2010年12月24日
神田「眠庵」(八種もりの会)
毎年恒例、天皇誕生日の祝日は
「クリスマスイブを台無しにする八種もりの会」。
皆で後先考えず飲み食い楽しみ、
頭のてっぺんまで蕎麦にまみれるこのしあわせ。
参加者12名。
それぞれ持ち寄った絶品おつまみや名酒を楽しんだ後に、
いよいよ8回転の蕎麦ラリースタート!
今回は5枚目までは全て新蕎麦という
「眠庵」にしては珍しい新蕎麦率の高さなので
そのあたりも注目されるところ。
お蕎麦は小鉢に盛られて迅速に配られ、
参加者が各自パカっと自分の笊の上に盛るスタイル。
故に写真に写った蕎麦の盛り方、散らし方が雑なのは私のせいなので
何卒ご容赦を。
1枚目は、私の大好きな栃木の新蕎麦。
1枚目の感動はいつも筆舌に尽くし難い。
いくら香りが濃厚ったってここまでやるか!
想像、期待の何倍もの濃厚さである。
そしてこれこれ、私の大好きな栃木のスモーキーなかぐわしさ。
しっとり、ぴたぴたとしたやさしい肌の感触もたまらない。
2枚目、山形は高畠の新蕎麦。品種はでわかおり。
1枚目の栃木と比べるとやさしい香り。
しかしふっくらとした豊かさを感じるかぐわしさである。
「眠庵」の蕎麦にしてははっきりとした輪郭があり
口中で感じる束の感触が心地よい。
すぐに次の蕎麦が来てしまうので見た目の美しさに恍惚とする時間は無いのだが
この蕎麦、もう少し眺めていたい美しさだった。
3枚目、北海道・鹿追の新蕎麦。品種は牡丹。
キャー(>_<)
何だか今年は北海道にシビレやすい私。
この鹿追も、素晴らしい!
写真ではたくましい印象の蕎麦に見えるが実際見たときは細切りで端整な印象だった。
それを手繰り上げると、うわーっと声を上げてしまうほどの力強くふんだんな香り。
輪郭のはっきりした感じや口中を流れる束の心地よさは
山形と似ているところが面白い。
今日の「眠庵」店主のムードは、この方向なのだろう。
4枚目、長野・松本の新蕎麦。品種は信濃1号。
もう何だか自分が狼少年のようで嫌になるが
これもまたものすごい香り高さである。
しかし噛みしめるとなかなか個性的な上品さのある蕎麦。
甘みや味わいは淡いのだが、そこにかえって浮かび上がってくるような
何とも言えない、品の良い粉の風味がある。
その不思議な美味しさを追いかけ、
ああ〜・・とうっとりしようとしたら、なくなった。
5枚目、富山・八尾の新蕎麦。在来種。
むーーーんっ
肥沃な大地を思わせる豊かな香り。
極上の米に通ずる甘さを含む、豊穣のよろこびの象徴のような香りだ。
見た目の太さはそれ程変わりないように見えたが
口に含むと実際の太さ以上の食べ応えのあるムッチリとした食感。
やや伸びるようなふんだんなコシの中から
驚くほど濃厚な美味しい蕎麦の味わいがいくらでもあふれてくる。
これが新蕎麦?信じられない。
6枚目、08年新潟の蕎麦。品種は津南在来。
おおっ
何やら迫力のある赤みを帯びた蕎麦。
かと思いきや、本日の蕎麦の中では唯一淡白に感じた。
ヤル気まんまんの濃厚キャラ続きのなかでは
癒し系とすら感じるおだやかな蕎麦だ。
7枚目、聞いただけで嬉しい、大好きな徳島。06年つるぎ町在来種。
これぞ、「眠庵」。
しっとりとしたざらつき。
どこまでもやさしく、しかし確かな存在感。
下からぐわっと支えてくれるようなたくましい香りと
口中いっぱいにひろがる濃厚な味わいと甘み。
私のメモには
「むわぁー! 美味しすぎて味わえない」
とある。意味不明だがよくある真実。
8枚目、06年福井。大野在来。
また狼少年登場である。
私が悪いのではない。
「これが最高だ!」と思わせた蕎麦の次に
すかさずその上をいく蕎麦を出してくる「眠庵」が罪である。
まあいつもここでトリを飾る福井の凄さはわかっていたことではあるが
それにしてもこの唯一無二の強烈な魅力には
大人しくノックアウトされるしかない。
箸先にたぐり上げ、全身全霊で心を鎮めこの蕎麦に対峙してみた。
なんとたくましき穀物の生命力。
香りの濃さは一つ前の徳島もそうだが、
この福井の香りはこちらにぶつかってくるかのようだ。
しっとりやさしいが、男気のやさしさ。
これをコシと呼んでいいのかためらうほどの
「やわらかいのにしっかりしたコシ」。
流石は、「眠庵」の手にかかった福井の蕎麦である。
2010年11月の「八種もりの会」
2010年9月の「八種もりの会」
2010年7月の「八種もりの会」
2010年4月の「八種もりの会」
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そうですよね、KTGさまは今回ご予定が合わなかったのですよね…私まで残念ですが、その分次回を楽しみにしましょう!あのトリの福井は、私にとって足立区某所の金目かトロ巻か寒ブリか!?頭がとろけそう(>_<)♪