2011年08月22日
牛込神楽坂「たかさご」
夏の衝撃。
私はここしばらく、蕎麦の素晴らしさというものを
忘れていたような気すらした。
これだけ毎日蕎麦ばかり食べて、
うおーうおーと美味しがっている私が何をと思われるかも知れないが、
全てがリセットされてしまうほどの鮮烈な魅力が、その蕎麦にあった。
私は最近ずっと、こういう蕎麦が食べたかったのだ。
1年ぶり程にもなるだろうか。
久々、神楽坂「たかさご」の「せいろう」。
粗挽き流行りの昨今にあって
この均一感のあるクリーミーな肌。
一目見て「むッ これは!!」と思ったが・・・
その肌からふんだんにこぼれる、香りの素晴らしさよ!
「かぐわしい」「いい香り」という言葉では全く不足である。
これほど素晴らしいかぐわしさはどれくらいぶりだろう。
こんなにもフレッシュで、鮮烈で、
青い蕎麦畑の上澄みのような香りのする蕎麦。
「そうだこういうものがあったのだ」と
私はただただ驚いてしまった。
あまりにも美味しくて夢のように駆け抜けてしまい
「すみません、同じのお代わりくださ〜い・・」
ということに。
すると、今日はめずらしく空いているせいか
「辛汁」も試させてもらえることになった。
普通「せいろう」についてくる汁とは違う、
お砂糖を全く入れない汁らしいのだが、
今の1枚目も汁無しで最後まで平らげてしまった極悪人としては
せっかく「辛汁」をいただいても喜べるかどうか・・スミマセン・・・・
という思いで2枚目が茹で上がるのを待つ。
1枚目よりなだらかな稜線を描き
豊かにひろがってやってきた2枚目。
カァァァー
美味しすぎてカラスになってしまいそうである。
この香り。
滑らかな肌。
夏の夜に心地よい、潔くはっきりとしたコシと、
それを噛みしめて更にふくらむ香りと甘み。
こんなに美味しいなんておかしい。
今すぐバタバタ飛んで行ってしまいたい。
もしくは店の前の道路に出て行って「美味しい蕎麦ありますよ!」と宣伝したい。
2枚目もこのまま平らげてしまいたかったが
せっかくいただいたので「辛汁」を試さねばと
私の大事なお蕎麦を、恐る恐る辛汁に浸してみる。
当然だが見た目はふつう。
これがっっ
大変に個性的で、大変に美味しい。
ちょっと変わった強さの奥に、深い旨みがあり
なんとも言えず美味しい。
聞けば何も個性的なものは入っておらず
丁寧に丁寧にしっかりとった一番出汁と醤油とみりんだけだそう。
試しに普通のせいろうの汁にもつけてみたが
うーん私にはやはりこの「辛汁」が魅力的だ。
しかもここは、天ぷらなど料理も大変においしいので
蕎麦だけで帰る馬鹿者は私くらいである。
ああいつかここのコース食べに来たいな〜〜!!
拙著「蕎麦こい日記」において
「目立たないにもほどがある」
「一度前を通り過ぎて戻ってきてまた通り過ぎてしまうこともある」
と書いたほど控えめな外観。
牛込中央通りに面して看板らしい看板もなく
目印は白い暖簾だけ。
その暖簾に書いてある文字が・・・
一字も読めまへん。(私には)
「うにゃにゃにゃ」?(^_^;)
これでは通り過ぎてしまう人が私以外にもいそうで心配になってしまうが・・・
名店は、ただ静かに白い暖簾を掲げている。
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