2011年08月14日
静岡・沼津「手打ちそば 杉本」
沼津市本田町。
静かな住宅街に突然
「石臼挽き手打ちそば 杉本」「営業中」と大書きされた看板と、
大きな駐車場が現れる。
お蕎麦を愛して18年、多少きくようになった私の鼻ではあるが
この時点では素敵な予感は嗅ぎ取れない。
駐車場は広く、その奥の竹薮の中にあるらしい店はよく見えないのだ。
観光バスが立ち寄る食堂のような大箱店かな?
しかし店に近づいて胸が踊った。
この風情。
静けき山の温泉宿に来たかのようではないか。
(大好きな七沢の元湯玉川館を思い出す〜(^o^)♪)
ハレー。
こんな素敵な店とは思わなんだ。
古民家の風情にすっかり癒される。
硝子戸の外の緑がまぶしい。
「手打ちそば 杉本」の蕎麦は契約栽培の十勝産。
自家製粉の十割蕎麦である。
「もりそば」
うわぁ これは!
見るからに美味しそうだと思った方、
大変に素晴らしい鼻(目?)をお持ちです。
萩焼のような粗挽きの肌と
繊細にふるえる輪郭線がたまらなく美しい蕎麦。
美しさは見た目ばかりでなく、
たぐりあげてその香りの「美しさ」に驚かされる。
何と言うか、香ばしくないのだ。
フレッシュなイメージ・・でもない。むわぁーともしない。
とにかく澄み渡るように爽やかで美しい香り!
このままずっと(鼻にくっつけて)かいでいたい恍惚の時。
口に含むとしっとりとやさしい食感。
そしてですよ、それをそっと大切に噛みしめると
そこに絶妙のやさしいコシが待っていてくれまして、
そこから蕎麦の滋味なる味わいと甘みがふくらむ、ふくらむ・・・
あああああ、降参です。
わたくしこのお蕎麦にメロメロになってしまいました。
しかも。
「鴨南蛮」
ここの鴨南蛮の洗練ぶりときたら何なのだ!
思い切りすっきりとした汁に浮かぶ香ばしい和鴨。
汁の濃さ、味わい、蕎麦のざらつき、ほどよい柔らかさ。
何もかもがピタリ、完璧なおいしさで、
これはどうにもただ事ではない「鴨南蛮」である。
シンプルな朱の器がこの鴨南蛮を
一層引き立たせただただ唸るばかり。
うう・・・ひたすら、参りましたです・・・
帰り際縁側を通りかかると
壁の額に掲げられた一文字、「鴨」。
成程。
これほどの思い入れがあるからこそ、
あれだけの鴨南蛮に到達できるのだろう。
店の人によればこの店の出汁巻き卵が一切砂糖を使わず
おいしいと人気なのだそうだ。
静岡らしく「みそおでん」もある。
私の鼻に、美味しそうな予感がムンムン!
次回はそのあたりも是非。
この記事へのトラックバック
三年前の夏に青春18で出かけました。
杉本のその鴨の書の下の椅子で鴨の合い焼きで御酒を頂いたのでもりそばにしました。
帰りに豪雨で電車が止まって社内で朝まで足止めを食らいました。改めて某mの日記を見ました。今となっては懐かしい想い出です。
沼津は幅田屋もなかなかです。
あの書の下の席は眺めも最高だったでしょうね!幅田屋!、ふつ〜さまっぽいかも?