だ。
血中蕎麦粉度が下がりきった体ゆえ
食べた瞬間に口の中で蕎麦が溶けちゃうんじゃないかと思うくらい
全身の細胞がうれしくてジタバタしている感じである。
あー早く1枚目来ないかな!!
1枚目「福島・会津」11年新蕎麦、柳津在来。
おー 何やら
スパーンと直線的な潔いラインを描いているぞ・・
楽しみ!!
あああああ
脳がしびれる。
3日間の蕎麦断食明けゆえ
お蕎麦ならもう何だってありがたいくらいなのに
贅沢すぎる幕開けだ。
甘くふくよかな香りは極上白米のようなイメージもあるのだが
上品というよりは野性味を感じるところが面白い。
これが在来種というものの魅力なのかもしれない。
野性味と言ってもガツンと下を支える強さのない
軽やかな、品の良い野性。
「眠庵」の蕎麦の中でははっきりと際立った輪郭線で
噛み締めたコシも比較的しっかりとしている。
あああ お蕎麦ってなんでこんなに美味しいんでしょうねえ!!
2枚目「福島・会津」11年新蕎麦、品種は「会津のかおり」。
香ばしいかおりがギュー!
1枚目が私にはちょっと珍しい印象だっただけに
この濃厚&正統派な香ばしさは「これこれ!」という感じ。
表面にさほど水分が多いようにも見えないのに
ものすごいみずみずしさで、「ちゅるり」・・でもない、「つるり」でもない
独特のみずみずしいすべらかさが魅力的だ。
1枚目と同じ会津だが、こちらは「会津のかおり」。
こちらの方が少し標高の高い畑だそうで
そんな具体的なことを聞くと私の心はウキウキと
会津ののどかな景色の中へ飛んで行ってしまう。
3枚目「茨城」11年新蕎麦、品種は「常陸秋そば」。
驚きの黒さ。
それもそのはず、
玄蕎麦を挽いたものが7割、丸抜きを挽いたものが3割という蕎麦だそう。
たぐり上げて目に星が飛びそうになる。
なんちゅう渋いかぐわしさ・・・
香ばしいと言ってもよいが、華やかさや若々しさはまったくない、
渋く枯れた印象の、滋味を感じるかぐわしさだ。
こちらもみずみずしく、ややちゅるりとすべらかな舌触りなのだが
噛み締めた時の「限りなくやさしいジャリ感」がたまらない。
4枚目「富山」11年新蕎麦、山田在来種。
ガツーンと香ばしい!
ふっくらした空気感を感じる食感だけに
噛み締めた時の香りの広がり方がすばらしく
フワンフワンの「香りのカタマリ」という印象すらある。
濃厚な味わいと甘み。
よーく見つめるとごく細かいジャリ感も感じる気がするが
食感が軽いだけにどんどん口に入ってしまい
アーアもうなくなっちゃった・・
5枚目「北海道・音威子府」10年、品種は「キタワセ」。
ふわ〜、ふっくら〜と甘い香り。
表面にごくごく細かいざらつきがあり
あまりに細かいので粉に近いような舌触りに思えるのが面白い。
そのこまかいざらつき肌の上にはたっぷりとした水分を感じ
その水分の壁のせいか口に入れた瞬間はさっぱりした風味に感じる。
ところが、比較的しっかりした輪郭線、コシを噛みしめると
そこから濃厚な甘みと味わいがあふれ口中を染める。
なんて甘い。なんて味わい深い・・
6枚目「長野・松本」11年新蕎麦、品種は「信濃一号」。
かすかに赤みを感じる肌。
甘く、軽く香ばしいかぐわしさによろこびつつ口に含むと
ウワー なんと深い穀物の甘み。
テーブルのあちこちからも「甘ぁい!」の声が聞こえる。
これまたみずみずしくちゅるりするりとすべらかな食感なので
何だか今日はあまり「おいしいものこそゆっくり味わおうブレーキ」がかけられずに
あっという間に食べ終わってしまう。
7枚目「福井・越前大野」10年、大野在来種。
いつもトリを飾る福井が今日は7枚目に出てきた。
「いつもの凄い福井ではなく、これはフツウの福井なので・・」
と説明受けてから食べたのだが・・
どこがフツウなんじゃー!!
ここまでの蕎麦もかぐわしく、味わい深く、最高に美味しかったが
「レベルが全く違います!」。
香ばしい、甘い、深い、ふっくら、豊か。
全方向から最高濃度で攻め入ってくるかのようなかぐわしさ。
口が染まる。私が染まる脳が染まる何も考えられなくなってくる、
もうけいようしとかよくわかりません
ハイここで完全に壊れました。
8枚目「静岡」11年新蕎麦、在来種。
7枚目にあんな福井を出されてしまったからには
8枚目トリへの期待は否が応にも高まる。
しかも静岡って・・?と思ったら
なにやら秘密の集落から手に入れた珍しい在来種らしい。
たぐり上げて目を見張る。
これまた全方向足りないものは何も無い、濃厚かぐわしさ。
確かに、凄い!
甘く深い香ばしさに早くも酔いつつ口に含むと
ちゅるふるふわぁー
最高のかろやかさ、やわらかさ。
といってもふにゃふにゃした頼りなさはゼロで
ふるりフワとした、みずみずしいコシがすばらしい。
「この蕎麦は味はすっきりですが最初の香りがすごいです」
との説明があったが味も甘みもすっきりどころか
それはそれは濃厚でございますよ。
あーん おいしいよう おいしすぎるようー
8種の蕎麦を楽しみ尽くし、幸せ満ち足りたような
終わってしまって寂しいような。
そして今日は珍しく、最後までお酒をひと舐めもせずにきてしまったことに
今さら気づき我ながら可笑しくなってしまった。
どんだけ血中蕎麦粉度の危機だったんじゃい・・
店の玄関から目を爛々とさせて入ってきて
そのまま蕎麦山に頭を突っ込んでしまいそうな勢いだったかもしれない。
せっかくですからあとからお酒もいただきましたよ〜
真ん中の「奥」っていうのが美味しかったな(にごり好き)!
お燗にしたらビリビリが更にすごくて、びっくりしたぁ
(本日集まったお酒の一部)
(一番の丸抜き美人ちゃんと思われた福井)
2011年12月の「八種もりの会」
神田「眠庵」
神田「眠庵」(豆のスープ)
2011年11月の「八種もりの会」
2011年9月の「八種もりの会」
2011年7月の「六種もりの会」
2011年5月の「眠庵」手挽き蕎麦
2011年3月の「眠庵」
2011年2月の「八種もりの会」
2010年11月の「八種もりの会」
2010年9月の「八種もりの会」
2010年7月の「八種もりの会」
2010年4月の「八種もりの会」
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羨ましい時間です。
今日の昼食に『かけそば』で食べました。
すんごい強風の中で。
尾道での『NO蕎麦3DAYS」は、蕎麦屋に、
行かなかったのですか?
行けなかったのですか?
興味は尽きません。
尾道はいつか来た道……。
あ〜、そうだ『転校生』を
観たくなったのでこのへんで。
眠庵の蕎麦会は、眠庵に何度か来ている希望者の方々がいらしてます。会員制とかではないので、いつかご一緒できたらいいですね!
TCさま
NO蕎麦3daysは、もちろん「行かれなかった」のです!
でもそのおかげでおいしい瀬戸内海のお魚初体験できたのでヨシとします〜