2010年11月10日

神田「眠庵」(八種もりの会)


またまた行ってきました、
神田「眠庵」恒例の「八種もりの会」。
毎回あまりにも楽しみで前日から血中蕎麦粉度調整を試みるほど。
(低めだとやはり染みわたり方が違うのだ)

今日は、先週行われた「八種もりの会」を
ダイジェストでご紹介!




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1枚目、栃木の新蕎麦。
ほおおっ「眠庵」にしてはおおらかな太さ。
それでもやはり「眠庵」らしい繊細な印象を失わないのは
その輪郭線がやさしく震えるラインを描いているためだろう。
箸先の香りはふわっと軽く、
口に含むとこれまた「眠庵」としては異色の、モコッとした食感。
ちょっと福島の蕎麦のような。
しかしそれを噛みしめると、じわーと、
今度は唐突に力強い味わいが現れる。
店主の「香りが出にくいので太く太く心がけて打った」との言葉も興味深かったが
うーん、今日はスタートから個性派でますます楽しみ!
(ダイジェストのくせに長いー 手短に手短に)




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2枚目、北海道江差の新蕎麦、品種はキタワセ。
「非常につながりにくいのでそこを気をつけて打ちました」
とのコメントを聞いてから一口、くちに含んで驚く。
この食感は!!
こんなにもこんなにもやさしい歯触り。
その中に、何とも言えぬ「静かな、たしかなコシ」があるのだ。
味わいや甘みが淡い分、草原のようなさわやかな香りが
軽やかな空気のように口中を染めるのが眼に見えるようだ。
しかしそれより何よりこの蕎麦はこの食感である。
つながりにくい蕎麦を、逆にここまで「食感で魅せる蕎麦」にしてしまうとは・・
うーん・・
(1枚目よりは手短に・・なってない)




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3枚目は09年、昨年の富山。
写真で見ると太めに見えるが実際見たときは特にそうは感じず
その素朴な輪郭線と曲線に見惚れていた。
手繰り上げると、おおーっ 今日一番のムワァーとした香り。
噛みしめるとモニョとした独特のコシがあり
これまた味わい甘みは濃くないが
ムワァーと力強い香りが絶えず溢れてくる。





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4枚目、福島の新蕎麦。
今日は新蕎麦の季節だけに「眠庵」の蕎麦会にしては「今年の蕎麦」が多い。
2年、3年、はては5年熟成なんていうのを豊富に隠し持っている(?)この店だが
やはり新蕎麦も、季節を感じ楽しいものだ。
実はこの4枚目は産地がどこか聞き逃して食べ始めたのだが
「ん?1枚目の栃木も福島っぽさを感じたがこれも?」。
そう、こちらが本物の福島であった。
肌はつるつるとしてはおらず、素朴な凹凸を感じるのだが
食感としてはつるつる、するする。
全体にかろやかな品が良さがあり、
そのあたりが福島かなあーと感じさせたのだ。





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5枚目、08年の宮崎、品種は鹿屋在来。
ウワー この香りは!
メモには「全部吸い込みたい」とある。
かなり興奮していた模様。
むわぁ〜〜〜と力強い、ぎゅう〜と押し寄せるような香り。
今日は甘みや味わいは淡く、香りの海に頭から飛び込む感じの蕎麦が多い。
「眠庵」店主は以前、
「八種もりの会は、どれか個性的な蕎麦の個性に全体が引っ張られることがありますね」
と言っていたことがある。
引っ張られる、という感覚も面白いが、
私から見るとそれは「その日の職人の、アーティストとしてのムード」
でもあるのではないかと思う。
そう思うと、ますます一期一会の感があり
私は非常に楽しい気分になるのだ。
(あっ またしゃべりすぎた)



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6枚目、06年の徳島。
見た目はほのぼの淡白な表情だが、「眠庵」の4年熟成をナメてはいけません。
これまた、一つ前の宮崎に優るとも劣らぬ、いや優るかな、
とにかく下から左右から押し寄せてくるような素晴らしく濃厚な香りである。
しかもこちらは味わいも濃い。
噛みしめずとも、舌に乗せた途端、横にぐわーと味わいが染み渡る。
「眠庵」にしてはつるつるとした食感は見た目の通り。
時間をかけて味わいたいのにするするどんどん食べてしまう。
食べながら何度か「むぅううー」と意味不明の奇声をあげたことを覚えていますが
今思えば同席の皆様は動物と思って無視してくださったのでしょう。




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7枚目、09年の北海道倶知安。
もうここ最近の眠庵ではおなじみの、例の暴走族野郎の登場であります。
見た目からして赤黒く荒く、しかし細切りの輪郭は繊細なラインを描き
もうなんだかこの方は色々と超越しておられるので
食べる前から冗談じゃなくドキドキします。
バイクの唸る音をなんと呼ぶのか知りませんが
あのウ〜ンウウ〜ンウウウ〜〜〜ン!!という音が聞こえる気すらし
それとは別に私の気持ちはレース前の競走馬気分。
あと、数秒後に、奴が来る!(暴走族と競馬と決闘がごっちゃになっている)
さあ箸先にたぐり上げ。
「んぅー!!」(口に入っているのでこの声)
わかっているのに毎回驚いてしまう。
もう、変です。あなた絶対に変です!
香りはいつもの熟成ビーフジャーキーを通り越して
薬草のような、薬草が更に熟成したような刺激的な香り。
間違いなく、人生で出会った唯一無二の超個性派蕎麦だ。
そして味わいはいきなり品が良い。
上新粉を思わせるような、白いイメージのやさしい甘さ。
全くここの畑には何が起きてしまったのか。




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いよいよフィナーレ8枚目。
いつもこの蕎麦会でトリを飾る福井の登場である。
「いつもよりはマイルドな福井です」
と説明してくれたが十分濃い。
香ばしさ、甘さ、力強さ。
どれもがはっきりと濃密に感じられるバランスのよい香りが
ぎゅううと押し寄せてくるようだ。
そして歯ざわりは、今日の「眠庵」のコシ。
ひそやかに、やさしい。




1人前の量は一般的なもりそばの半分?程度とは言え
毎回
「うーお腹いっぱい、え、まだあと2枚も来るの?!」という人あり、
「えー、もう5枚目になっちゃったの?」と終わりを心配する人あり(私だが)。

それもそのはず、
この蕎麦会では蕎麦と小さな肴以外は持ち寄りなので
毎回、それはそれは素晴らしいおつまみとめずらしいお酒が
テーブルに乗り切らないほど集結するのだ。
集まる方もいい方ばかりなので、蕎麦前の時間は本当にたのしい。
しかしお蕎麦が出てくるまでに存分にそれを楽しんでしまうと
確かに8枚は大変かもしれない。

私のように朝からできるだけ胃を大きく広げて、
大広間に赤毛氈敷いて「どうぞここに、ドーンとおいでください」と
ニヤニヤしながら蕎麦の団体さんだけのために席を空けて待っている人は
少数派(というか一人)だろう。

とは言え、みなさん「お腹がぁ〜」と言いつつも、
「あー、おいしくて何だか食べちゃった・・」
と完走してしまうのも毎回の眺めである。


今回はなんと私のカメラの電池切れで、
同席の方がご親切にもカメラを貸してくださいました!!
いつもとちょっと写真が違うのですが・・わかりましたでしょうか?
(1枚目のみ私のカメラです)
Sさん、ありがとうございました。

アップ遅くなってすみません〜





2010年9月の「八種もりの会」
2010年7月の「八種もりの会」
2010年4月の「八種もりの会」



posted by aya at 20:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>千代田区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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