2010年12月10日
綱島「石挽きそば 蕎真」
前回も書いたが、「せいろ以外のもうひとつの蕎麦」は
どこの店でも「せいろ」より売り切れやすい。
「田舎」や「粗挽き」、「手挽き」といった蕎麦だ。
「せいろはたっぷり打っておくから
あっちはまあなくなったらなくなったで、せいろ食べてね」
ということなのだろう。
限定ともなれば尚更なくなるのは早い。
それはよくわかる。
わかるのだが、つらすぎる。
しかし「なくてよかったかも、かえって得した気分!」ということもたまにはある。
半年ぶりの「石挽きそば 蕎真」。
東横線「綱島」駅から綱島街道を歩き、鶴見川を渡った先にある。
車通りの激しい綱島街道沿い、店らしい店もない付近だが、
店に入ると外の喧騒が嘘のように静かな時間が流れている。
自然光と複数の照明が織りなす陰影。
さあここではやっぱりいつもの「せいろそば」と「手挽きそば」・・
と思ったらなんと!
「本日手挽き売り切れ」!!
( °o°)
ガーーーーーーン
ま、まあ10食限定っていうのはわかっていた話だしね・・・
と、何とか「大人な自分」を自分の中に見出そうとするが情けない程見つからない。
こんな時、
「売り切れ?アラ〜残念、ではこっちの下さい」
と即座ににこにこと言っている人を見かけるが
ああいう方々の心の内は
どうなっているのだろうか。
やはり私のように堪え難きを堪え、
断腸の思いを乗り越えての演技なのだろうか。
いや、私だってお蕎麦屋さん以外では
この半分も悲しくない。
とにかく落ち込んでいても仕方ないしこれも何かのご縁。
今日は「せいろそば」と
食べたことなかった「さらしなそば(10食限定)」を
頼んでみよう。
その前に。
自家製の「刺身こんにゃく」。
前日に、とある画家の方からコンニャク作りの楽しさ美味しさについて話を聞いていたので
余計美味しく感じてしまう。
きめの粗いふるふる感がたまらない。
「おろしきのこ」
おろし好き、きのこ好きの私は条件反射的に頼んでしまう。
そして、「せいろそば」。
ぱっと見ていかにも美味しそう。
目を凝らせば、あああ
ほんのりとした白い影を無数に浮かべるこの美しき肌。
素朴な凹凸のある肌は窓からの光を浴びて不規則な透明感を呈している。
まず箸先で香りを寄せ「おいしいー!」。
食べもせぬうちから小さく叫ぶ。
うっとりせずにおられぬ、上質な蕎麦の、素朴なかぐわしさ。
口に含むと、やさしい風情の見た目よりも端正さを感じる舌触り,歯ざわり。
ああ、おいしい・・・来てよかった。
「手挽きそばが売り切れで残念だけど・・」という
実は大変失礼な気持ちでお迎えした「さらしなそば」。
うひゃ
これは。
どうも、ごめんなさい。
あなた、おいしいですね。
きっと、おいしいですね。
だってこんなに、こんなに、これは、ぜったい・・
ウワ〜〜〜〜
何これ〜〜〜〜〜
「石挽きそば 蕎真」の「さらしなそば」ときたら。
今まで食べなかった私が馬鹿でした。
箸先で寄せた、馥郁たる香り。
こんなにも澄んで清らかでありながら、ふくよかな豊かさも同時に感じる。
口に含むと単純なツルツルではない、端整な輪郭とすべらかな肌。
本当においしいさらしなそばは、
こんなふうに香りも味も舌触りも清らかに深いのだ。
あー、今日はすっかり得した気分!
でも困ったぞ・・・
次回は「せいろそば」「手挽きそば」「さらしなそば」
全部食べたくなっちゃって、しかも手挽きもさらしなも限定だから
心配事が余計増えるではないか・・・
次回は是非、開店直後で!
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こんなに広くて素敵な蕎麦屋だったのですね。
透き通るようなさらしな!是非、食しに行かなくては。
いつ行けるだろう。。早く食べてみたいです。