2010年11月29日
神楽坂「芳とも庵」
情熱の人。
神楽坂に熱い場所がある。
津軽そばを出す店ではあるが
店先にしつらえられた竹垣や店内を飾る赤い和傘など
どこか京風で小綺麗なイメージのインテリア。
しかし客席に対しての「蕎麦打ち、製粉スペース」の広さをご照覧あれ。
製粉の機械も石臼があるだけではなく、
選別機、脱皮機、玄蕎麦貯蔵用冷蔵庫と
店主に会わずともその本気度が伝わってくる。
もうないものは畑だけと言ってしまいたい。
ここでは津軽名物の呉汁を混ぜた「津軽そば」のほか、
「江戸」「田舎」と三種類の蕎麦に出会える。
まずは、「江戸」。
見た目はすんなりとおとなしいが、むわあ〜〜
素晴らしく濃厚な香り!
植物の根を連想するような、生々しい土の力を感じる力強い香りである。
この手の香りの中には、ちょっと好きになれない要素も含まれがちなのだが
この「江戸」は、違う。
北海道、摩周の大地に抱かれるようなうっとりするようなかぐわしさだ。
舌触りは繊細でやさしく、
しかし噛みしめると凛としたコシがあり・・
うわーん おいしいよう・・・おいしすぎる・・もっと食べたい・・・
「田舎」。
こちらも同じく北海道摩周産。
先程の「江戸」から「根」の印象だけを取り去ったような
むわぁーとした力強い香りである。
しかし噛みしめてびっくり。
これは・・・私が今までに体験した中でもトップクラス(いやトップかも)
の蓬の味わいである。
蓬の風味を持つ蕎麦には稀に出会うことがあり、
その野性的な魅力はたまらないのだが、
これほどのものは・・・・なんて美味しいのだろう!
ああああああ
いつまでも噛み締めていたい。
できるだけ長くこの人と一緒にいたい。
噛みしめると粗挽きの粒がニクイ程ごく微かにチリッといいます。
そのたびに嬉しさが登りつめ先程から
顔がうすら笑いになっております。
他のお客さんから見えない位置で良かった・・
最後は、この店の名物である「津軽」。
打って変わってクリーミーな印象の肌。
大豆の呉汁でこねる津軽地方の郷土蕎麦は
神楽坂のこの地で、なめらかに上品な表情をたたえていた。
箸先にたぐると、ふわあっ、と香りもまたクリーミーでまろやか。
やはり豆乳のせいだろうか。
口に含むとつるりとなめらか、コシがやさしく伸びる感じで
繊細な歯ざわりの中から大豆の風味が品良く感じられる。
お、おいしい・・・こんなにおいしい津軽そば初めてかも(>_<)
大豆の汁で作る津軽そばはやはり難しいらしく
今まで「ちょっとこれは・・」と
頭がハテナマークで占領されてしまったような体験も少なくないだけに
「芳とも庵」の美味しさの感激は大きい。
3種の蕎麦の恍惚でもみくちゃになったような気分の私に
じんわりと優しいとどめを刺すかのような蕎麦湯。
え〜〜〜
どうして蕎麦湯もこんなに美味しいんですか〜
濃厚でありながら繊細な印象の微粉の均一感。
呉汁のせいなのか?何とも言えないまろやかなうまみがある。
若き情熱の職人が営むこの店も
この11月で3周年を迎える。
12/3まで3周年記念の特別メニュー(予約)のイベントを
やっているので、是非是非!
江戸せいろが産地別(ともに新蕎麦)で食べ比べできますよ~
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産地別の新そば食べ比べですかー。行ってみたいですが今週は無理かなぁ。。。
ちなみに「例の店」も今月は摩周産でした。
私も他のお店でも出会っていますが今年の摩周は素晴らしいですね!そうですか、摩周は11月中のみだったのでしょうか?気になる(>_<)イキタイ(>_<)