2011年12月23日

神田「眠庵」(八種もりの会)


天皇誕生日はクリスマス・イブのイブ。
そして一年の最後の、眠庵「八種もりの蕎麦会」の日である。

年に数回、お店のお客さんを対象に定期的に行われている蕎麦会だが
この日は「クリスマス・イブを台無しにする日」なんて言いながら
それぞれ持ち寄った自慢の銘酒をチビチビガンガン飲み比べ。

これまた持ち寄りの美味しいおつまみも本当に楽しいのだが
その後には8種の蕎麦が待っているのだから
お腹のスペース確保のためのブレーキが参加者12名全員の課題である。

あまりに美味しくてついブレーキの緩む人あり、
ブレーキも瞳孔もギンギンの私のような者ありの中
待ってました、お蕎麦!
今回は新蕎麦多めのメニューで5枚目までは新蕎麦だそうである。

いつも通り、1枚目はお店の方で盛ってくれるので美しい盛りだが
2枚目以降は私が小鉢からひっくり返した「セルフ盛り」なので
ラインの乱れはどうぞお許しを〜



1枚目「栃木」11年新蕎麦、品種は「常陸秋そば」。
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むっはぁー
いつもながら1枚目の感激は大きい。
私の大好きな栃木のスモーキーな香り!
それが非常に濃厚でありながら、
この蕎麦はどこかおだやかで落ち着いた感じがある。
やや重量感のあるみずみずしい質感、それを噛み締めた時の
意外なほどのやさしいコシがたまらない。ああおいしい・・・




2枚目「新潟」11年新蕎麦、片山虎之助さん栽培の妙高こそば。
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こちらは大変に珍しく粉の状態で眠庵にやってきた蕎麦。
自家製粉の反対はなんていうの?他家製粉?(^_^;)
そのせいかここでは珍しい肌の質感で、くっきりと黒いホシも飛んでいる。
最初たぐりあげたときは香りが内にこもっているような
おとなしい感じだったのが、だんだんと野性味のある、
「蕎麦の原種」というようなイメージの香りがふくらんできた。
ぷるんとした肌はこれまたやさしいやさしいコシで
噛みしめるとジュワーとしたみずみずしさが美味しい。
表面の水切れが悪いのではなく、蕎麦そのものがみずみずしいのだ。



3枚目「広島」11年新蕎麦、品種は「信濃一号」。
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香りがおいしいー!
ふっくりとまろやかな甘い香り。
ほにょーとやさしい繊細な歯ざわり。
その中から極上の白米にも似た豊かな味わいが溢れ口中を染める。
そしてこれまたジューシーにみずみずしい。
何と表現したらいいのか・・
みずみずしくしなやかな、強さすら感じるつながりながら
噛みしめるとおどろくほどやさしく繊細なのだ。




4枚目「富山」11年新蕎麦、山田の在来種。
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軽く香ばしい香りがふんだんに、ふわぁーっ。
重さがないだけに余計そう感じるのかもしれない。
味わいにも濃厚さはなくすっきりとしているのだが
そこに在来種特有のえぐみがある(らしい)。
でも私はえぐみも好きらしくあまり感じず、見つめれば確かにそこにあるが
すっきりした味わいの下を支える旨味のひとつに思えてしまう。
でも今度から在来種を食べるときには見つめてみよう!




5枚目「北海道」11年新蕎麦、音威子府のキタワセ。
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まずはきれいな青緑の肌にうっとり!
この蕎麦を育てた農家がとてもよい農家とのことで
こんなにきれいな色の蕎麦が出来るのだそうだ。
へええー、とひとたぐり。



「おいっしぃぃぃぃーーーーー」


思わず叫んでしまった。(まだ食べていません)
ウワーン この香り すてきだよう。
私のメモにはムッハァ〜〜〜〜の後にハートマークが書いている。
ここで壊れたらしい。
この後はメモそのままでいいですか?
「口にふくむとザラザラジューシー さっぱり そこからジュワッとうまみがでる!
 味がこい!!おいしすぎる!!味マックスまでのうこうに」
動物が書いた文章でしょうか。




6枚目「鹿児島」10年、鹿屋在来種。
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ここから初めて新蕎麦でない蕎麦。
こんなにも濃厚な香りをまといつつどこか穏やかな印象は
1枚目の栃木にも感じたが、こちらはさらにふっくらと豊かな味わい。
やさしいコシの中から生まれ続けるまろやかな甘みといい、
これは何ともバランスの良い美しい蕎麦だ。




7枚目「徳島」06年、5年熟成の蕎麦。
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出ました、「眠庵」のヴィンテージ蕎麦!
むわわわわ〜〜〜と通奏低音の如く下に響き続ける濃厚な香りに
まずノックアウトされる。
この蕎麦もまたまたみずみずしいのだが
ビスクドールのような儚い粗さを持った繊細な肌が
はらはらと口中でほどける感じがたまらない。
つながりはしっかりしているのに、何ともはらはら儚いのだ。
味わいは意外にもすっきりとして
ただただ「通奏低香」に染まる恍惚の時。




8枚目「福井」05年、6年熟成の蕎麦。
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なんと美しい青さ!
これが6 年熟成なんて信じられない。
ガツン、ムワァー!と濃厚な香り。
この蕎麦は6年間もこの香りをまとい、ふくらませ続けてきたのだ。
穀物のたくましさをあらためて思い知らされる。
粗挽きの肌感、優しいコシはいかにも「眠庵」らしい。
味わいも香りと同じくらいの強烈さを予想したが
これがまた意外とさっぱりしたところに着地している。
香りも実に繊細で、最初あんなに濃厚に感じたのに
どんどん薄まっていくような・・

でもね、実はこのあたりからワタクシ持病の胃痛が
華麗に始まってきておりまして・・そのせいかな?
ううう 痛くて蕎麦湯が飲めないなんてくやしいー


でもまだこの写真を紹介するぞっ

今日の8枚の中でも何枚か「青くてきれい!」とご紹介しましたが
それは玄蕎麦からして青いのですよーという写真です。

参考までに6,7,8枚目の玄蕎麦。

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8枚目の「福井」の青さ、綺麗でしょう?




今日は最後胃痛でお見苦しいところをお見せし
同席の皆様ごめんなさいでした。
今はもう泣いたカラス、ふんぞり返って(胃が楽)ブログ書いていまーす。

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皆様楽しいイブ&クリスマスを☆



神田「眠庵」
神田「眠庵」(豆のスープ)
2011年11月の「八種もりの会」
2011年9月の「八種もりの会」
2011年7月の「六種もりの会」
2011年5月の「眠庵」手挽き蕎麦
2011年3月の「眠庵」
2011年2月の「八種もりの会」
2010年11月の「八種もりの会」
2010年9月の「八種もりの会」
2010年7月の「八種もりの会」
2010年4月の「八種もりの会」

posted by aya at 22:46 | Comment(2) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>千代田区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>8枚目の「福井」の青さ、綺麗

だと思います。5〜6年おいておいても、色合いは変わらないのですね。1年物しか見ていなくて、これまで知りませんでした。

粒の大きさの尺度が分からないのでなんとも、、、ですけど、

>「鹿児島」10年、鹿屋在来種

が大きいのかな?と見えました。

打ちあがった蕎麦も十分美しく美味しそうでありますが、当方は丸ヌキの美しさを眺めるのも好き。(いや、多分こっちを見る方が好き。
Posted by よしの at 2011年12月24日 13:31
よしのさま
粒が小さいのはダントツで4枚目富山でしたね〜
丸抜き眺めるのは好きですがかじるのはもっと好きです(^o^)
Posted by aya at 2011年12月26日 00:05
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