2011年05月15日

銀座「手打ちそば ふく留」


銀座八丁目の目立たぬ路地。

小さな間口、簡素な看板。
侘びの風情が何とも控えめに、大変に目立っている。

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こんなところに「手打ちそば」の看板を見つければ
ふらっと気軽に立ち寄ってみたくなるものだが
近づいてみれば何となくそうはさせない「敷居感」がズンと迫る。

蕎麦屋でなく割烹で食べる手打ちそば。

これで美味しくなければ「蕎麦は蕎麦屋に食べに行けばよし」と思うが
ここは料理もお蕎麦も大変美味しいのだ。


たまには、こんな蕎麦宵もあっていい。


前菜は野点の風情で。

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竹簾の弁当箱に収まった山海の幸。
出汁の味わいが非常に洗練されているため
どの一品も大変に美味しい。




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「失礼します」
銀座の割烹、着物姿の仲居さんの声と共に、個室に運ばれてきた蕎麦。
見慣れた蕎麦という食べ物がやけにあらたまったものに見えてくる。

北海道旭川ののどかな大地で生まれた蕎麦粉に
「た、大変なとこに連れてこられちゃったなオイ!」
とねぎらってやりたくなるほどだ。

姿勢良くまっすぐに対峙し、ひとたぐり。

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品の良い素晴らしい香り!!
ふっくらと甘い極上の上新粉にも似た、しかし確かな蕎麦の香り。
白いイメージのかぐわしさに白い夢を見る。
これだけ細切りの繊細な蕎麦ながら
一本一本はふっくらとした表情を持ち、
しっとりとやさしく重なり合っているのがなんとも貴い眺めだ。
噛みしめると意外にも甘さはなくすっきりとした味わいで
それがかえって白いイメージの美しい蕎麦の香りを洗練のうちに際立たせている。

うわーおいしいよう
きてよかったよう


汁がまた、前菜でわかっていたことだが
大変においしい。

蕎麦が美味しすぎて
結局つけて食べることはできなかったが
この汁を時々なめつつ楽しむ蕎麦湯タイムはこの店ならではの贅沢。


もっと気軽に、蕎麦にだけ会いに来られるお店ならいいのになーと思いつつ。



またいつか、白い非日常をたぐりに来よう。




posted by aya at 23:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>中央区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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