虫の音響く渡月橋より舟で、「星のや」へ。

何よりも立地が素晴らしい宿ではあるが
食事がまた素晴らしい。
カウンター内の蕎麦打ち道具の美しさ。

「無花果の揚げ出し、雲丹のせ」

一品目から軽くノックアウトされてしまった!
無花果を使った料理は大好物だが(だけに?)意外と難しい。
こちらの料理長は和食の修行の後
フランス・ブレス地方の三ッ星レストラン「ジョルジュ・ブラン」で
修行を積んだそうだが・・
何だかよくわかりませんがコレ、素晴らしい!
口の中がおいしすぎます・・
「八寸」

柿白和え、鰻八幡巻、いくらと三つ葉の和え物など。
太刀魚小袖寿司、脂がのってておいしい〜
レモングラス風味のミニトマト蜜煮というのも素晴らしい。
こんなデザートがケーキ屋さんにあったらいいのに。
「鯛の薄造り」

「名残鱧と焼きナスの椀 」

「天魚塩焼き」

小倉遊亀か奥村土牛かというような、まるで日本画のような眺め。
琵琶湖湖北の安曇川(あどがわ)で捕れたというアマゴ。
アマゴってこんなにおいしいんですか!感激。
「アワビ柔らか煮、白芋茎、モロッコいんげん」

「牛ロース炭火焼とポレンタを衣にした玉ねぎ焼」

時がきた。
先程から目の前で打たれていた蕎麦が打ちあがり、
木箱の中にすべて収まった。

愛知の窯で焼かれたという陶器の蕎麦猪口 。

透け方も音も、一見陶器には見えない。
貝かガラスのようなひんやりすべすべした質感だ。
ここまででかなりお料理を食べているので
「お蕎麦の量はいかがいたしますか?半分、などにもできますが」
と聞かれる。
自信満々はっきりと「ふつうでお願いします」という私。
大盛りでって言おうか一瞬迷ったけどやめときました(^^;;)
お蕎麦の分のお腹は一年365日いつでも空けてございますよ!

奈川の蕎麦粉に北海道の小麦粉。二八である。

めずらしいほどの超極細。
繊細に震えるラインが印象的だが儚さはなく
しっとりやさしそうな肌。
たぐりあげると・・・
なんとフレッシュ、なんとかぐわしい香り!
食感は非常に個性的で、シュクシュクとした変わった歯ざわり。
噛むとすんなりその場所で束ごと切れる。
何より、その肌から断面から溢れ続ける
この香りの素晴らしさはなんなのだ・・・
澄んだ香りが最初から最後まで最大ボリュームで私を染め続け
「おいひいです」と言うのが精一杯。
あとはなるべく私のことは見ないでください(傾いてるので)。
ああ 嵐山の奥にこんなしあわせがあったとは・・・
「虫の音に蕎麦を浸して嵐山」
