2011年12月04日

荻窪「蕎麦カフェ グロッケンシュピール」


荻窪駅南口の商店街をちょっと歩くと
中華料理屋の2階に小さいけれど
一際目をひく窓辺がある。


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いきなりそこだけドイツロマンティック街道。
しかし何よりも目立っているのは
その外観デザインと全くそぐわない看板の文字である。

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え、「越前そば」って・・
そこまで完璧にドイツの田舎家の窓辺を再現しておきながら
いきなり過ぎるではないか。

しかも傍らの鋳物の飾り看板には
「コーヒー ワイン グロッケンシュピール」とある。

洋風のカフェでおしゃれに蕎麦を出す店なら他にもあるが
「ドイツ風カフェ」と「越前そば」。
ここまでガッチリ双方に郷土性のあるものの融合というのは
見たことがない。

とにかく面白いことは確かだ。近づいてみよう。

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階段下の看板は意外と普通のお蕎麦屋さん風。

2階へ上がると、


RIMG5332.jpg

またも2つの郷土性の融合である。
立派な枠付きの扉は本格的にドイツ風だし
「越前手打ち蕎麦」の看板はどこまでも和風である。
どちらも一歩も譲らない感じがいい。


音大出身の私は店名から「グロッケンシュピール」と聞いたら
いわゆる「鉄琴」しか浮かばず、音楽カフェなのかな?と思ったのだが
そうではないらしい。
グロッケンシュピールという言葉は
グロッケンがbell、シュピールがplayという意味なので定義は広いらしい。
店のロゴマークは可愛らしい鐘のデザインである。


店内はダークカラーでまとめられた重厚な雰囲気。
特に窓辺の趣がよく
普通にコーヒーを頼んだ場合はこんな眺めだ。

RIMG5326.jpg

いい感じでしょう。


しかし壁にはこの店のメニューが
純和風の縦書き毛筆で掲げられている。

「ざるそば」
「とろろそば」
「越前おろしそば」
の3種類。

ドイツ風インテリアの中にあって、ものすごい唐突感だが
昼時そこにいたお客さんは3組とも全員蕎麦を注文した。


「ざるそば」は越前風に辛味おろし汁で食べるというので
私はそれにする。

蕎麦が運ばれてくると窓辺はこんな眺めになる。

RIMG5297_.jpg

インテリアはどこまでもヨーロッパ、
盆の内側は完全なる和の世界である。
たっぷりのおろし汁がうれしい。


RIMG5300.jpg

黒いホシがふんだんに散らされた濃いめの肌。
たぐりあげると越前そばらしい力強い香りが迎えてくれる。
ほどよいコシと味わいを楽しんでいると、ついうっかりいつもの調子で
そのまま全部食べてしまいそうになるが
今日はせっかくおろし汁があるのだから
つゆもつけなくっちゃ!
大根の風味が固体で食べるよりもダイレクトに、
ぱーっと染み入るようにゆたかに広がる。
おいしい〜 おろし汁だいすき。


店のインテリアやコーヒーカップなどが、
日本では手に入らないようなものばかりなので尋ねると
店主夫妻がヨーロッパ駐在中に集めたものだそう。
帰国しこの店をオープンし、蕎麦を出すようになったのは8年前から。
HPには純和風の作務衣姿で蕎麦を打つ
店主の写真が載っている。

ドイツと越前、二つの文化を徹底的に愛し、
その二つを中途半端に混ぜることなくぽんぽんと並べた店。

今入ってきたお洒落なマダムは颯爽とストールとコートと脱ぎ、
カウンターに座ってから何かが違うと気づいたのだろう。
ハッとしたように。
「アラッ? こちらお蕎麦屋さんですよねっ!?」。


荻窪駅南口、仲通り商店街の不思議空間である。



posted by aya at 23:32 | Comment(2) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>杉並区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
都内では少ないおろし蕎麦のみせですね。あのでかいワンちゃん亡くなったのでしたっけ?
Posted by ふつ〜 at 2011年12月09日 09:22
ふつ〜さま
写真はいっぱいありましたので気になりましたが聞けませんでした・・
店主と一緒にお家かな?と思うことにしてお蕎麦美味しく食べました!
Posted by aya at 2011年12月12日 00:20
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