2011年10月18日
大阪・荒本「蕎麦 伊呂波」
西のお蕎麦屋さん、特に大阪の店で
東京にはない凄いパワーを感じることがある。気がする。
「気がする」というのは、私が何事も感覚で生きているいい加減な人間で
事項の分類とか整理して考察とかが滅法苦手なせいである。
そのいい加減な感覚によると、大阪のパワーはやはり
小麦粉圏の蕎麦屋であるということ、
天下の台所、和食のメッカであるいうこと、
などから来ているのかなという「気がする」。
私は目の前のことに夢中になるタイプなので
今どこにいるかなんて忘れていることもあるのだが
時にぐっと押し出すような西のパワーに
ハッとさせられることがある。
「蕎麦は此の地のものではないが、我此処に蕎麦を極めむ」
という気骨のようなものを感じるのだ。
「蕎麦 伊呂波」は「荒本」駅からもう見えているような立地なのだが
初めて行った時はちょっと迷った。
一見店があるようには見えない静かな道にいきなり!
マンションの一階にはめ込まれたような、白亜の外観。
白玉砂利が目にまぶしく、市松模様の庭石の上を歩くときは
ちょっと緊張するほどだ。
ほんとにお蕎麦屋さん?
店内もまた蕎麦屋らしからぬモダンな雰囲気。
席についてなお緊張気味の私だったが
「ざる蕎麦」「田舎蕎麦」などが並んだメニューを見て
途端にニコニコくつろいだ気分に。
お蕎麦屋さんとなるとどうしてこう
親戚の家のようにリラックスしてしまうのでしょう。
やっぱり私は蕎麦なのかもしれない。
「ざる蕎麦」
こんもりと美しく盛られた、やや太めの九一蕎麦。
すべらかな肌はフワンと独特の食感である。
味わいは淡いのだが汁をつけて
ウーンと納得させられてしまうのがさすがは大阪。
好みもあると思うが、私は西の蕎麦汁が好きなのだ。
「伊呂波」のつゆは甘みが少ない中に
すっきりと美しい「うまみ」がしっかりとあり実に美味しい。
「田舎蕎麦」
ふわーと香る、田舎らしい野趣に飛んだ香り。
平打ちのしなやかな歯ざわりの中に
まばらに散るザラつぶ感が楽しい。
香りは、はじめは淡かったのが食べ進むにつれ
ぐんぐん濃厚になっていく。
味わいも甘みも深くて、ああ美味しいなあー
ところでこの店のインテリアデザインは
店主自ら行ったそうである。
すごい!
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