2011年10月04日

神宮前「手打蕎麦 松永」


ありそうでない店なのだ。

まず立地が、原宿、北参道、外苑前、千駄ヶ谷、
各駅のちょうど真ん中。
閑静な付近にはぽつりぽつりとデザイン事務所や美容室などが点在し
要は小洒落たエリアである。
右向いても左向いてもスーツ着たおじさんだらけの
新橋や神田とは別世界。


こういう場所に手打ち蕎麦屋があることがまずありがたい。
それがまたイマドキの感じの店でなく、
どこまでも飾らない、ふつう〜〜〜の蕎麦屋な雰囲気。
しかも店主は若い。
そして蕎麦は美味しい。

ありそうでない店なのだ。



「じゃこ天」
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さりげないのに「おっ美味しい」というのが
いかにもこの店らしい。
静岡の黒はんぺんのようなギッチリ濃厚な旨味で
ちびちびやりたい人にもぴったりだろう。
なんと豊かな400円。



「もりそば」
RIMG4157.jpg

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蕎麦がまた、一見とても普通な印象ながら
「おっ美味しい」。
粉のしっかりした香りと味わい、二八らしい程よいコシ。
奇を衒わぬ真面目な美味しさがここにある。



店は通し営業なので昼酒にも持ってこい。
混んでいる時間も殺伐とした雰囲気にならないのは
この店が、店主と店主の両親の家族営業だからだろう。


隣では近所に仕事場があるらしい男女が
昼から「お疲れ様〜」とビールとつまみで楽しくやっていた。
今期のコレクションは、などというあたりやはりデザイン系らしい。

RIMG4166.jpg

帰り際、女性が陶器製の箸置きを落として割れてしまった。
「ごめんなさい!」
慌てる女性に、店の奥さんがゆっくりと歩み寄り
「あら、いいんですよ、大丈夫」。

さらに、
「形あるものは壊れますから」。
ゆたかな、頼もしい笑顔。

うーん参った。憧れた。
「相手に気を使わせないようにしている」
という意図を全く感じない、ごく普通の態度。
当たり前なおおらかさ。
本当に何もなかったかのように空気が戻った。



ありそうでない、素敵な店なのだ。




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posted by aya at 11:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>渋谷区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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