2011年08月09日
荻窪「石臼挽き手打ち蕎麦 高はし」
美味しいお蕎麦屋さんの前を素通りしなくてはならない時の
何とも言えない悲しい気持ち。
時間が無いとか既に数軒ハシゴしていてお腹がいっぱいであるとか
状況は色々だが、車での素通りは時速のせいか(?)
比較的気分が楽である。
(否、それがなかなか行かれない遠方だと
これまた断腸の思いであることを思うと都内限定の話か)
まあとにかく私は、環八荻窪付近を車で過ぎる時は
必ずかなり前から目を凝らしてこの看板を探し
見つけたら「高はしだぁー!バイバーイ!」と
ニコニコ手をふるわけである。
8月の灼熱の中、久々に正面から眺める「高はし」。
環八沿いのちょいと高級な、大人の蕎麦屋だ。
中に入るとスッと整った空気。
照明が落とされ小さくジャズコーラスが流れる空間は
たった今まで私が居た
目も開けられぬような灼熱の喧騒とは別世界である。
蕎麦だけで帰るのはもったいなくなり
「穴子煮こごり」。
「ふるふる」でも「フワーッと口溶け」でもなく
ピンと角の立ったタイプの煮こごり。
やや甘めの煮こごりの中に穴子がたっぷり入っている。
久々に出会う、「高はし」の「せいろ」。
しっとりと重なる粗挽きの肌。
無数に揺らめく粗挽きの陰影とホシが
手びねりの陶器のような風情だ。
箸先で香る、微かな熟成感を帯びた香ばしさ。
じんわりした歯ざわりはコシというものを意識させず
全体にしっとりと脱力した感じが枯れた趣である。
「作りたい蕎麦、作ってるなあぁー」
「高はし」の世界を久々にガッチリと受け止め
また灼熱に帰る。
デザートの天然ビタミンCが身にしみて有り難かった!
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