
何度行っても同じ席に座れてしまう店というのがある。
「手打そば 千花庵」 も然り。
自宅を改造したらしい店舗の左手には温室のような部分があり
その窓際の席は自然の光に包まれている。
この席を特等席のように勝手に思っているのだが、
私は何故か、いつも運良くここに座れてしまう。
他にお客さんが数組いる時もだ。

付近は頼朝公の墓に近い閑静な住宅街。
この温室席での時間はいつも安らぎに満ちている。
「金鶴」

いきなり「彩」と私の名前が書いてあるとびっくりするが
たまに見かける箸袋。
「板わさ」

たっぷりの厚みも、羽根のような胡瓜の飾りもうれしい。
こちらが一日限定20食の
「田舎せいろそば」

薬味にすだちがついてくるの、個性的でしょう?

褐色の肌が、自然光に照らされ
その一瞬の美を鮮やかに私に投げかけてくる。
ふんだんに散りばめられたホシ、
素朴に流れる美しい輪郭線がまぶしい。
箸先でふっと香る、干し草を思わせる香り。
細打ちのつるつるした肌が口内をめぐるのが心地よく、
噛みしめるとちゅるんっと弾むような鮮やかなコシがある。
ああ しあわせだなぁー 今日もきてよかったなぁー
「せいろそば」

こちらもすだちが添えられてやってくる。

白っぽく品の良い姿に違わず
ほんわりほんのり甘い、白い香り。
噛みしめると上等の和菓子のような味わいも感じられる。
やわらかい舌触りながら噛みしめるとコシもしっかりありおいしい食感。
ほんわりほんのり、しろい夢。
帰りはどの道から帰るか、それも楽しく迷うところ。
今日はこんなポストサンに出会った。


「ポストサン」って古い唱歌(戦前)、知っている人少ないだろうな〜