2011年02月12日
神田「眠庵」(八種もりの会)
雪散る休日、小さな古い隠れ家にて・・・
真昼の楽しい蕎麦まみれ!
神田「眠庵」恒例の「八種もりの蕎麦会」。
今回は稀少な変り種も登場とのことで期待度マックス、
抜かりなく前日から蕎麦抜きで臨んでまいりました!
いつものように1枚目のみ、笊に盛られてやってきます。
2枚目以降は小鉢に盛られてきたものを各自がパカっと笊にあけるセルフ盛り。
てなわけで2枚目以降の「蕎麦束の乱れ」は
そのまま私の「早く食べたい、でも見つめたい」という
心の乱れを表しておりますのでご容赦を。
では。
いざ。
1枚目は「神奈川の蕎麦」。
秦野の「手打そば くりはら」さんが去年育てた蕎麦である。
ひんやりと静かな、美しい香り。
この「静か」は「淡い」という意味ではなく
「濃厚なのだが暴れた野趣などなく、穏やかに、そこにいてくれる香り」。
相変わらず「データ苦手イメージ先行」の私のメモには
「白い大理石の夢」とある。
は?とお思いかもしれないが、私にはこの言葉であの時の夢が思い出せる。
ひんやりぴたムニとした、少し伸びるようなコシを持つ肌。
私ごと澄んでいくかのような味わいと香り。
ふわぁー
うつくしい〜
ゆめをみる〜
くりはらさんたら素敵・・・
2枚目は群馬。去年の夏蕎麦、キタワセ。
ほおおぉっ これは面白い。
写真で伝わるだろうか?
中国の干豆腐に似た、粘土を思わせるようなねっとり密な肌。
いかにもずっしり熟成系の濃厚な香りが漂ってきそうだが
香りは驚くほど品の良い、凛としたかぐわしさ。
その質感のせいだろう、「眠庵」の蕎麦には珍しい
やや直線的なラインを描いている。
食感は見た目の通り粘土のようなニチャ感があるのだが
端整な切り口、ハラハラとした舌触りで洗練の印象すらあり
はあー・・おいしい・・・まだ2枚目でうれしい・・・
3枚目、長野。去年の蕎麦。品種は信濃一号。
1、2枚目はしっとりぴとぴとな印象の肌だったが
これは本日初めての、つるっむにっとした見た目。
香りもまた、穏やか濃厚系だった1、2枚目とは違い、
プン、と小さな勢いを持ってこちらに漂ってくるかぐわしさ。
ああなんて愛おしい!!(落ち着け・・・)
肌はつるつるではなく素朴な凹凸があるのに
舌触り涼やかにつるつるとして、かみしめると「眠庵」らしい、
「これをコシと言っていいのかわからない、これ以上ない程やさしいのに確かなコシ」。
と、ここで気づいたのだが、
感想、長過ぎっすね!!
この調子で全部書いたら私は蕎麦ハイになるだけですが
読んでくださる皆様がヘトヘトになってしまうので短めに、短めに・・・
4枚目、北海道せたな町、去年のキタワセ。
2枚目と同じキタワセ。
やや粘土質の見た目、ハラリ端整な食感といった共通点はあるが
味わいは全く違う。
こちらは渋い、老成した野趣を感じる蕎麦。
かすかに墨のような、野性的な深い香りをまといつつ
味わいはあっさり、ほの甘い。
5枚目福井。去年の勝山在来種。
ふっくら、ほのぼのとした輪郭線。
福井というだけで期待高まるところだが、
香りの濃さという点ではそれほど強烈ではない。
しかし今日は今まで穏やかな澄んだ香りが多かった中で
やはり私の中では「ちょいワル」な福井。
上からも下からもしっかり支えてくるような力のある香りだ。
食感は見た目の通りのんびりブワンとしていて味わいは上品。
と思ったらこれが・・
噛みしめるほどにすごい深まり方をしていくではないか・・・
6枚目、出ましたこれが本日の超目玉。
ほんの少しだけ手に入ったという、
静岡は湯沢、5軒ほどの小さな集落で作っている稀少な蕎麦。
見た目は、「綺麗な緑」とのことだったが
私にはそれほど感じず。
姿としては5枚目福井に似た、ほのぼの系かな?
しかし、ハイすんませんでした食べたらびっくらこきました。
その香り。味わい。
これは特別な蕎麦だ!
食感は見た目のとおりのふっくらさなのだが
穀物の生命力を感じる力強い、たまらなくかぐわしい香り。
いつまでも噛んでいたいような甘み。
う、ううううう・・ おいしい・・・
7枚目は、最近この「7枚目」という走り位置が定番となってきている徳島。
06年度「4年熟成」の蕎麦だ。
こっ
これをどう「手短に」書けるものかは。
素晴らしい!!
「眠庵」の熟成万歳!!!
天仰ぎ目を固く閉じ諸手を挙げて万歳三唱するほかはない。
私は、これが欲しかった。
あふれんばかりにふんだんに香る、濃密なかぐわしさ。
舌に乗せた瞬間にブワーと「舌じゅうに」ひろがり染み渡る味わい。
こんな激しいのに、食感はこんなにやさしくて。
ニクイ、ニクすぎるお方・・・だいすき・・・・
ウプッッッ。
失礼。
何でしょう今日はいつになく
もんんのすごいお腹いっぱいなんですけど!!
なにやらニヤニヤしている店主・・・
なんと今日は訳あって(?)「少なめ希望」の参加者が複数いたため、
その分がそれ以外の人たちにまわっていたとか!
あのー・・
確かに「少なめ希望」はしていませんが
「多め希望」もしていないのですが・・・
そりゃあこんな美味しいもの出されたら食べちゃいますがね!!
だまーって、ニヤニヤ〜って。
全く「眠庵」らしいイタズラサービスだ。
ラスト8枚目はいつも通り福井。4年熟成の越前大野である。
ふっくら、手びねりの陶器のような素朴な肌。
ちょいワルでなく澄んだ印象の香りだが、
口に含めば、またまた「ブワー!」。
舌に乗せたその瞬間に口中全てが濃厚な味に染まる。目が覚める。
いつもよりは大人しい福井とはいえ、
やはり、やはり。
ちょいワルに、ちょいヨワな私なのだ。
そして、どんなにお腹いっぱいでも
蕎麦湯をお替わりする私・・・
血圧は上が90以下ですけど、愛を止めないで。
2010年11月の「八種もりの会」
2010年9月の「八種もりの会」
2010年7月の「八種もりの会」
2010年4月の「八種もりの会」
この記事へのトラックバック
ええっ それって・・ダイジョブ範囲なの?
上級者のことはよくわからないのですが・・
ちなみに私は低血圧でも朝には全く弱くなく、
弱いのは揺れとか寒さとか本番とか魚のカオとかです♪
写真を見ている私は なんか ブル〜〜
青の時代じゃ
徳島在来、食してみたいです。
あと、せたな町キタワセ。
蕎麦の夢のような時間、羨ましいです。
その2つが25¢ さまの目に止まったのですね(^o^)
8つの蕎麦ゆめ時間、機会があったらもお腹を空かせて是非♪
而酔而老さま
あらっ ブルーにさせちゃいました?
たしかに而酔而老さまには食べきれませんよね・・・