2010年11月25日

長野・白樺湖「手打蕎麦処 朝日ヶ丘」


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しずかなちいさな観光地、白樺湖。

その畔の丘に立つ「朝日ヶ丘」は
100%自家栽培の蕎麦屋であり、宿である。


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引き戸を開けるとそこは蕎麦屋ではなく
宿としての入り口。
といっても普通の家の広々した玄関のようだ。
石油ストーブの匂いが懐かしさをかき立てる。


玄関右手の襖をあけると畳敷きの広間になっていて
そこが蕎麦屋であり、この宿のダイニングルームである。

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先客は地元の人らしき年配のグループ。
静かな部屋にぽつぽつと響く土地の言葉。
ほんの数時間前までビルだらけの東京にいた事が信じられない。


ホワイトボードには
「きのこあったかそば(しば茸)」
「我が家のじゃがバター」
「野菜の天プラ」
などの家庭的なメニューほか
「じいさんばあさんの作ったはぜかけ米5kg入」
なんてのもある。



そばを食べる前から
すっかりこの店が大好きになった私に
「はい、お待たせしました 〜」
と運ばれてきた「田舎そば」。


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この土地で育った力強い蕎麦の香り。
干し草を思わせるような、
穀物の生命力を感じる香りに目を閉じる。
口に含むと細切りの輪郭線は思いの外くっきりと繊細で、
口の中に流麗にほどけるのが心地よい。
色こそやや黒めだが、
田舎そばというよりは洗練の印象さえ受ける食感である。
ああー おいしい。 本当に来てよかった。



気がつくと、厨房から店主らしい男性がこちらをみている。
私がつゆもつけずに食べいてるのが見つかったかとギクッとしたが
(私はいつもそのことにビクビクしている)
そんなことではないらしい。


「新蕎麦だでね」。

大きな声でいい、ニコッと笑う。

そうか、おじちゃんがつい最近刈り取ったばかり蕎麦なのだ。
そう聞くとなんとありがたく嬉しいのだろう、おいしいのも当然だ。
聞けば、おじちゃんだけでなく「一家総出で」、
店から8km下った畑で、畑仕事をしているそうだ。
宿もやりながらの話であるからそれぞれの仕事の繁忙期は
さぞ忙しいことだろう。



「すみませんねぇ今日はいつもより早じまいで。
 今日はちょっと”まつりごと”があるでね。」

と今度は奥さんが話しかけてくれる。

”まつりごと”ってどんな?と聞くと、
諏訪湖の御柱祭が有名なこの地域、
さらに各集落、各地域にもそれぞれの小さなお祭りがあり、
小さな御柱を立てたりするのだそうだ。

今日やるお祭りはこのあたりでも時期的に最後のお祭りだそうで
どのくらい小さな祭事かというと、
「うちと本家と2軒だけ」。
その小さなお祭りを毎年守り、大切にしてきているのだ。

今日はそのために早仕舞いの準備をしつつ、
最後にやってきた客にも
実に親切で、にこやかで、あったかい。



心があたたまるというのは、
こういうことである。






お店のHP(ブログもあります!)














posted by aya at 08:53 | Comment(1) | TrackBack(0) | 甲信越の蕎麦>長野 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントありがとうございます♪
面白そうですね〜〜
とても興味あります。
ぜひぜひ、機会を狙って・・(^o^)
お知らせ下さりうれしかったです〜
Posted by aya at 2010年11月26日 19:48
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