蕎麦の量が多い店は、嬉しい。
しかし蕎麦の量が多い上にいろんな種類の蕎麦を打っている店は
嬉しいを通り越して、つらい。
吉祥寺「手打ちそば 中清」がいい例である。
ここには「粗挽きそば」「生粉打ちそば」「あずまそば」「さとそば」と
常時4種類以上のお蕎麦がある。
なのに、なのに、1枚の盛りが非常に気前のいい量なので
ひとり行くと1、2種類が限界なのだ。
これをつらいと言わずして何と言うか。
だから先日、打ち合わせを兼ねて3人で行ったときは面白かったなあ〜
蕎麦4種を食べ比べできた上に、
「そばがき」「たぬき豆腐」や「天ぷら」まで!
中清の天ぷら,ひょっとしたら初めて見たかもしれないことに我ながら衝撃・・
蕎麦原理主義とまで呼ばれてしまった私、
たとえよく行く大好きなお店でも、つまみや種物に関しては驚くほど疎いのだ。
「そばがき」も、中清では久々。
ひとくち口に含んで感激。
なんて香り高いモチフワエアリー!!

蕎麦一枚めは「粗挽きそば」。
熟成ものと本日打ったものの食べ比べ。

こちらは本日

こちらが熟成
見た目の違いも歴然だが、味の違いはさらにかけ離れている。
熟成は、濃厚爆発、生々しいまでの力強い味わい!
対する本日のものは驚くほどその面影はなく
野性味も甘味も控えめ。
しかし、ざらつきのある肌を噛みしめると
個性的な野草のような香りがさわやかにひろがり
珍しい、不思議な魅力のある蕎麦だ。
へえぇー、こんな「中清」の「粗挽きそば」もあるんだ!
こちらは「生粉打ちそば」。

ふっくらと品の良い、まあるい香り。
すべらかな肌を噛みしめると見事なコシが楽しめ
そこからまたやさしい甘みがあふれる。
普段は「粗挽きそば」ファンの私だが、
今日に関して言えば
「粗挽きそば」より「生粉打ちそば」のほうが好きかも!
そしてこちらも久々、あずまそば(更科そば)。
ええっこれは・・・
美味しそうすぎるんですけど・・・・

ちょっとちょっと、
もうほんとに、やってくれますよ。
見てスゴイと思ったが食べたらやっぱりスゴイ。
何故更科までこんなに美味しいのだ!!
この上なく清らかな香り。
ふくよかな甘み。
舌に広がる白い味わい。
ああああ
今日はやっぱりこの「あずまそば」が一番好きかも・・
どんどんオオカミ少年になっていく自分。
最後に、「さとそば」。
田舎系二八そば、という位置づけのこの蕎麦。
いつも全くここまで手がまわらないのだが・・・

おおお、美味しい・・・
もう段々落ち込んでくるほどです・・
がっつりとたくましく深い蕎麦の風味。
かみしめれば、これまた嬉しくなるほどの甘み。
そしてこんな美味しい蕎麦を、
いつも食べないで帰る羽目になっている自分。
もうもう、今度から「中清」に来たら店の前を歩いていた人に
「今から一緒にたぐりませんかぁ〜」
と無作為に声をかけたいほどだ。
しかも3人くらいは必要なのだが・・
歌い手である私には禁煙でないところがちょとツライが
この雰囲気だからこその、この店。
好きなのにつらい、なんてまるで恋だが、
毎回全種類食べられない限り私のつらさは今後も続く。
つらい、せつない、大好きな「中清」なのだ。