2011年07月24日

神楽坂「蕎楽亭」


平成10年、新宿区は払方町に
個性的な蕎麦屋が誕生した。
「蕎楽亭」。

どこかやんちゃ小僧で、どこか頑固爺なニューフェイス。
今思い出すと「ハウルの動く城」のように
ガチャガチャと音を立てて店ごと歩き出しそうな
楽しい美味しい店であった。

その店が今では、と思うと13年の時の流れを思わずにいられない。
神楽坂に移転してから早6年。
当代押しも押されぬ超人気、超有名店である。
(私のハウルな印象はどこか当たっていたのかもしれない。
 深夜神楽坂へと何百メートルか店が歩いたのかも)


名店というのは、店に入った瞬間に何かわかるものだ。

厨房に美しい秩序とスピード感がある、
働く人が皆実にいい目をしている、
店全体に小気味の良い活気がある。

とにかく店に一歩入った瞬間「わあ、これはいいところに来たな」
と嬉しくなる店なのだ。



カウンターに並ぶ新鮮な野菜の彩り。

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次々と美しい衣をまとい、揚げたそばからそれぞれの席へ運ばれて行く。

それを眺めつつ楽しむ、
おいしいお酒、おいしいおつまみ。




宮泉 写楽(福島)純米大吟醸。

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私には結構がっつりな、福島らしい印象のお酒である。

「最近お酒がよく出てくるけど大丈夫なの?」
と大変に御恩ある方から心配の問い合わせを頂きましたが
私は味見程度舐めているだけですから大丈夫ですよ、母上(^_^;)。



「きざみ茗荷」
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「馬刺し」
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故郷愛溢れる店主がゆえ、この店は蕎麦粉、冷麦の小麦粉も、
そしてこの馬刺しも会津産。




「にしんの山椒煮」
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「鱧子の煮こごり」
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そして何が美味しいと入って
ここの天ぷらの美味しさはケタ違いである。

「海老」
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「ギンポ」
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この美味しさには参った!
バリッッ!!と香ばしい衣、ふっくら肉厚の上物のギンポ。
こんなに美味しいギンポの天ぷらに次にいつ出会えるかしらん。



「ヤングコーン、南瓜、そら豆」
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「メゴチ」
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「まいたけ」
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「稚鮎」
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「鱧」
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それぞれの素材に合わせた
ピタリ、最高の揚げ具合。

香ばしいギンポのバリッと感、
メゴチの極上ふんわり感、
稚鮎の芸術的な繊細ハード感、
スイートコーンのパリサク感。

私は天ぷらは大抵穴子とまいたけが一番好きなのだが
ここではどれもが主役級に美味しい。



そしてこの店の困ったところは、
おつまみがこれだけ美味しいのに
蕎麦が「並そば」「十割そば」と2種類あり、
蕎麦以外に打っている冷麦とうどんも素晴らしいので
もうとにかく全部食べたくなってしまうところである。


効率良く全部食べたい者は2種盛り技を駆使するのだ。

まずは「並そば&うどん」の合盛り「めおともり」。

「うどん」
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ここのうどんは真っ白すぎない肌がいかにも地粉、
見るからに美味しそうだが本当に美味しい。


「並そば」
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穀物感たっぷりのこの姿。
噛みしめるとふわあっと香りがひろがるのがたまらない。




こちらは「ひやむぎ&そば」の「むぎめおと」。
並そばを100円プラスで十割そばに替えてもらう。

「ひやむぎ」
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ちゅるちゅる〜
そして小麦の味がしっかり濃い!


「十割そば」
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さっぱりつるつるみずみずしい十割。
見た目は黒いが会津らしい爽やかな蕎麦だ。



今日は「並そば」が一番気に入ったが
前回はなんとこの私が「ひやむぎがいちばんかも・・」と感じてしまったほど
ここは小麦粉ものが美味しい。


自分がおいしい、自分が楽しいばかりではない。

周りのテーブルのお客さんも皆楽しそうなこと、
働く人の姿が美しいこと、
美味しそうなものが厨房でどんどん生まれて
出来立てが次から次へと運び出されていくこと。



名店というのは、店に入った瞬間に何かわかるものだ。




posted by aya at 08:33 | Comment(2) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>新宿区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
罪な店だな  ここは
 蕎麦にたどりつくのに 根性が要る
  飛びっきりの天ぷら ミョ〜〜にそそられる蕎麦屋に有るまじき肴の数々
   時折出されるメニューに無い危ないつまみ ハゼの脳味噌の塩辛、海老の味噌の塩辛等
目に楽しい店主の動き
 耳にうるさい嫌味で楽しい店主の戯言
  楽しい対戦モード
   たのんでも出してくれない蕎麦
嫌味な店主 嫌味な客
 でも でも お互いに楽しい時間
しばらく行ってないな
 またたのもう「温かい天麩羅蕎麦作って!!」
  この一言が楽しい
   天麩羅命の店主 ふやけた衣にしたら真剣に、大袈裟に言えば全身全霊で揚げた天麩羅が・・・
    半分笑って、半分怒った、そんな店主の顔
何がなんでも、いつの日か作らせよう
 そして、満面の笑みで喰ってやろう
  「やっぱ 天麩羅は 温かい天麩羅蕎麦に限るな!!!っ!!」
   っと、心にも無いことを戯れながら
「もう来なくて良いよ・・」っと、笑顔で送り出してくれる店主を後に
 後味の良い あのお店
Posted by 而酔而老 at 2011年07月27日 07:48
而酔而老さま
愛し方は人それぞれとしか言いようがありませんが、確かなことは蕎楽亭の天ぷらは最高!ってことですね(^O^)♪
Posted by aya at 2011年07月28日 18:47
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