2011年10月17日
大阪・新石切「そば切り 粋人」
近鉄けいはんな線「新石切」駅からすぐ。
店名の読みは「そばきり すいと」である。
店内は店名からイメージする「粋」の雰囲気よりも
あたたかく落ち着いた空間。
前に衝立のあるカウンター席や
テーブル席がうまく組み合わせられていて
家族連れでも一人客でもくつろげるレイアウトになっている。
私はカウンター席で
「ざるそば」
極細切り、きめ細かな微粉の肌。
繊細な蕎麦ゆえ足が早くさっさと食べないと表面がややぷにっとしてくるが
その頃の香りがまたいい。
むわぁーっと香る、茨城は水府村の蕎麦。
味わいはほんのりと淡く、
大阪には少ないタイプの蕎麦だけに楽しい出会いである。
枯本節、枯めじか、利尻昆布を使っているという汁も美味しい〜
こちらは大阪で出会えた、鳥取・日南町の蕎麦。
「十割田舎そば」
黒い肌、豪華なホシがいかにも「田舎そば」らしく
「ざるそば」とは対照的な姿だが
食感としてはこちらも微粉、つるりとした肌。
ところどころに混ぜられた粗い粒が
口の中でも「見える」のが楽しい。
粒を噛み締める度に生まれる香ばしい空気、
淡い野趣を含んだ味わい。
なんだか非常に素直な感じのする田舎そばである。
そう、素直。まっすぐ。
私にとってはこちらのお店、
「粋な人」というより「まっすぐな人」という印象で、
そこがかえって魅力だと思う。
店内の、こんな看板とか
こんな案内とか
どうにもこうにも私には、
まっすぐで一生懸命なイメージのほうが強く伝わってくるのだ。
そうそう、「粋な人」と言えば
私のソウルメイト田中秋男氏の名川柳を紹介しないわけにはいかない。
エッセイストであり毎日新聞の「万能川柳」コーナーの常連川柳作家でもある「おじさん」は
いつもセーターに穴があいている。
そのおじさんが墓石に彫るとふざけて言った一句。
「一生を野暮で通した粋な人」。
さすがおじさん、と大いに気に入った癖に、
すかさず連句してしまった私、
「粋な人自分で言った野暮な人」。
おじさん、2句並べて彫るそうです(^^;;)
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