2010年12月29日

吉祥寺「手打そば処 ほさか」


吉祥寺は私にとって危険な街である。

ブランドのバッグより小さな雑貨が好き、
手作りも大好き、というタイプの人間には
誘惑が多すぎる街なのだ。

手芸用品など必要なものを買いに行っただけのはずなのに、
気がつくと手に紙袋をいくつも持っていたりする。
ああ恐ろしい。でもなんて楽しい。

お蕎麦屋さんも多いのでどんなにヘトヘトでも
低血糖ならぬ低血蕎麦で倒れることはまずないのだが
クリスマス前のこの日、
私は家族へのクリスマスプレゼント探しを頑張りすぎた。
あまりにもギリギリまで頑張ったためふと気づくと
本当に「ブッ倒れそうに」なっていた。

そんな時心強いのが、
何たって駅の真ん前、「手打そば処 ほさか」。
気づけば10年以上ぶりである。
これまたああ恐ろしい。光陰流水の如し。

駅前に出て店に近づくと懐かしい看板。
ギク。あの黄色の表示は、もしや・・

RIMG2638.jpg

ゆ、柚子切りやっております・・・


全国の柚子切りを出すお蕎麦屋さん、
及び柚子切り愛好の皆様には申し訳ない限りだが
私と柚子切りは天敵?の関係にありまして・・
否柚子切り蕎麦そのものが悪いわけではない。
柚子切り蕎麦によって柚味に染まった釜湯が私の敵なのだ。
それはかなりの確率で他の蕎麦まで全て柚味に染めてしまうため
蕎麦の香りがほとんどわからなくなってしまう。
柚味でないせいろや田舎、更科を食べたければ
開店直後に入店するしかない。


師走の今日、「ほさか」は大繁盛であろうし
柚子釜湯、濃そうだな〜〜と半ば恐る恐る、
店がある地下に降りてみると

RIMG2627.jpg

なつかしや「ほさか」!!
店構えも店内も、10年(以上)前と全く変わらぬ雰囲気に
一気に心がぐにゃぐにゃにゆるむ。とける。素晴らしい。

ハイ、柚子云々なんて私がイヤな奴でした。
もう今日ここに来られただけでしあわせ。
三色もり、せいろと田舎と白雪で、ください!


まずは「輪っか」がやってくる。
(正式名称は知らぬが)

RIMG2613.jpg


この輪っかの上に次々運ばれてくる蕎麦たち。

RIMG2571.jpg


RIMG2583.jpg
せいろ

RIMG2588.jpg
太打ち(田舎)

あれ?
全然柚子切り病じゃない。
隣の熟年夫婦も、その奥で一人忘年会を盛大に開催中の男性も
柚子切りを注文したことからも柚子切りの人気ぶりはうかがえるが
とりあえず「せいろ」と「田舎」からは
柚子の香りはしない。
蕎麦の香りや味わいも淡いのだが、「ほさか」らしい
おおらかで素朴な蕎麦である。



そして白雪。

RIMG2599.jpg

おおー!
「ほさか」の白雪はさらに記憶にないほど久しぶりだが
これは相当良さそうだ。
うれしいなぁ〜♪と手繰り上げると

RIMG2605_2.jpg



ゆずさんがイッパイ。

(>_<)





・・・そうか・・・・

やはり穢れなきものだけに・・・・



あー、この柚子の香りの下に、素晴らしいさらしなの香りが
絶対に潜んでいると思うんだけどなあ!!




しかしふと見やれば、
向こうの「一人忘年会」の男性の笑っちゃうほど楽しげな姿。

二人向い合って柚子切りをすする熟年夫婦。

田舎家のような印象の店内は
10年前と少しも変わらない。

変わらないでいてくれることのありがたさが
静かに私の胸を打った。

心ならずも感激してしまった私は、
会計時に店の人に話しかけてしまった。
「少しも変わらなくて嬉しかったです。10年以上ぶりで来たんですが」。

すると大学生のようなその店員の女性は
「そうなんですかあ〜、私はまだここへ来て3日目なんですぅ〜!」
といかにも若々しく天真爛漫に答えた。


私は、なんだか80歳のじいさんにでもなったような気持ちで暖簾をくぐり、
師走の吉祥寺の街へ出た。


お腹の中の蕎麦湯が温かった。






.
この記事へのコメント
おととい、ここで食べました。
って、今頃コメントしていいんだろか。
ざるそば、野菜天ぷら、うまかったっす。
Posted by みめい at 2011年04月01日 03:24
みめいさま
イマゴロコメント大歓迎ですよん♪!駅前便利、しかもあの変わらぬあの雰囲気、ありがたい店です。
Posted by aya at 2011年04月02日 16:33
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